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一つに集まって大丈夫?

どこの町にもあると思うけど、商店街ってなかなか風情があって人情味もあふれていて、そこに活気があるとついつい気持ちが入り込んでしまう。
きっとお店と顔見知りになると世間話に花が咲いたり、おまけなんかもあったりと、人のぬくもりに触れることができるんだろう。
 
ちょっと想像を混ぜ込んだ言い回しになったけど、実は自分は普段このようなところを利用しているわけではない。
近所にそれが無いということもあるが、大型スーパーの方が車を停められるし、一つのところで全て揃って便利というのも大きな理由で、
ポイントも貯められる商業施設に大きな割合で足を運んでしまう。

色々な買い物や用事を一カ所でまかなうことができるのは非常に便利なもので、
しかも中に入ってしまうと天気にも影響を受けないし、色々な分野に渡って機能が充実している。
一点に集中するということは、行動の効率の面でとても重宝するのである。

集中という点ではスマホも同じようなものだと言えるだろう。
ガラ携の時代の電話やメール、カメラの機能などを引継ぎ、音楽も再生できれば本だって読めたりする。
ネット通信機能で調べものからいろんな手続き、ポイントを貯めたり料金を支払ったりと、片手で収まるパソコンといわれるにまで発展してしまった。

つまりスマホが1台あるだけで何でもできてしまうし、今やそれを抜きにした生活などとても想像できない。

例えば旅行に行くとき、
飛行機やホテルを予約サイトで押さえ、行程をカレンダーに書き込み、レンタカーも予約する。
食事処のあたりをつけてときには予約も入れ、店では注文にもQRコードを読込み、支払いには電子マネーとクーポンを利用。
観光地も調べておき、場所と行程は地図アプリで確認。
景色や料理は写真に収め、SNSにアップ。
日毎の天気もチェックし、メモなども残したりする。
そして買い物にも現地ではさまざまなサイトで発行されているポイントを活用する。

日頃の待ち合わせなんかも、
最初の約束を取り付けるところから、急な予定変更の連絡などもこれ1台で済んでしまう。
もちろん電話番号を記した手帳を持ち歩く必要なんかない。
待ち合わせ場所の伝言板に書き留めるなんて光景は、もう何世紀も前の遺産に思えてしまう。

娯楽や情報収集などは,
ニュースや天気予報サイトから身の周りの情報を収集。
テレビやYouTubeなどの動画に加え、
ポッドキャストや音楽配信などの音声プラットフォームなんかを楽しんだりしている。

仕事に関連しても、
電話はもちろん、資料などを添付したメールのチェックは欠かせない。
会議では議事録起こしに音声を録音する。

日常生活では、
腕時計なんかは必要ないし、目覚ましにも利用する。
万歩計の役割も果たしてくれる。
調べものだってすぐできちゃうし、
緊急災害なんかも教えてくれる。

ほんとスマホが1台あれば、必要なことはほとんど済んでしまうのである。

しかしである。
たしかにスマホというものは本当に便利なのだが、ふと数年前の苦い経験を思い出してしまうのであった。
京都に旅行したとき例によってほとんど全てをスマホに頼っていたのだが、途中でバッテリーが切れてしまい、名前を憶えていないホテルに行くことができなくなった。
しかたなくハンバーガーショップを見つけ数十分かけて充電し、そこからようやく行動を再開できたという顛末である。

そういえばとある家電量販店でも、スマホが使えなくなってポイントの利用ができなかったこともある。

スマホに一局集中するということは、スマホが機能しなくなったとき全てを失ってしまうということに、そのとき思い知らされたのだった。


もし外出先で自分のスマホが壊れたり紛失したら、いったいどうなってしまうのだろう。

家族や職場との連絡はどうしたらいいんだろう。
電車の定期券はどうしたらいいんだろう。
買い物の支払いは現金がクレジットになるだろうか。
スケジュールはどう確認したらいいんだろう。
メモはどうしたら思い出せるんだろう。

 
万が一に備えて自分の住む町の公衆電話のある場所をチェックしているのだが、その記録先はスマホを通したマップだし、
そもそも電話にありついたとしても家族の番号すら記憶には入っておらず、自宅の固定電話と警察や消防にしかかけることができない。

交番を探し当て、紛失届を出しに汗をかくのが関の山だろう。 

悲しいかな、スマホが目の前から消えてしまったら、できることはごく限られてしまうというのが現実問題なのである。

機能が一つに集まるということは、それだけ便利である反面、危険度も高い。
しかしこれはスマホに限たことではない。
機能の効率化、労力の省力化とかいって、一つのところに機能が集中しそこからコントロールしたりする場面が多くなっているような気がする。

日本の首都機能が集まっている東京がどうにかなったら、いったいこの国はどうなってしまうのだろう。
首都直下地震しかり、富士山の噴火しかり、自然災害だけを考えてもほんとうに有り得るはなしなのではないだろうか。

戦闘相手の弱点が一ヵ所にあると、そこを攻めれば簡単に倒すことができる。
一点だけの攻略で済むのなら、こちらとしてはありがたいかぎりである。
ということは、逆の視点からみると、
重要な機能が一点に集まるということは、そこがダメになるとそれすなわち致命傷になってしまうわけだ。

何か起きたときに案外もろいのは、間違いのない事実である。


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