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詩No.101「ライトアップ」


「聴こえる 歓声が止まない」


誰も居ない夜道を歩いて向かうのは
更なる暗闇

溶け込むようにして
まだ肌寒いけれども
確かに進み続ける季節を感じながら
僕も夜になります

瞼を閉じて
もう一度過去を縫い直した

途中で解れていたものは
悔しさとか つらさとか
ただそれだけじゃなかったことは
灯りの無い僕が一番知っています


聴こえる
歓声が止まない


誰も居ない川沿いの土手が 僕の一時の舞台
何者にもなれなかったと思うのも
まだ諦めないのも自由

聴こえていた
でもそれはもういつかの過去


少しだけ草の生えた階段に座って
街灯を写した水面をみつめます

何度か同じことを繰り返しているのに
はたして同じ景色があるでしょうか

「過ぎたものはもう一度辿ることは出来ない」
そんなことは無いけれど
あの時感じたことは
あの時の僕でしか
できなかったことだと思うのです




暗闇から光をみつめているように

僕はどんな僕になろうと
僕を抱きしめて生きていこうと思います

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