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焦燥夏夜の音 (1分詩)

 少しでも足を止めると焦りが前のめりに出る。夏というものは色んなモノを連れて来る。

 待ちに待ったライブや恋しい人、懐かしい人から期待や希望、想い出やら行事や面倒事まで多彩だ。

 嬉しいことがあっても反面、自身の周りがいかに出来た人間かが分かり出来ない自分に申し訳なさが渦巻く。

 なぜ走れないのかと足を睨んでしまう自分。眉を八の字にしては立ち止まり、果てない空を見つめ始める。

 そんな日々に焦り、窓を網戸にして開けていると、ふとした涼しい夏の夜に鈴虫のオーケストラが聴こえてきた。

 目を瞑り耳を傾けると優しい音色に惹かれ、ゆったりとした時間が流れる。

 リンリンリン。りんりんりん。しんしんしん。

「さて、どうしたものかな」

 労わる優しさももちろん大切。しかし、そろそろ自分の遅さに叱咤激励、背を叩く時が来たかもしれない。

 少しずつ自分をコントロール出来てきたならば動かねば何も始まらぬ。守るのも背を押すのも自分でなければ動かない歯車だから。

『頑張っていれば苦しい時も多い。けれど険しい山を乗り越えてこそ、たどり着く場所がある』

 そういうセリフを何処かで聞いた。自分なら大丈夫。もう耐えれるだろうと、言い聞かせて一歩ずつ進む。

「まずは深呼吸する」それが大切。

 時折、夏夜の音に耳を傾けながら──リセットしよう。


あとがき
題名は【しょうそう なつよの ね】と読みます。

カクヨムでは修正加筆し投稿しています。noteは絵と初出しの雰囲気を味わって頂けるかと思います。

読んで頂きありがとうございました。

良い夜をお過ごしください。

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