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夢から覚める時
皆さんは、推しを推すのをやめたことがあるだろうか。
わたしはある。
約10年間推していたアイドルを推すのをやめた。
それっぽく言うと、オタ卒した。
ちょっと前のわたしにはオタ卒なんて考えられなかった。
一度ハマったものは末永く愛でる。
それがわたし。
新しく別のアイドルに興味を持って担降りした訳じゃない。
2次元から3次元に興味を変えた訳じゃない。
アイドルという尊い存在の推しを推すのをやめたのだ。
熱愛発覚?
不祥事?
芸能界引退?
全て当てはまらない。そんな理由じゃない。
推しのビジュアルが劣化したからだ。
わたしは推しを商品として見ている。
性格にはあまり興味がない。実際に会って話すような関係性ではないからだ。
頻繁に会って話す関係でない時点で、性格はイメージの押し付け、オタクの妄想でしかない。
だから、自分の好みの容姿でいてくれて、歌もダンスも芝居も卒なくこなして、キラキラのアイドルをしてくれたらそれでよいのだ。
そんな推しの顔が大好きだった。
いつもグループのセンターにいて、一番人気で歓声がとんでもない量で、キラキラした推しが大好きだった。
でもある時、気になってしまった。
最盛期はとうに過ぎてしまったのではないか、ということに。
実は気付いていた。
推しへの熱量が年々減っていることに。
いつのまにか買うだけで開封すらしていないCDやBlu-rayが増えた。
雑誌も読んでないし、ライブに行ってもグッズは何も買わなくっていた。
チェックしているのは朝の情報番組で流れる新ドラマ情報や新CMの情報くらい。
音楽番組もドラマも録画だけして見ない番組が溜まっていく。ハードディスクの容量だけが逼迫した。
多分これが「もう推し活は終わりだよ」の合図だった。
その後もしばらく惰性でCDを買ったり、ライブに行ったりしたけど、あんまり楽しくなかった。
推し、ごめんなさい。
あなたを推す時間はとても楽しかった。
いつしか楽しみは義務になってしまった。
わたしはもうあなたが居なくても大丈夫みたい。
あなた以上に美しい推しはまだ見つからない。
推し、今まで本当にありがとう。
そして、さようなら。
今でも元推しがテレビに出ていると、
ああ、わたしこの人のファンだったんだなと思い出すことがある。
今も人気だけど、これからも人気は伸び続けると思う。
これからもたくさんの人をその夢の中に誘ってほしい。
わたしはもう応援はしないけど。
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