4年目の彼女の噂
新卒から勤めて4年目だという彼女を「新人」と呼ぶには時間が経ち過ぎている。
彼女には4人の後輩がいる。
2022年入社1人、2023年入社の2人、2024年入社の1人だ。
聞くところによると、4年目の彼女は2年目と3年目の後輩たちにスキルで追い越されてしまったらしい。
上司たちは4年目の彼女を気遣いつつも、成長して欲しいと願っている。
しかし状況は好転しない。
後輩との能力差がどんどん開いていく。
4年目の彼女はとても要領が悪い。業務量は後輩たちよりも少ないが残業が目立つ。
どうやら話を落とし込んで理解することが苦手で作業の手戻りが多いようだ。
4年目の彼女は後輩たちに舐められている。後輩たちもどこでそんなに性格が捻くれたのか不明だが、4年目の彼女へのリスペクトの感じられない態度が目立つ。
4年目の彼女はいつも自信が無さそうにしている。そのため商談中にクラアントは4年目の彼女へ話を振らなくなり、彼女の上司とばかり話し出す。
この間一緒に仕事をしてみてわかったのは、あなたは仕事ができないのではなく、この業種が向いていない、ということ。
トレンドの移り変わりの早いITの世界で、4年前の情報を宝物のように大切にしているあなたには厳しい世界だ。
毎日残業をして自分に足りないスキルと向き合う時間が取れず、自分に足りないスキルについて目を瞑り、自分に足りないスキルの習得を後回しにする。勉強熱心な後輩たちに追い越されるのは当たり前だ。
今回4年目の彼女はとても難易度の高いプロジェクトのリーダーを任された。彼女はどこか自慢げだったが、わたしたちは知っている。
これが彼女に対する最後の審判であることを。
彼女はこのプロジェクトを遂行できない。完全にスキルが伴っていないからだ。
上司はそれを承知した上で彼女をアサインする。
彼女にこの業種が向いていないことを理解させるためだ。彼女がこの道に進むのを諦めさせるためだ。
こんな上司は酷いだろうか。
わたしはあまりそうは思わない。なぜなら彼女の尻拭いをしてきたのは上司だからだ。
彼女がミスだらけの資料を提出してきた時も、完成まで辛抱強くサポートしたのは上司。
彼女がミスをしかけた時も防いだのは上司。
彼女が仕事で落ち込んだ時も励ましたのは上司。
そんな上司だからこそ、匙を投げてもいいと思う。
だって、こんな奴の相手疲れるじゃん。
どんなにサポートしてもミスは減らねえし、後輩より仕事できないって本人が自覚にしないようにフォローしないとなんねえし。だるいじゃん。
頑張ってる振りだけ一人前で努力した気になってる部下なんて要らねえじゃん。
この本音は4年目の彼女に伝わってはいけないけど、4年目の彼女は危機感を持ったうえでもっとスキルを磨いて欲しい。自分に合ったスキルを。
4年目あなたは評価に関する噂話なんて都市伝説くらいに思っているかもしれないけど、隣のチームのわたしでさえあなたの評価は聞こえてくるよ。
きっと上司たちはもっと生々しく評価しているよ。
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