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『四畳半タイムマシンブルース』

久しぶりのこの世界観。

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『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦


炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか?「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さんと対策を協議しているとき、なんともモッサリした風貌の男子学生が現れた。なんと彼は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。そのとき「私」に天才的なひらめきが訪れた。このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持ってくればいい!小津たちが昨日の世界を勝手気ままに改変するのを目の当たりにした「私」は、世界消滅の危機を予感する。『四畳半神話大系』と『サマータイムマシン・ブルース』が悪魔合体?小説家と劇作家の熱いコラボレーションが実現! (Amazonより)


前作の世界観って、独創的で癖強くてキャラの独り歩きが半端ないイメージで、好きだけど中々すっと頭に入ってこない記憶があった。

でも今作はコロボ相手が映画で知っていたこともあり、ややこしい時間軸をややこしいキャラクターが輪をかけてややこしくしていたけど、割とすんなりのめり込めた。

そしてアイロニカルというか厭世的な感じかなと思ったら、タイムトラベル物の王道パターンのような期待感が湧く展開があり、ラストはこれぞ大学生というような予想外の爽やかさがあった。

でも何かを得たりメッセージを探したりというような読み方ではなく、ただこの世界観を堪能するという、贅沢で怠惰な味わい方をできるところは作者ならでは。

あまり数読んでいるわけではないけど、作者のはじめの一冊に是非オススメしたい一冊。


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