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バレットジャーナルを始め、デジタルが万能だと思い込んでいたことを知った

バレットジャーナル(Bullet Journal)というメソッドがある。スケジュールやタスク管理、ライフログを兼ね備えたようなシステムだ。これは、好きなノートとペンさえあればはじめることができる。

このメソッドを開発したのは、NYのプロダクトデザイナー、ライダー・キャロルさん。彼は学習障害を持っていて、幼いころから学校生活で難しいことが多かったそうだ。集中力を欠きがちなため、試行錯誤してバレットジャーナルを開発した。大事なことを即座に記録し、ひと目で今のやるべきこと、やったことなどの状況がわかるシステムだ。

「バレットジャーナル」と名前がついているからといって、その名前の手帳が売っているわけではなく(推奨されているノートはある)、ノートとペンを用意して自分で作っていく。Instagramなどでハッシュタグを検索するとものすごく美しいイラストやレイアウトで魅力的なページを見ることができるけれど、それは使う人のやりたいようにやればいいものだそう。すばやく記録して、タスクを管理し、ログから振り返りができることがバレットジャーナルの本質とのこと。

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最初にわたしがバレットジャーナルのことを知ったのは、手帳術講師のしゅうともさんとの出会いがきっかけ。彼女は他のたくさんの既製品の手帳にも詳しいので、個人的に相談をさせてもらうと「タイミング的に新しい手帳が使える前なので(10月始まりの手帳を買うには少し早い、9月に入ったばかりだった)せっかくiPad Proもあるし、10月までデジタルでバレットジャーナルを試してみてはどうでしょう?」とアドバイスをいただく。

いつも持ち運んでいるiPad Proでならできるかも、と思い気楽な気持ちで初めてみることに。ノートアプリ(Noteshelf2)を前々から愛用していたので、新しくバレットジャーナル用のノートブックを作って、あれこれググりながら自分なりに欲しい内容を詰め込んでセットアップ。

なぜ既製品でアナログの手帳を検討していたかというと、タスク管理にはずっと迷走し続けていたからだ。有名なアプリはそれなりに使ってきたし、特にtodoistはもしかしたら史上最高に合っているかも、というくらい気に入っていた。でも、ただタスクを管理するだけでなく、ライフログもとりたい。以前書いたひとりSlackも活用してはいたものの、どうもなんとなくしっくりこない。精神疾患を持ちながらフリーランスとして働いているので、体調も仕事ももっとマネジメントしたいと思っていた。

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仕事のタスク管理システムをいきなり全部変更するのはリスクが大きいと思ったので、まずはしゅうともさんに教えてもらった通り、iPad Proでプライベートのタスクとログだけを管理することに。すると、これがとっても楽しくて…!

毎朝、起きたら前の日の振り返りをして、家を見渡して必要な家事をタスクとして記入。スケジュールや仕事のタスクを見て計画を立てる。ウェアラブルデバイスで記録している睡眠時間も、毎日書き残しておいて睡眠不足にならないようにチェック。睡眠が不足すると病気の症状が悪化することがあるので、こういう細かいこともわたしには特に大事だ。

何より「わざわざ手で書く」ということが、びっくりするほど良い感じだった。タスクひとつひとつについても「これは今日やるべきか・必要なのか・もっと細かくする必要はあるか」と考えられる。デジタルツールだと、ぽいっと記入して終わり、ということがよくある。素早く記録できるのは大事なのだけど、ひとつひとつのタスクについて考えることも大事だと痛感した。そして、手で字を書いていると思考のスピードもゆっくりになって、心が落ち着く感覚がある。「やりたいことリスト」など自由に好きな量でページを作って、未来の自分に思いを馳せる時間はとてもワクワクする。

すっかりハマってしまい、デジタルツールでの管理とメリットデメリットをあれこれ考え、仕事のタスクもバレットジャーナルで管理をはじめた。同じiPad Proでノートブックを「仕事用」「プライベート用」と行き来するのは面倒で続かなくなりそうだったので、偶然、使い道もなく家にあったA6サイズのモレスキンを使ってみることに。

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A6サイズは小さいので仕事をしている机に開いておいても邪魔にならない。思いついたことやタスクの状況はすぐに記録して、できたことは「やったー!」みたいに書いたり。まだまだ運用していくのはこれからだけれど、パラパラと見返すのも楽しく、つい何度も見てしまうので、やりたいことやタスクを目にする機会が増える。見ることが多い方が、無意識に刷り込まれると思う。タスクを「完了」にする作業も楽しい。

PCやiPad Proなどを使ったIT系の仕事をしている関係もあり、今までアナログの手帳よりデジタルツールの方が便利だと思い込んでいたかもしれない。あれこれとデジタルツールを試す中で、どうしても自分のやりたいことにぴったりフィットする管理方法がなかった。(IFTTTでアプリ同士を連携させるなど、たくさん試行錯誤した)でも紙の一覧性の高さで振り返りもしやすく、週末と月末にやっている振り返りKPTもスムーズにできる。

とはいえ、紙(やiPad Pro)にパッと書けないタイミングもあるので、そんなときは自分のSlackワークスペースを使ってメモして、あとでチェックしてバレットジャーナル に書き込む。また、リマインドが必要なタスクについてはiPhoneの「リマインダー」を使っている。位置情報とも連動できるので、家に帰ってきたら「うがい」とリマインドしてくれたり。スケジュールは、行き方まで調べてスケジュールに入れられるのでGoogleカレンダーのままだ。

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プライベートか仕事か?と迷うような場面も出てきそうだけれど、iPadでなら思っていることを書きまくっても紙ほど人に見られる心配がないので、今の所これでいこうと思っている。

スケジュール、タスク管理、ライフログ…と言葉こそ違うものの、わたしのやりたいことはひとつで「自分の人生をもっと良くしたい」ということ。それにはいろんなことが密接に関わっているので、シンプルに全てを記録するバレットジャーナル はとても自分に合っていると思う。「トラッカー」というページを作るアイディアがあって、ラジオ体操のスタンプカードのように、やりたいこと・習慣化したいことを記録することもできる。

わたしはこれで朝少しヨガをやることや、うがいをすること(風邪をひきまくったので)などが習慣づいてきて、少しずつ「できる!」を積み上げていくことは着実にわたしの自信になっている。仕事関係の個人的なアウトプットも、見えるようにしておくとやる気が出るし、やるべきことか見直すこともできる。

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バレットジャーナル を使い始めたばかりのわたしがバレットジャーナルについて語るのは…と思ったけれど、使い始めたばかりだからこその気づきや熱中ぶりを伝えられたら、とnoteに書くことにした。

そしてバレットジャーナル を開発したプロダクトデザイナーのライダー・キャロルさんがこのメソッドを開発したことが、ものすごく素晴らしいことだとわたしは思う。病名こそ違うものの、わたしも精神疾患を持ちながら生活することでたくさん苦労した。だからこそ自分なりにあれこれ試行錯誤したのだけど、自分のために開発したものがたくさんの人の生活を豊かにするなんて。ライダー・キャロルさんの住むNYに足を向けて眠れない…

デジタルツールがどんどん開発されている昨今、素晴らしいツールはたくさんあるけれど、デジタルが便利とは限らない。自由に、自分に合った方法をとっていきたい。そう思った出来事だった。

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