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たった5分ほど「誰かにとっての役割」を休む

「瞑想がいい」

謳う効果は様々だけれど、瞑想についてはビジネスの本でも健康の本でも、ありとあらゆるところで見かける。例に洩れずにわたしも何度かトライしたことがある。可愛いアプリを使って、キャラクターがだんだん成長していくのも楽しかったし、瞑想前と後で気分の変化を入力するので効果を感じていた。

それなのにいつの間にか止めてしまい、アプリも消してしまっていた。もうすっかり瞑想のことを忘れていたのだけど、一昨日、また思い出して入れ直した。懐かしい。

他人は変えられないから、他人に期待してはいけない

これもまたよく聞く言葉だ。わたしは他人への期待を、ずっとずっと手放せない。誰かと会うときだけでなく、連絡をとっていないときも誰かのことを考えていることもあるし、表現の結果は求めすぎるほどだと思う。そんなことはわかっていたけれど、わかりきっていたけれど、だからこそどうしたらいいかわからなかった。

でも、ヒントはふと訪れた。

「自分の頭の中をくだらないと思ってもアウトプットしまくらなければならない」と気づいて、メモをどんなときも手放さないようにし始めた。アイディアは明文化されてその量に驚いたし、つらい感情も全部書くと、わたしの殴り書きは他者の期待と不満にまみれていた。

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他人は変えられない、それにわたしだって変えられるのは嫌だ。それならこうやって字を荒らして書き続けながら耐えるしかないのか、と気が遠くなった。

まるで実験動物みたいだ。ボタンを押すと餌が出ることを知って、楽しみに何度も押すも、餌が期待通りに出なくなるとやがて憔悴してボタンを押すことすらしなくなる。狭いケージの中でうずくまる。

だけど、感情が昂った状態で相手にぶつけるとロクなことにならない。話し合うなら気持ちを落ち着かせてから、と思うものの、気持ちの落ち着かせ方が分からなくて不機嫌になってしまう。

「そうだ、解決はしなくてもわたしの気分がひとまず落ち着けばいいんだ」

そこで瞑想を思い出した。昔ヨガをほぼ毎日やっていたこともあるし、普段いかに呼吸が浅いかはヨガや瞑想をやるとよくわかる。

早速、前に使っていたアプリをダウンロードしてみた。

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アプリにはたくさんメニューがあって、シチュエーション別におすすめの音源付きメニューがある。前はずっと鐘の音で瞑想していたのだけど、うまく呼吸ができなかったので、声でガイドしてくれるものを試してみた。

胸が広がるように限界まで…とガイドの声に導かれて息を吸うと、「えっこんなに吸えるの」と思ってびっくりする。こんなに自分の体をぎゅっと小さく縮めて過ごしていたのか。

そして、アプリの中で新しいプログラムも試してみた。「気分を変えたいときに」というテーマだったのでピッタリだと思ってプログラムをスタートすると、いきなりピアノの音から始まった。自分でも驚いたけれど、ぐっと泣きそうになった。聴き慣れた音色。瞑想はこれからなのに。

前もnoteで記事を書いた通り、ピアノはわたしにとって特別な楽器だ。記憶も曖昧なくらい小さな頃から聴いているから、もはや胎教で聴いていたようなものなのかもしれない。音楽もピアノが入ったものが好きなことが多い。

やっとつい最近、ほぼ毎日楽しく練習できるようになったけれど、寂しいときにヘッドフォンをして目を閉じ、ピアノの鍵盤をひとつ、ぽーんと弾くこともある。音が消えていくのを聴いていると落ち着くなと思ったこともあった。

瞑想プログラムの思わぬ感動に驚いていると、ガイドの人が優しく語りかけてくれる。呼吸の仕方やリラックスの仕方から始まって、また泣きそうな場面に出会った。

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今は、だれかの子であること、お仕事のこと、全ての役割を、おやすみしましょう。何かになろうとすることを、おやすみしましょう。

ぐっときた。

生きていればどんどん増えていくあらゆる役割。思えば物心ついたときからたくさんいろんな顔をしてきた。おねえちゃんだからしっかりしなきゃ、キャプテンだからしっかりしなきゃ、もう○歳だから…

わたしは空想が大好きだ。だから「全ての役割をおやすみしている自分」をイメージしたらとても楽になった。心の換気をするように新鮮な空気を吸い込み、手放したいものを流すように息を吐く。すぐ空想してなりきって遊べる自分がおトクだなと思った。

実際に深呼吸にたくさん心身の健康の効果はあるだろうけどわたしは詳しくない。ただ「全ての役割をおやすみしている今の自分」に浸ることで気分は驚くほどほぐれた。わたしはずっと、自分の人生をおやすみしたかったから。

アプリにはカレンダーがついていて、瞑想をしたかどうかと回数が表示される。疲れたり気分が荒れるたびにこのプログラムを行うようにしたら、ストレッチするより効果を感じることすらあった。

昨日の回数は3回、今日は今のところ2回。頑張ってやろうとしたわけじゃない。「これだけ気分を変えたい自分がいる」ということに気づいた。それなら何ができるか、思いついて芽が出るまで、雨風を凌げる方法を見つけたかもしれない。



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