DTPオペレーターが印刷できるデータについて解説
どうもオペレーターのまさゆきです。
前回はDTPがどんな仕事でどんな道具がいるか解説してきました。
今回はトラブルになりそうなあるあるパターンを紹介します。なぜトラブルになるのかリアルな話もしていきます。
長文となったので読むのが面倒な場合は「まとめ」まで飛ばしちゃってください。
※本記事は初学者、DTP未経験向けに書かれた記事なので厳密さよりわかりやすさを重視してるのでご了承ください。
印刷できるデータとは
デザインされたデータは印刷に適したデータに変換されます。それをRIP(リップ)と言いますが、その処理が問題なく行えて、意図した印刷物に仕上がる。これが印刷できるデータという事です。
エラーが出たり思ったように印刷できない場合は「印刷できた」とはいえません。
印刷が終わると製本といった加工があります。DTPではこちらも考慮してデータを作成します。例えば塗り足しが3mmいるといったルールは印刷よりも加工を考慮してのルールです。
トラブルになりそうな箇所は事前にデータで対策しておきます。
※現在主流とされるワークフローについて解説していますが印刷会社によってルールが異なります。
問題のあるデータ
仕上がりサイズで作られていない
仕上がりサイズとは印刷物が仕上がる際のサイズです。A4サイズのチラシを作るなら210×297mmが仕上がりサイズになります。
また、アートボードサイズ=仕上がりサイズとする必要があります。つまり新規ドキュメントを作成する際に仕上がりサイズを入力します。
仕上がりサイズで作成する理由の1つとしては、印刷前に行う「面付け」と呼ばれる工程で困るといった事があります。
複数ページがある冊子類は1枚ずつ印刷しているわけではなく、大きな紙に複数ページ配置して印刷しています。これを最終的に正しいページ順になるように加工しています。
上の画像は本を作る際に面付けされた折丁です。この場合は1枚の大きな紙に計16頁を配置しています。
この配置する作業が面付けです。面付け作業をシステムで自動化しているといった場合、データから仕上がりサイズが取得できないと上手く動きません。
なので新規ドキュメントを作成する際にアートボードは仕上がりサイズに設定しましょう。
裁ち落としがない
仕上がりサイズより上下左右3mm大きめに作らないと、裁断する際にトラブルになる可能性があります。印刷物の端っこにある「トンボ」はその為にあります。
塗り足しがないと、裁断する時にズレると白い余白が生まれてしまって、カッコ悪い仕上がりになります。
「ピッタリ裁断しろよ!」と思うかもしれません。やろうと思えばピッタリ裁断できますが時間と労力がかかります。大量生産において合理性がないのでピッタリ裁断しません。
ちなみに「仕上がりサイズ=アートボードサイズ」で「塗り足しが3mm」あればトンボはいりません。
Illustrator上でこれらを設定しているとデータから仕上がりサイズと塗り足しの情報を取得できます。逆にトンボだけだと情報が取得できません。
手動で面付けする場合はトンボがいたりします。これは印刷会社や印刷方法によって違うのでトンボがあったほうが「安心」だから付けているパターンがほとんどです。そもそも面付けするとトンボ付け直しますからね。
新規ドキュメントを作成する際に裁ち落としは3mmに設定しましょう。
黒色に問題がある
よくあるのが黒がK100%じゃないというパターンです。
K100%の色をスミと呼んでいますが、そうではなくCMYKそれぞれが掛け合わされた黒色になっていることがあります。RGBで作ったデータをCMYKに変換すると上の画像のような黒色になります。
印刷は Cシアン Mマゼンタ Yイエロー Kブラック の4色で印刷します。それぞれ印刷して重ね合わせてカラーを再現しています。4回も紙に印刷するとどうしてもズレます。
これを版ズレと呼んでいますが、掛け合わされた黒色だとそのリスクが高くなります。特に文字のように細かくて小さい物はズレると読みにくくキレイな仕上がりになりません。
黒色はK100%にしましょう。
スミ文字にオーバープリントがかかっていない
だんだんコアな話になってきました。オーバープリントとはノセ処理の事です。背景の上にそのままインクを乗っけます。
逆に背景をくり抜いてインクを乗せない抜き合わせもあります。通常はこちらの処理を優先しています。
まずは抜き合わせの解説します。
例えば背景の上にイラストを配置する場合は、背景をくり抜きます。くり抜かないと背景の色とイラストの色が混じってしまいます。この処理を抜き合わせと言います。上の画像の下側です。
基本的には自動的に行われる処理なので意識せずデータを作っていると思います。
逆にくり抜かない場合もあります。これをオーバープリントと言います。上の画像の上側です。通常は色が変わると困るので抜き合わせをしますが、背景があるスミ文字はオーバープリントが望ましいです。
先ほど 版ズレすると読みにくくキレイな仕上がりになりません と解説しました。スミ文字のオーバープリントはそのための処理です。
抜き合わせは背景をくり抜きます。くり抜いた状態で版ズレを起こすと後ろのくり抜きが見えます。
なので上の画像のように文字の周囲が白くなったり、背景のさらに後ろの背景が見えたりします。文字は細かいのでほぼ必ず版ズレます。
オーバープリントにするとくり抜かれないのでこの問題が起こりません。しかもスミ文字をオーバープリントにして背景の色と混じっても目立ちません。黒に色を重ねても黒です。減法混色ってやつです。
なので印刷所によってはK100%は強制的にオーバープリントにしたりします。自動スミノセと呼んでいます。
InDesignはK100%の物は自動的にオーバープリントになります。親切ですね。
Illustratorは自分で設定する必要があります。不親切ですね。なのでIllustratorで作られたデータはズレて読みにくい場合がほとんどです。
まとめ
他にもトラブルになるパターンは様々ですが代表的な物を挙げてみました。印刷できるデータ作りとして…
アートボードを仕上がりサイズにしている
裁ち落としを3mmに設定している
黒色はK100%
K100%の文字はオーバープリント
に注意していれば問題になりにくいです。データを印刷会社に送る際はチェックしてみてください。
※もちろん印刷会社のルールに従う事が一番安全です。
ちなみに上記の問題はIllustratorのデータである事がほとんどです。
InDesignの場合はワークフロー的に上記の問題が起きにくいです。DTPはなるべくInDesignで作成しましょう。
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