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タイでのエピソード・その61

その60の続き—

とある日、またS氏のラーメン店で飲み会をすることになった。

その日、私は多くの仕事を抱えていた。それなりにカネになる事だったのでやりたかったが、他ならぬS氏の誘いだし、断れない。

まぁ、たまにはゆっくりするのも良いだろう。そう思った私は、彼の誘いに乗って、時間通りにお店に着いた。

ケリンちゃんと店の店長が席で待機していた。S氏はゴルフの接待で遅れてくるとのこと。

私は、S氏が到着するまで彼らと話す事にした。

一見すると、二人とも普通に良い人そうに見えた。ただ、店長はいまいち、頭がよろしくない。基本的に人の話を解さない。例えば、私が話した事に対して的確な受け返しが出来ない。

なるほど、こりゃS氏は苦労してそうだな。

この店長もケリンちゃんも、私と二人で話すときはとても謙虚だ。私に「さん」付けをするし、私の言う事も概ね否定せず、合わせながら聞いてくれる。

…そうこうしているうちに、S氏がようやく現れた。

彼は、私に指定してきた時間より2時間遅れて来た。

…まぁ、問題ないけど。私はそこまで時間にうるさい方ではないからね…。

それよりも、だ。

ケリンちゃんも店長も、S氏が来た途端、豹変した。恐らく、その事に彼ら自身も気付いていないのだと思う。

ここまでは私の意見を尊重していたのに、S氏が来てからと言うもの、まるで通用しない。店長にいたっては、ボスに媚びへつらうサルの如く、私をいじり始める始末。

ケリンちゃんが帰宅し、私と店長、そしてS氏の三人になった。

店長の「調子こき」はまだ収まらない。弱い人間たる証拠。確かに彼にタイはふさわしい。こういう人間が、バンコクには集まるのだ。

こんな人間に敬語を使う必要があろうか?

そう思った私は、ついに店長にタメ口を叩く様になった。

私の事を知ってる人は分かると思うが、私が同年代の友人以外にタメ口を叩くと言う事は…よっぽどの事なのだよ。

すると、急に店長の腰がひけた。やれやれ…何と言いますか。

…と、その次の瞬間、S氏が私を睨みつけ、こう言った。

「おい、てめぇなんだその態度はコラ!」

お山の大将、現る。

再び彼は私を威圧し、「何だテメェコラ!」と言ってきた。

驚くと言うよりも、ほとほと呆れ果て、何も言えなかった。私は一歩も引かず、彼の目をじーっと見つめた。

するとお山の大将は「何だよ!?あ!?」と言った。

…私は深いため息をつき、立ち上がった。

「…なんか、すいません。場を壊してしまった様なので俺、帰りますね。お疲れ様でした。」

私がこう言うとS氏は動揺し、「な、何だよ。言いたいことがあるんだろ?座って言えよ…」と言い始めた。

この時の彼の心情を全て代弁するなら、「何だ!?こいつ、本当にマサヤンか?もっとビビると思ったのに…どう言う事だ!?」だ。

…私の8年間は確かに、あなたの8年間に比べれば全くと言っても良いほどカネを生まなかった。だがどうやら、人として成長したのは私の方だね。あなたは…変わらないなぁ。むしろ、退化している。

あとは…他の無料記事で述べた通り。

私は静かに、以下の様に述べた。

「いえいえ。帰ります。でもSさん、これだけは言わせてください。俺は指定された時間にここに来ました。あなたは客人である俺を2時間待たせた。にも関わらず、一言も謝罪の言葉を言ってくれませんでした。」

…S氏は下を向き、黙って私の話を聞いている。

私は続けた。

「あと、実は今日、俺には仕事が入っていました。しかし、俺はその仕事を蹴って、あなたと飲む方を選びました。今日蹴った仕事は、日給2、3万円になろうかという仕事でした。その仕事よりも、あなたと会う方を選んだんです、Sさん。」

…下を見たままのS氏に向かって、最後に私はこう言った。

「Sさん…不本意です。」

すると、店長が「はぁ?」と言った。どうやらこのバカは空気すら、読めない。そのままラーメン店の店長をやってるのがよろしい。

とうとう、S氏は最後まで口を開かなかった。

私は食事を奢ってくれた事に対して感謝を述べ、その場を後にした。

彼がどんなに恐ろしい人間と繋がっていようが、関係ない。私はそんなモンに屈しない。クソ喰らえだ。

でも別に、彼を恨んじゃいないのだよ。未だに連絡を取り合っているからね…。

でも当マガジンのコンセプトは、「私の思い出を語りつつ、出来るだけタイ・バンコクを紹介する」と言うものだ。故に、正直に思ったことは正直に伝えたい。ここに忖度はいらないだろう。

彼が経営するバンコクのラーメン店は、「らーめん味彩」と言う。

ハッキリ言って、味はよろしくない。私だけではなく、私の周りの知人も「味彩は無い」と言っていたくらい。値段も味に対して不相応で、異常なまでに高い。冗談抜きで、悪い噂しか聞かない。

バンコクには競合の日本人向けラーメン店が腐るほどある。しかも、どれもレベルが高い。その中でもこの「味彩」のレベルは、明らかに低い。

S氏に酷い目に遭わされたから言うのではなく、味に関しては本当の話なのだ(笑)。新作を試食させられた時、反応に困った。本当に、よろしくない。

よって、タイでラーメン店に行くなら、他のお店をお勧めする。

私は家に帰り、また一人、静かに仕事を始めた。


その62へ続く—

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