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タイでのエピソード・その74

その73の続き—

コンドミニアムを出ていく手続きも済ませ、チケットも購入し、帰国のカウントダウンが始まった。

近所のテスコロータスで思い出を拾う。

お世話になったオンヌット・テスコロータス内のフードコート。カネの無い時はここで激安の昼飯を食い、凌いでたなぁ。

…ふふ、気分的にはすっかり旅行者だ。

次に、一番お世話になったデパート、エムクオーティエに足を運んだ。

あぁ…ここも語り尽くせない。

私のバンコクでの思い出は多分、かなり異質なものだ。普通なら海や屋台、お寺など…「タイならでは」の場所を思い出すのだろう。

でも私は、その類の所にあまり行かなかった。この二年間でのプライベートをほぼデパートで過ごした。大きく、種類も多く、エアコンも効いて快適かつ楽しかったのだ。

エムクオーティエ内のアーノーズ。以前も紹介したと思う。安さにびっくりしたっけなぁ。

ステーキを注文し、ガーリックトーストと一緒にがぶりつく。

こんなん、美味いに決まってる。

さらに日系のカフェ、イワネさんにも立ち寄ってコーヒーを一杯。

新しい店に行こうと思っていたのに…結局、定番どころで思い出を拾ってしまった。

さらに、タイで最もハイソなデパート、セントラルエンバシーをボケーっと歩く。はは、本当にいつも通りだ。

あの時は…ここでどうにかなると思っていた。

自分には、その力があると思っていた。

ここで肩幅効かせて歩くチャイニーズよりもさらに…上に行けるような気がしていたんだ。

なのに…

今回の渡タイもまた、「負け戦」かよ…。

…そんな事を思いながら、もうすぐ見納めとなる景色を目に焼き付けた。

幸いなのは、「帰っておいで」と言ってくれる家がある事だ。おふくろは元気だろうか…。親父の認知症はどうなった?またさらに進んでしまったのだろうか…。

釧路の夕日が、頭の中で思い起こされた。

あぁ…私はまた帰る。あそこに…。

まるで引き合う磁石の様だ。

どんなに、どんなに、どんなに頑張って離れようとしても、あそこに引き寄せられてしまう。

私の根性が無いだけ。生活力が無いだけ。親に甘えているだけ。結論、そうなのだよ。

でも…今回を機に、「宿命」ってやつを真面目に考える様になった。私は結局、あそこから出られない運命なのかもしれない。少なくとも、今は…。

出ようとすればするほど、痛い目に遭う。物理的に、この北海道釧路市から距離的に離れれば、確かに良い経験は出来るが、その分とんでもない目に遭い、結局は戻される。これを繰り返して来た。

…もう、足掻くのはよそう。幸いにして親もまた、受け入れてくれた。

あの老夫婦の元でしばらく、一緒にいよう。ただただ、そう思った。

その時はまだ、おふくろをワクチンで失う事になるなど知る由も無かった。コロナが流行する少し前だったからね。

それを考えると尚の事…私の人生はある意味、出来過ぎていた。

またタイにリベンジするかどうかは…分からないな…。でも、住むことは無いと思う。どんなにカネが出来たとしても「第二の住まい」とし、あくまでも遊びに行く場所として捉えるだろう。

——数日後、チェックイン当日。

部屋を出ていく段取りが終わり、後は空港に向かうだけ。

不動産屋さんが部屋のチェックをする。タイの女性の方が行った。日本語ペラペラ。

「はい!問題ありません!」

そう言うと彼女は扉を開け、「もう空港に行かなきゃいけないですよね?タクシーを呼んでありますので、どうぞ!」と私を誘導してくれた。

私は「五分…いや、二分だけ待ってもらえますか?」と言った。

彼女は「分かりました」と答えた。

窓からの景色を眺める。

…そこには無限の可能性が広がっていた。いや…そう思い込んでいた。でも、結局…大きい様で、小さかった。モンスターシティ・バンコクもある意味、釧路の街と変わらない。私の一部に過ぎなかった。目に見える物質的な存在全てが…まやかしに過ぎないのかもしれない。

感情的になり、笑い泣きながらタイ語で叫んだ。

「二年。二年だ!二年もいたんだ!ここに…二年も…」

「…そうですね。思い出深いですよね。」

担当のタイ人女性は優しく、そう答えた。

たかが二年。されど二年。この二年間…いや、通して三年間のタイでの経験は、私を確実に成長させた。

カネは手元に残らなかった。でも…色々な気付きがあった。

負け戦なんかじゃない。「勝ち」も「負け」も無い。胸を張れ、マサヤン=ケンヂ。全ては必然であり、「ただ、ある」のだ。このストーリーも、決まっていた。それだけのこと。

…私は二年間お世話になったコンドミニアム、The Base Park East、そしてハビトモールを後にした。

バイバイ、ハビトモール。また遊びに来るよ。たくさんの素敵な思い出をありがとう。

…こうして、私は日本へと飛んだ。

実はこの後中国に渡り、さらに大阪で滞在する事にもなるのだが…「タイでのエピソード」とは趣旨も異なるし、特に書く事も無いので、一旦ここで終わりとさせて頂く。

ただ、今後またタイに行く事もあるかもしれない。2022年6月から、ワクチン未接種者も受け入れるとの事だからね。

その際は再び、このマガジンで続きを書こうと思っている。

こうして振り返ると、あまり面白くもない。私は「タイならでは」な所に本当に行かなかったんだなぁと強く実感した。

観光地に足を運んだのは、パタヤ以外だとワットアルーンくらいだろうか。

「インスタ映え」するお寺として有名なところ。確かに神秘的な内装ではあった。

でも写真オッケーな時点で何とも胡散臭い。場所としても有名過ぎるし。その場にいるのはほぼ、日本人旅行者。大学生なんかもいるので、ナンパスポットとしておすすめ。…まぁだから、その程度の場所という事だ(笑)。

ではでは。

こんなしょーもない私のタイ・エピソードに付き合って頂き、有難う御座います。

その時の私は「何も得られなかった」と落胆しつつ帰国したものの…結果として、そんな事は無かったという事だね。むしろ、密かにとんでもなく大きな物を手に入れて帰ってきた。

「経験」とは、何物にも変え難いもの。

私の旅行記が皆さんにとって少しでも、行動を起こすきっかけになれば幸いです。

——またこの続きを書ける時が来る、その日まで。


その75へ続く—

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