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カネの神様

「カネの神様ってのは本当に、いるからね。」

十年ほど前、私がタイに住んでいた頃、お世話になった人物(以下、N氏)のセリフだ。未だに耳に残っている。その時は全く何を言ってるのか分からなかった。

しかし、今ならあの人が言っていた事が理解できる。

多分、あの人以上に...。

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三年ほど前に再びタイで会ったN氏は、未だに億を稼ぎ出すビジネスマンとして、ブイブイいわせていた。タイで某ラーメン屋を買収し、中国も視野に入れて動いている。

とにかく行動力がハンパじゃない。ここは成功者が共通している所だろう。何ていうかもう、マグロって感じだね。

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動いてないと死んじゃう、みたいな印象。

「相変わらず、グレーな事もしてるんですか?」と突っ込んだ質問をしてみた。

そしたら「ん?ていうか...バレないって分かってんならブラックでも普通にやるけど?」と、鼻で笑いながら言った。まぁ、そんな人物だ。

十年前の私は、自分で言うのもナンだが本当に情けなかった...。その時の私のイメージを引きずっていたのか、N氏は相変わらず私をバカにし、いじめてきた。

私を飲み会の席に呼び、みんなの前で罵倒し、一気飲みをさせた。何と言うか、私を「そういったキャラクター・ポジション」にしたかったみたいだ。ドラえもんで言えば私がのび太、彼がジャイアンだね。

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まぁ、それでもみんな笑ってくれていたし、そこまでプライドに触らなかったので普通に接していた。何だかんだ言って、私と久しぶりに会えたのが嬉しいみたいだったし、私も楽しかった。

N氏に会うのは約八年ぶり。八年という歳月は本当に長い。この八年で私は数え切れないほどの経験をし、大した事は無いが人間的にもそらーちょっとは成長した。ライターとして、一人で稼げるくらいにはなっていたからね。

...でもまぁ、私はそんな事をムキになって主張する様な人間でも無いのだ。気にしない気にしない。

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N氏がそれで気持ちよくお酒を飲めるなら...と思って、調子に乗って失礼な事を言いまくる彼の態度にも、黙っていた。

しかしとある日、また飲み会に招かれたのだが...そこであるハプニングが起こる。私に大してN氏の部下(ラーメン屋の店長)が、私に失礼な態度を取った。

ていうかね...みんな、俺とマンツーマンで話している時と、N氏がいる時とで接し方が違いすぎるのさ(笑)。

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N氏がいない時は普通に話してくれる。でも、ボス猿であるN氏がいると、途端に一緒になって私をいじめてくる。

実は、N氏と初めて出会った頃から、彼の本質は理解していた。基本的に彼の周りにはイエスマンしかいない。ジャイアンとしてしか、生きていけないのだ。

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彼は背も低く、申し訳ないが見た目もイケてるわけでは無い。しかし、今まで「カネと権力と恐怖」で全てをねじ伏せてきた。本人は否定するだろうが、私を含め、彼の周りの人間は誰もがそう評価している筈だ。

黒い事をしてまでカネを稼いでいた。結果、彼の周りには恐ろしいコネクションが出来、もう引き下がる事はできない。それによってカネと名誉と「ハク」が手に入った。ラーメン屋の店長も、その「腰巾着」の一人。しかし...そうやって手に入れた彼の「取り巻き」の中に、真の理解者は一人もいなかった。

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私に失礼な態度を取ったラーメン屋の店長に対して、私は言い返した。するとN氏は憤って、私に対してこう言った。

「てめー、何だその態度はコラ!」

冗談では無い。ガチでキレて来た。それに対して私はこう言った。

「分かんないっすね。なんで俺、怒られてるんですか?」と。

言っておくが、私は彼の部下のラーメン屋の店長に対して、ちょっとイラっと来て敬語からタメ口に変えただけだ。誓って、罵倒したわけでは無い。

続けてN氏が言ってきた。

「本当に、どうして怒られているのか分からないの?」と。

私は応えた。

「はい。」

すると、N氏は鼻で笑って、私を見下した。

その後、私は大きくため息をついて立ち上がり、面と向かって彼に言った。

「Nさん。私は今日、仕事がありました。でも、あなたと話が出来ると思ったのが嬉しくて、その仕事を蹴ってここに来ました。美味しいごちそうを頂いた事は感謝します。ラーメンも美味しかったです。本当に、有り難う御座います。しかしNさん、これはあまりにも......不本意です。」

部下の店主が大きい声で「はぁ?」と言った。もう、バカは放っておくしか無い。

一方、N氏はバカではない。彼は私の言いたい事を理解したのか、黙って下を向き、何も言い返して来なかった。

私はご馳走になった事に対して再び一礼し、その場を後にした。

Nさん、あなたはあまりにも私をナメ過ぎた。そして...あなた自身も知らず知らず、カネ神の「金融マジック」に取り込まれていたのさ。

「世の中はカネだ。でも、カネが全てじゃ無い」。それも、N氏が教えてくれた筈なんだが...

いつの間にか、追い越してしまったのかなぁ。

もし私の研究に興味を持って頂けたなら、是非ともサポートをして頂けると嬉しいです。サポート分は当然、全て研究費用に回させて頂きます。必ず真理へと辿り着いて見せますので、どうか何卒、宜しくお願い致します。