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タイでのエピソード・その10

その9の続き—

私を乗せた空港バスは、クアラルンプールの街中に到着した。

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街中へのハブとなる、KLセントラルステーション。相変わらず、マシンガンを持った警備兵たちが目立つ。こえぇ。日本ってのは本当に恵まれてるんだな...と心から思った。

それと、暑い...もうカンベンしてくれ。タイより南下したマレーシアは、さらに暑かった。この気候は恐らく一生、慣れない。

まとわりつく湿気と共に襲い掛かる熱気。KLセントラルに到着したのは夜だが、それでもめちゃくちゃ暑い。これが東南アジアか...。

ほてった体を癒す為に、私はアイスを買った。

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タイで初めて知った、デイリークイーンのアイス。まぁ早い話がマックフルーリー的な感じ。個人的にめちゃくちゃ好きで、当時ハマった。オレオ入りがお気に入り。

アイスで体をいい感じに冷やした私は、早速その日、泊まれる宿を探し始めた。目指すは安宿があるチャイナタウン。何とか路上泊だけは避けたい。

今なら確実に、前もってネット予約を入れたに違いない。だが...S氏はそこまでしてくれなかった。

当時のスマホはiPhone3である。今の人、分かるかね?3ですよ、3(笑)。

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GPS機能は既に実装されており、動作が重たいものの、何とか役に立った。

それを見る限り、目的のチャイナタウンまではおよそ3、4kmほど。良かった、近い。

3、4kmか...ぶっちゃけタクシーを呼んでも良いが、せっかく初めてきた国だし、疲れながらでも堪能したい。滞在出来るのは今夜、そしてビザ申請する明日一日と明後日の半日だけだ。もう来る事も無さそうだし、経験をムダにしたく無い。

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...歩こう。

そう決意した私は、チャイナタウンまで歩くことにした。

真っ暗な街の中を、ただひたすら道沿いに歩く。別に焦る必要も無いので、体力の消耗を抑える為にもゆっくり歩いた。

歩いてみて分かったが、ハッキリ言って、タイに比べるとクアラルンプールと言う街はつまらなかった。

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何と言うか...「ただただ、先進国の仲間入りを果たしました!」という感じ。タイ・バンコクを「混沌の虹色」とするなら、マレーシアのクアラルンプールは「グレー」だ。

街はバンコクより綺麗。何でもある。でも...何も無い。そんな感じ。街を歩く人たちも、そこまで楽しそうな雰囲気には見えなかった。

歩く歩道は、驚くほど綺麗なんだよ。綺麗に舗装されている。

バンコクの道路はとにかくガタガタだからね...。

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だからつまずく様な事も無い。そこは、有難かった。

...と、適当に歩いているうちに、真っ暗闇の歩道に出た。変な所に迷い込んだものだ。

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そこは誰も歩かないのか、歩道が舗装されておらず、ガタガタなままだった。雰囲気が一気に「廃ストリート」的な感じになる。私は軽く、身構えた。

「失敗したかな?」と思った矢先、ふと視線を横にやると、暗闇の中から真っ白な球体が私を見つめていた。

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それは、数人の子供たちの目だった。

その横にいる、親と思われる存在が、私に「ミスター...」と呼びかける。物乞いだった。

顔はそれぞれやつれて、真っ黒な皮膚に汗をかき、「何とか生きてる」と言った感じ。私はスっとその場を離れた。

前を見ると、それとは対照的に、クアラルンプールを象徴するツインタワーと華やかな街並みが視界に入た。

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あぁ、この世は地獄なのだ。「日本」と言う安全圏にいるだけでは決して理解出来ない。私は来るべくして、ここに来たのだ。

小学校の6年間、そして中学校と高校の6年間を合計しても決して及ばない...そんな知識と経験を、私は一瞬で手にした。

そして...私は迷った(笑)。

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空港でSIMカードを買わなかったアホな私は、ここまでデータローミングのみで堪えていた為、iPhoneのマップ機能もそこまで頼れるものではなかった。表示が兎に角、遅い。気付けばiPhoneの電池残量も心もとない。

「バカか俺は...。真っ直ぐチャイナタウンに行けば良かったものを...。」

まぁ...普通はチェックインが最優先だよねぇ。自分の計画性の無さを呪いつつ、私は近くの立派なホテルの入り口階段に座り込み、休んだ。

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すると、ビシっと着飾ったホテルマンが、私に話しかけてきた。

「What are you doing?(お前、何しとん?)」

はいはい、ここは高級ホテル様でしたか。

立ち去ろうとすると、同時に髭面の優しそうな表情をした老人が話し掛けてきた。どこからどう見ても旅人、かつ迷い人である私を心配してくれている様だった。

私はホテルマンとその老人に、「チャイナタウンって、どこ?」と聞いた。

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幸いにも、空港で地図は購入していたので、それを見せながら説明してもらった。もう、クソ重たいGPSを頼るよりこっちの方が早い。

丁寧に教えてもらった私は礼を言いつつ、「Can I walk to...?(歩いて行ける距離かい?)」と聞いた。

すると二人は驚いた顔で、「NoNoNoNo!!(ムリムリ!)」と答えた。

マジか...俺はどんだけ迷ったんだよ...。

私は...それでも、歩いた。元気だけは、あったからね。クアラルンプールの街並みを目に焼き付けつつ、ようやくチャイナタウンに到着した。

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むせかえる香水の匂いがする。

ふとそちらに目をやると、4、50歳か?と思わせるほどの年増のインド人が体を売っていた。

「Hey Mr.、Come on〜」

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...勘弁してくれ。

というか、マレーシアの売春はタイと違って罪が重いはずだ。確か鞭打ち3回とか何とか...?

「鞭」って言っても筋骨隆々の男しか持てないロープみたいなやつで、肉が爆ぜるまでブッ叩かれる。

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...想像するだけでゾっとするわ。まー何というか...そんなリスクを犯してまで、ようやる。

彼女たちをガン無視しつつ、流石に疲れた私は、目に入った宿に入りチェックインを試みた。

幸いにもそこはぼったくりでもなく良心的な所で、かつモーニングコールもキッチリとしてくれるところだった。

でもシャワーは供用。案内された部屋は...何と言うか...

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南京虫がいない事を祈るばかり。とほほ。

窓が壊れたその部屋で、しこたま蚊に刺された。そのせいでほとんど眠る事が出来なかった。

早朝にベッドから起きた私は、そこから在マレーシア・タイ大使館へと向かった。


その11へ続く—

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