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映画/ドラマレヴュー

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観た映画やドラマのなかから興味深かったものについていろいろと。
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2016年3月の記事一覧

愛と自由を巡る物語 〜 映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』〜



 登場人物の共依存性にスポットを当て、それを繊細かつソフィスティケートされた映像で描いていく。そうした岩井節とも言える手法がこれでもかと味わえる映画だな。これが、岩井俊二監督最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観たときの感想だ。正直、手法そのものは“いつもの岩井俊二”であり、これまで岩井作品を追いかけてきた者にとっては、特別に驚くということはないと思う。

 とはいえ、その手法で描かれた世

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“自由”とは希望なのか、不安なのか?  〜 映画『トゥルーマン・ショー』(1998)〜



 安易にハッピーエンドって言える内容ではない。虚構の世界から解放されて“自由”を獲得したことは幸せかもしれないけど、劇中でも示唆されているように、虚構だって“本物の感情”をあたえてくれることもある。むしろ、“現実”のほうがその感情を奪う世界かもしれない。

 この映画は、“自由”であることに不安を抱くか希望を見いだすかで、捉え方が変わると思います。人は、“幸せ”という状態をできるだけ維持しよう

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