じじ

俳優と年齢 -もう遅いなんてことはない!「ゼロ」から始めた俳優の道-

*トップ写真はニューヨークのブルックリン桜祭りより。お爺ちゃん役のMasaya。

まだ若すぎる。若くていいよねぇ〜。もうオバさん(オジさん)だね。お前、いい歳してさぁ...。もう30代かぁ。下積み長かったね。遅咲きだよね。もう今からじゃ年齢が年齢だから無理だよね。若いうちからやっておけば良かったなぁ。

日本にいるとこういった年齢についての言葉をよく耳にします。そしてそれが当たり前、一般的ということが固定観念として付いてまわります。

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だって誰もがよく見るテレビの中の世界がそうなんですもんね。

芸能人は若くてキレイ、カッコいい、背が高くて、スタイルがよくて、若しくはそれと対象になる不細工でユニークでなければならない...なんて。

ほんと?

まずユニークという言葉を履き違えています。

UniqueというのはOnlyとかOriginal、Specialということで、あって日本で使われる「ユニーク=面白い」という意味ではありません。

唯一無二」という日本語が当てはまると思います。
「全く同じ」「普通」なんて人いないんです。誰もが特別な個性を持っていて、イケメン、美人だろうがブサいくだろうが、みんな同じUNIQUE(ユニーク)なんです。みんなが特別な唯一無二の存在なんです。

うわー、めっちゃ宗教っぽい...。
仕方ないな、だって名前がMASAYA(発音:Messiah=救世主メシア)だからな。

話を戻して年齢についてですが、何歳であっても新しい事に挑戦するのに遅いなんてことはないと思います。

人生一度きりですよ!?

僕が日本を出てゼロから俳優を目指し始めたのが25歳になる年。「ゼロから始めた」というのも、僕は言葉(英語)が全く分からないところから始めたのです、25歳から

日本から出る前は、「今から?」「もう遅いんじゃない?」という言葉もいただきました。

でも仕方なかったんです。夢が出来てしまったんですから。

小心者の僕は、最初は言葉が分からないアメリカで、物を買うのも怖くてビクビクしていました。

しかし夢の力は凄いです。とにかく挑戦、挑戦の毎日でした。

半年間のカナダでのゼロからの英語留学、その後半年間他の国を旅してまわり、日本に戻って半年間また師匠のもとで付き人、1年半ほど実家で農業を手伝い、ニューヨークに渡り4年、今に至ります。この7年程でようやくスタート地点くらいまでは来ているのを感じています。

今僕はアラサーなので、今もし売れたとしても日本では遅咲きと言われるかも。アメリカではひよっこ中のひよっこです。

アメリカでは、俳優にAge Range(役の年齢の幅)というのがあります。
役を演じる時の見た目年齢です。

僕のAge Rangeは大体21歳から38歳。少し前は周りから高校生も大丈夫だと言われていました。最近急に老け役が増えてきましたけど、、、。

大切な事は自分自身と向き合って、自分の事をよく知る事。
自分のAge Rangeはどれくらいなのか、どんな役が似合うのか。

自分が出来る事を知り、自分の役割を精一杯果たすことが、次のステップにいく為の近道なのです。

俳優の場合は実際の年齢は関係ありません。舞台上でスクリーン上で役を演じた時に、観た人が信じられるかどうかが一番重要なのです。

そしてもう一つ重要なこと、

それは現実の世界で色んな年齢の人がいるように、俳優も色んな年齢の人が必要なのです。

つまり、舞台でも映画でも芝居の世界というのは観ている人に虚構の世界を現実の様に感じさせないといけないので、様々な年齢の人が必要なんです。若いイケメンや美女ばかりでは成り立ちません。もちろん見た目も様々な年代の美男美女ばかりではなく、バラエティーに富んでいた方が面白いです。

あ、そうそう。

例えば20歳で芝居を始め22歳でデビューしてテレビに出てるイケメンと65歳で定年を迎えて芝居を始め67歳でデビューしたお父さんは同期ですよ。

むしろ人生経験が豊富にあるお父さんの方がずっと役に深みがあったり、いろんな状況での芝居に説得力が出る可能性が高いです。

もちろん、ただやるだけではなく、雰囲気やイメージだけではなく、ちゃんと芝居を勉強し練習するべきだと思いますが。

実際に、僕が今も演技のクラスを取り続けているニューヨークの俳優学校のHBスタジオに通う人は、人種も年齢も幅広く、始めたばかりの初心者からブロードウェイやテレビで活躍するプロまで様々な人が勉強、トレーニングに来ています。

HBスタジオでは、名女優ウタハーゲンさんのアクティングテクニックを学ぶのですが、ちなみにこれが彼女の本の1つの日本語版。いわば、僕たちのバイブルですね。

実は僕はニューヨークで映画制作会社を作ってアメリカ人の相方と映画制作をし始めたのですが、その第一作目「Witt and the Magical Spirits」に出演してもらった主人公のおじいちゃん役のギャリー・ベルという人、元弁護士で定年退職してから最近自分の第二の人生として芝居を始めてみたという70歳過ぎのリアルおじいちゃんなのです。クラスメイトだったそのギャリーの芝居に取り組む姿勢と人生経験から醸し出される説得力、そして人柄から僕がキャスティングをし、映画の肝と成る大切な役を演じてもらいました。自然体な彼の演技がとても良かったのは言うまでもなく。もの凄く良い声をしていたので、予告編のタイトルコールもやってもらっちゃいました。

何歳になっても自分のやりたいことに挑戦することは素敵です!

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*映画祭にて。ギャリー、僕、子役のアディソン。この可愛いアディソンが「Witt and the Magical Spirits」の演技でRaising Star Award(新人賞)を受賞しました。

他人の時計を覗くな。自分の時計を信じろ。

僕が師匠に言われた言葉です。

そして、

みんな最初は誰だってヒヨコなんだ、産まれた時からニワトリになってる人なんていない。必要のない役(人間)なんていないんだぞ。

と。

俳優に限らず、何をするにでも自分の人生思いっきり謳歌しませう。

まさや

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