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「カルシウム」が力を出せない栄養バランスは、アレルギー症状を引き起こす~改善法の紹介~

*本記事はこちらの記事のつづきとなっております。

アレルギー症状を出にくくさせるため、カルシウム周りの栄養バランスを整えることが大切だ、というお話を前回しました。しかし、多くの方はバランスが崩れがちとなっています。

私たちが陥りがちな栄養バランス

  • 免疫とつながっている「カルシウム」→不足

  • カルシウムを吸収しやすくする「ビタミンD」→不足

  • カルシウムと一緒に働く「マグネシウム」→不足

  • 骨や歯を構成する「リン」→とりすぎてカルシウムを排出

アレルギー症状へつなげないためには、状況を改善しなければなりません。そこで今回は、バランスを整える方法の一例をご紹介します。

簡単にまとめたものがこちらです。

  • ビタミンDは日光浴と魚類・きのこ類からとる

  • マグネシウム豊富な食材を積極的に食事に取り入れる。

  • お菓子の代わりに果物を食べ、相対的にリンの摂取を減らす

ビタミンDは日光浴から中心にとり、他の栄養素は食事からとるやり方です。日焼けしづらい方法や、調理せず手軽にできるものを中心にまとめました。記事では具体的に、「日光をどのくらいの時間、どのように浴びればよいか」「どんな食べ物が適しているか」を解説していきます。

もっと簡単に「サプリメントや健康食品からとれるじゃないか」と思われるかもしれませんが、まずは生活面・食事面からだと考えました。

作成にあたり、政府や各公的機関のデータ、医師や栄養士の方々の記事などを参考にしました。
なお持病による食べ合わせ、薬の飲み合わせなどについては考慮しておりませんので、あらかじめご了承ください。


ビタミンDをとるのは日光浴と魚から

はじめにビタミンDのとり方について説明します。できる限り日光浴時間を増やし、足りない分を食事で補うやり方です。

紫外線を気にして日光を避けがちな方も、安心していただきたいです。健康面で言えば、日本は世界のなかで皮膚がん患者が非常に少ない国だからです。(人口10万人あたり6例未満)。日焼けしづらい方法もありますので、ぜひご覧ください。

地域によって推奨時間にばらつきがある

国立環境研究所のデータをもとに、計算し直したものが下の表となります。1日の推奨量8.5μgをとれるように設定しました。

地域別一日に浴びたい日光浴時間の目安(日向)

出典:独立行政法人国立環境研究所『体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定 』を改変

地域や季節、時間帯によってバラつきがあるものの、ビタミンDを生成するためには、昼に浴びるのが効率的だと読み取れます。関東から南でしたら、昼間の日光浴は季節を問わず、1日分を補いやすいです。
反対に北方の場合、冬は長時間浴びないと充分な量をとれません。食事からも上手に補っていきましょう。

手のひらは日焼けしにくい

日焼けしたくなかったり、忙しい方でもできる方法があります。やり方は簡単で、手のひらを日光に向けてかざすだけです。手のひらはメラニン色素が少ないため、ほかの部位と比べ日焼けしにくいのです。
外に出るのが難しければ、合間を見て窓を開け、手のひらを日光に向けてかざしてみましょう。日焼けを気にすることなく、必要なビタミンDが体内でつくられます。

注意したいのは、日焼け止めを塗った皮膚はビタミンDを吸収できなくなることです。ですから手のひらには塗らないようにしましょう。

日光浴できなければ魚やキノコ類を食べよう

日光浴をしないとなると、ビタミンDは不足しがちです。その場合、食事から補っていきましょう。
ビタミンDは、魚類やキノコ類に多く含まれています。特に魚はカルシウムも同時にとれますので、積極的に食べたいです。

ビタミンD含有量(すべて100gあたり)

  • 紅鮭 38μg

  • さんま 13μg

  • 生卵 3.8μg

  • 干ししいたけ 17μg             

摂取量目安が8.5μgなので、「とり過ぎなのでは?」と思われるかもしれませんが、心配せずとも大丈夫です。政府による1日上限量は100μgとされているからです。

食事はマグネシウムを積極的に

食事からはマグネシウムを積極的にとりたいです。食べ物が偏らなければ、マグネシウムをとっていく過程で、カルシウムも自然にとれていきます。
文部科学省の『食品成分データベース』を参照にして、種類別にみていきましょう。

https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

大豆類のなかでも「豆腐」がおすすめ

出典:文部科学省『食品成分データベース』重量は1食分目安

大豆類の中でおすすめしたい食べ物は豆腐です。

  • マグネシウムが豊富で、同時にカルシウムも理想的なバランスでとれる

  • 味噌汁に手軽に入れることができる

  • 調理しなくても食べられる

  • 食べごたえがあり、腹持ちが良い

  • 低カロリー、高たんぱく、コレステロールの低下

とたくさんのメリットがあるからです。料理をあまりされない方でも手軽に食べることができます。
メリットばかりの豆腐ですがもちろん食べ過ぎは良くありません。大豆を
とりすぎると下痢をおこしたり、ホルモンバランスが乱れやすくなります。ほかの大豆製品も食べるとして、一日に1/2丁程度までにしましょう。あわせて納豆や豆乳もおすすめです。

海藻類でとりたいなら「あおさ」

海藻類の中でも「あおさ」はマグネシウムが豊富です。味噌汁に入れたり、ごはんや豆腐の上にかけるだけでおいしく食べられます。
いつも食べているわかめや、ふりかけの代わりにしてみてはいかがでしょうか。

葉物は「ほうれん草」がマグネシウム豊富

野菜類ですと、葉物がミネラルを多く含んでいます。マグネシウムを優先したいのであれば「ほうれん草」、カルシウムも同時にとりたいのであれば

  • だいこん

  • 小松菜

  • チンゲンサイ

  • かぶ

  • 春菊

といったなかで食べやすいものを選ぶと良いでしょう。

料理の塩を「粗塩」に変えるだけで簡単にマグネシウムがとれる

私たちが普段料理で用いる食塩は、作られた塩である「精製塩」であることが多いです。精製塩は塩化ナトリウムでできており、ミネラルがほとんど含まれていません。よって大事なマグネシウムがとれません。それどころかたくさんとるとカルシウムを排出してしまう作用があります。

比べて「粗塩」と呼ばれる天然の塩は、ミネラルが豊富に含まれています。食塩を取り替えるだけで、マグネシウムが簡単にとれてしまうのです。スーパーにも売っていますので、手軽に購入できます。


カルシウムといえば乳製品だが、マグネシウムが少ない

牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品は気軽にとれ、カルシウムが豊富で知られていますね。ですがアレルギー体質の方が必要以上にとると”落とし穴"にはまってしまいます。

「カルシウムとマグネシウムのバランスは2対1が望ましい」です。その観点で、実は乳製品はバランスがよくない食品です。比率が約10対1と、極端にカルシウムに偏っているからです。
これまでたくさんとっていたならば、少し見直してみましょう。
例えば1日分を牛乳1杯、あるいはチーズ1、2切れに抑えれば、カルシウム豊富な頼もしい味方となってくれます。

リンをとりすぎないためにしたいこと

私たちがとりすぎてしまいがちなリンを減らす方法を考えていきましょう。加工食品を食べなければ確実にリンの摂取量は減らせます。しかし天然のものばかり食べるわけにもいきませんよね。少しでもできることはないでしょうか。

主食で減らすことは難しいですが、間食であればできるかもしれません。「お菓子」は食品添加物という吸収しやすいリンがたくさん含まれています。できれば別のものに置き代えたいです。

お菓子の代わりにバナナを食べればリンの摂取量を減らせる

食べられるのであれば「バナナ」にしてみるのも1つの選択肢です。バナナは栄養価の高い食品として知られていますが、マグネシウムも豊富に含まれています。1日1本までなら、食べ過ぎではないとされています。

出典:MediPress『表:意外とリンが多い食品の1例と100gあたりのリン量(mg)』

お菓子などの加工食品以外にも、天然食材で意外とリンが含まれている食品があります。上の図にあるものは食べ過ぎに注意しましょう。

まとめ

ビタミンDは日光浴で足りない分を食事から補うイメージ

  • 日光浴は昼間でないと効率が悪い

  • 関東から南であれば夏は5分、冬は30分で1日分のビタミンDがとれる

  • 東北から北の地方は冬場、日光ではとりにくい

  • 忙しい方は手のひら日光浴

  • 魚やキノコがビタミンD豊富

食事はマグネシウムを積極的にとり入れたい

  • 大豆類なら「豆腐」

  • 海藻なら「あおさ」

  • 葉物はカルシウムとの兼ね合いで選ぶ

  • 食塩を「粗塩」に置き換えるのが簡単

  • 乳製品はカルシウムに偏っているので頼りすぎない

  • お菓子を「バナナ」に代えて相対的にリンを減らす


なかには洋食が好きでしたり、生活習慣が上記の内容と合わない方もいらっしゃるでしょう。無理に変えようとせず、できることからお試しになってみてください。栄養はバランスが大切です。1つの項目にこだわり、偏ってしまうのは良くありませんのでお気をつけください。

アレルギー体質を根本的に解決できるものではないですが、今後付き合っていく上で少しでもお役に立てれば幸いです。


参考URL

日本人の食事摂取基準(2020 年版):厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

食品成分データベース:文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定 :独立行政法人国立環境研究所 https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html

リンが多い意外な食べ物は:MediPress
https://dialysis.medipress.jp/doctor_qas/36

オーソモレキュラー栄養医学研究所 栄養素の説明 - ミネラル
https://www.orthomolecular.jp/nutrition/magnesium/


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