ファシリテーターのセルフアウェアネス
「ファシリテーター Advent Calendar 2021」20日目の記事です。
今年の大きな気付きのひとつである
ファシリテーター/ワークショップデザイナーとして、
どうセルフアウェアネスと向き合うか?
について綴っていきます。
認定ワークショップデザイナー試験で見えたワークショップデザインの課題
今年は認定ワークショップデザイナー試験を受けて、認定ワークショップデザイナー資格を取得していた。課題で自分のワークショップを自己評価する中での大きな気づき。
コーディネーターを別の人に任せている場合に、イベントの目的があいまいな状態で、ワークショップの目的設定を進めてしまっていたこと。
イベントとワークショップの目的に一貫性がないと、目的に沿ったプログラム、そして目的に沿ったファシリテーションが機能しづらくなってしまう。
YeLLサポーターとして、1on1実践を通して気づいたこと
今年はYeLLサポーターになり、1on1を通して聴くことを学んでいた。
聴くこと自体が自己表現。
聞く(内的傾聴)と聴く(集中傾聴・全方位傾聴)の使い分け。
聴くには主張と協調が含まれていて、その人らしさが表れる。
聴くことへのフィードバックは、自分自身の個性へのフィードバックにつながる。
このことに1on1を通して気づいた時、ワークショップデザインにもっと自分を込めることで、ワークショップへのフィードバックが自分へのフィードバックにつながるのでは?という考えに至る。
ワークショップデザインに自分を込めるということ
対話型鑑賞の作品選定:当事者意識を持てるテーマの作品を選ぶ
対話型鑑賞ではひとつの作品を使った鑑賞を繰り返すことで、作品に描かれている事実を把握し、事実からどのような解釈が生じるか、どのような意味生成が起きるかを把握する。作品上で起きることを把握した上で、ガイドを進めるのが対話型鑑賞のファシリテーション。
これまでの作品選びは、対話型鑑賞講座の課題として取り扱ったことのあるもの、参加者に合わせたテーマ、コラボ作家の提供作品が多かった。そのため当事者意識を持てるテーマとそうでないテーマの作品を使うことがあった。当事者意識を持てるテーマとは、自分が抱える課題とつながりのあるものや、関心の強いテーマを指している。
当事者意識を持てる/持てないで、どのような違いが生まれるのか?
何度も同じ作品で鑑賞を繰り返すことで、作品に含まれるテーマと何度も向き合うことになる。当事者意識を持てるテーマの場合は、事前に考えの積み重ねがある上に、日常でもテーマについて考える機会が生じる。
対話型鑑賞を通して、関心のある作品テーマと鑑賞者をつなげる機会にもなる。対話型鑑賞や作品への鑑賞者のフィードバックが、ファシリテーターの課題感へのフィードバックにもなる。
最近扱っている作品は、コ○ナ禍の課題を扱っているため、日々テーマを意識する事が多い。
ワークショップのコアターゲットに自分を置いて、ワークショップをデザインする
青学WSD32期のこっぴ〜♪と一緒につくったワークショップでは、こっぴ〜♪が「ちょなんさんのやりたいことをやってください」と広い問いかけをしてきたもので、これまでやってこなかった自分をコアターゲットに置いたワークショップデザインにチャレンジした。
バリュープロポジションキャンバスで、自分のニーズを元に提供価値を整理していく。そしてバリュープロポジションキャンバスをベースに、プログラムデザインを進める。
ワークショップのコアターゲットに自分を置くことで、誰かの課題を解決するデザインではなく、自分の課題を改善するためのデザインになる。そしてワークショップの参加者は課題の共感者になる。
イベントページからワークショップ体験まで、目的に一貫性を持たせる
冒頭でふれていたワークショップデザインの課題
「コーディネーターを別の人に任せている場合に、イベントの目的があいまいな状態で、ワークショップの目的設定を進めてしまっていたこと」
違和感を強く感じるもののひとつがイベントページ。ワークショップのコンセプトには、ファシリテーターのあり方が含まれる。そのコンセプトを勝手な解釈で書かれたり、書いたものを書き換えられることがある。
なるべくイベントページからワークショップ体験まで、目的に一貫性を持たせた形でワークショップは進めたい。ここの一貫性を保つことで、参加者の期待に沿った価値を提供し、ワークショップの価値を積み重ねることができる。そしてファシリテーターのあり方も磨かれる。
ファシリテーターのセルフアウェアネス
・ワークショップで扱うテーマを、当事者意識を持つテーマとすることで、テーマをより意識することができる。そしてワークショップを通して、自分の課題感に対してフィードバックを得ることができる。
・ワークショップのコアターゲットに自分を置くことで、ワークショップが自分の課題を改善するものになる。参加者は課題の共感者になる。
・イベントページからワークショップ体験まで、目的に一貫性を持たせることで、ワークショップの価値を積み重ね、ファシリテーターのあり方を磨くことができる。
ワークショップデザインに自分を込めることで、自分自身とより向き合うことになり、ワークショップへのフィードバックを通して、他者から自分に対するフィードバックを受け取ることができる。
そんなファシリテーターのセルフアウェアネスを大事にしていきたい。
・・・真面目か。
とりあえずサッキョでふざけておこう。
真面目すぎてらしくない気もするので、ここでも中野民夫さんリスペクトコーナーを。