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騙される方だってそれなりに罪深い

人類が進化していけば、犯罪も進化していく。

かつてトンネル工事を効率化する目的で発明されたダイナマイトが、
その後どう使われたか、が歴史に傷跡として太字で刻まれ、
人類が幸せになろうとするエネルギーと、
他人を不幸に陥れようとするエネルギーは、
押し合いへし合いのおしくらまんじゅうを繰り返しながら、今日も渦をなし、日々は混沌としている。

それを発明した人、作った人の気持ちはさておき、
どうやら便利になれば人が幸せになるかというとそうとも限らない。

この物語の中において、YOUTUBE、マッチングアプリ、リモート飲み会。新時代の便利なものの、その隙、抜け穴、違和感、盲点に気付いたものが、重要なキャスティングを担っている。

騙す方が悪いことに疑義はないけれど、騙される方だってそれなりに罪深い。
脇の甘さ、詰めの甘さを棚に上げて、その同情には嘲笑が潜む。
痛い目を見た後に、不用意、不注意、不勉強さを嘆いても遅いのである。

犯罪も進化していれば、ミステリーの小説の世界も進化している。
決して自分は騙されない、なんて、そう信じ切っている人こそ正に危うい。
混沌のその先端の部分に触れるべく、感度の良い、それでいてきちんと耐性のある、あなたに。

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sTraNgeRs/bringmethehorizon

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褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。