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泉谷閑示「 「普通がいい」という病 」を読んで

今年の2月に参加した読書会で読んだ佐渡島庸平さんの「観察力の鍛え方」を読んだ。その中に感情についての記述があった。

あらためて感情って何だろう?と漠然と疑問を抱いていたところ、読書仲間が、本書を紹介してくれた。

結果、めちゃくちゃ刺さる本でした。今後も自分のバイブルとして、何度も読み返す本になると思います。

自分の個性により生きづらさを感じている方、人間の根本的な特性を理解して自分らしく生きたい方には特におすすめの一冊です。たくさん生きるためのヒントが書かれていますが、特に冒頭部で気づいたこと、感じたことを書きます。

冒頭部(はじめに)の要約

私たちはみんな、ほかの人とは違う「角」を持って生まれてきました。「角」とは自分が自分であることのシンボルであり、自分が生まれ持った宝、つまり生来の資質のことです。(はじめに 冒頭引用)

この「角」はひときわ目立つため、他人は真っ先にこの「角」を話題にする。この「角」のために、つつかれたり、冷やかされたり、周囲から格好のえじきとなる。自分自身でこの「角」のせいで生きづらさを感じるんだと思い、隠しながら生きるようになる。また現代では、多数派の信奉する価値観(=普通がいい)によって、この角の切除が行われている。

例えば、あるがままの人間は邪悪なもので、あるべき姿に向けしっかりと理性で制御すべきだという考えはその一例である。

角が切除された大人たちをモデルとして育った人たちの中には、生きる意欲や生きる意味を見失って、日々むなしさを紛らわせるだけになっていたり、強い自己否定が心の中に巣くってしまっていることがある。

感じたこと

冒頭部の「他人とは違う自分の壊れやすい生来の個性」のメタファーとして、戯曲ガラスの動物園の「ガラスのユニコーンの角」が登場します。

私は感情量の多い人間であり、ときに人に対し感情を露わにしてしまうこと(ポジティブもネガティブも)が、このガラスのユニコーンの角であることに気づきました。
 「普通、大人は自分の感情を出してはならぬ。常に冷静にならねばならぬ」という声が聞こえ、感情的になった後に、後悔や自責の念に駆られることがしばしばありました。

まさに、自分自身が「普通がいい」という力によって角を切除しようとしていました。

しかし、この本を読んで、むしろ自分の考えや意見を感情とセットで届けることが自分のあるがままの姿ではないか。感情を添えることで、人の心を共振させるアンプとして、人の心に深く刻み込む彫刻刀として機能するのではないか。そのままで大丈夫!そういった気持ちが沸々とわきました。

最後に

大なり小なり多数派の信奉する普通がはびこる社会において、自分の角によって生きづらさを感じている方、人間の根本的な特性を理解して自分らしく生きたい方に是非手に取ってほしいオススメの1冊です。

本書は、人間という生き物の根本的な特性を深く理解し、そのうえで「自分で感じ、自分で考える」という基本に支えられた生き方を回復するための、ヒントがちりばめられた本です。

最後に、その読書仲間はいつも刺激的で深い視点や意見を投げかけ、自分の思考の発芽や思考の根の伸長を促してくれる。今回も良書の紹介という形で受け取った。感謝したい。

そして、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よい一日を!

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