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壮絶な自叙伝小説 『レッドベルベットドレスのお葬式 改稿版』

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パニック障害や複雑性PTSDを乗り越え再生しようとする青年の姿を描いた、自伝的小説です。交通事故やパニック障害・複雑性PTSDの発症、心身の治療描写は事実を描いたノンフィクション…
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#POD出版

父の帰宅 15

朝になってヒサコさんが目を覚ましてコーラが飲みたいといったので、買ってくるといって予約し…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 14

マサは実家の自分の部屋に彼女を連れて帰った。帰ってから彼女の混乱はさらにひどくなっていっ…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 13

「心理カウンセリングを受けられなかったのですか」 「はい、ちょっと現状ではこの料金を払え…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 12

マサはこのときのキョウカ先生の印象はよく、直感だが信頼のおけるひとだと感じた。また女性と…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 11

マサは受付で処方箋を受け取ってソラナックス〇・四ミリグラム、パキシル一〇ミリグラム、マイ…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 03

父の顔はほとんど一瞬しか見ていません。僕が小学生のときは自分の顔に似ていると思っていてコ…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 02

父親はマサが一一歳のときに、二〇〇〇万円ほどの借金を作って突然蒸発した。その後手紙ひとつ寄越すことなく、家族は彼の所在についてもまったく知る由もなかった。 マサが生まれたときから家庭環境は劣悪で父親が蒸発したあとも経済的、精神的に強烈な負担を強いられていた。加えてマサはこの父親から、暴力や精神的な虐待を受けていた。その張本人が突然帰宅した。マサの家庭環境については後にマサが心理カウンセラーに提出したレジュメで後述する。心理カウンセラーはまず家庭の成り立ちを祖父母の代まで遡っ

フロリダ州ペンサコーラ 12

アロンはディープ、ベリーディープだと深く頷きしきりに感心してみせた。かなり間抜けだったけ…

新田将貴
2年前

フロリダ州ペンサコーラ 11

ヴィレッジに住んでいる日本人の学生がフォークギター用の歌謡曲全集を持っていたので週末のプ…

新田将貴
2年前

フロリダ州ペンサコーラ 10

「あんあたね、レディーに向かっていきなりその言葉はないんじゃない、せめてマスタベくらいに…

新田将貴
2年前
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フロリダ州ペンサコーラ 09

「基本的には午前に授業を集中させて午後から家帰って寝てた。だから昼夜完全に逆転してたんだ…

新田将貴
2年前

フロリダ州ペンサコーラ 08

「ませたガキだね」 「そうなんだけど、弾き始めはワンフレーズだけでもコピーできたらもう、…

新田将貴
2年前

フロリダ州ペンサコーラ 07

ESLの生徒はだいたいみんな「ヴィレッジ」と呼ばれる大学の生徒専用のアパートに住んでいて…

新田将貴
2年前

フロリダ州ペンサコーラ 06

僕は自分が精神的に弱いと思っていつもその自己嫌悪に苦しんでいたから、フロリダに留学という形態で来ることで少しはタフになれると思っていた。 英語を勉強するということが一番の動機だが、この留学に関して経済的な面から学校との契約、ビザの取得、部屋探し、すべてを自分でやってここまで来たのは、強い男になりたかったからだ。 それがたった二日で神経をやられるとは思わなかった。なんて自分はストレス耐性のない人間なんだと自己嫌悪が増しただけだった。僕は当時タフという言葉に異常にこだわってい