見出し画像

『保育所保育指針 ハンドブック』

「保育所保育指針」とは、保育所の役割や運営するための基準、保育が目指していく方向性などが示されているものです。厚生労働省が告示していて、ちょうどこの2018年4月から新しく改定されたものが施行されます。

改定内容は2017年3月に告示されており、すでに色んな解説書が出ていますが、とある園長先生に「これが分かりやすいよ」とオススメされて本書を手にしました。著者は改定にも携わった白梅学園大学の汐見先生。

前回2008年に改定されて以降、保育の世界での大きな変化といえば、2015年から始まった『子ども・子育て支援新制度』。これにより認定こども園地域型の保育事業(小規模保育など)の整備、また2016年以降は企業主導型保育といった新しい施設の設置が進められています。

この背景としては、低年齢児の保育ニーズの拡大が影響しています。この10年で特に、1・2歳児の保育所の入所人口が大きく増えました。

一方で、小学校以降の学校教育の改革も進められていて、その過程であらためて、乳幼児教育の重要性も見直されています。(前回のnote『学力の経済学』参照。)


それらの状況を受けての、今回の改定のポイントとして以下のことが挙げられています。

・「乳児」と「1歳以上3歳未満児」の保育に関する記述が充実
・「養護」の意味をあらためて確認し、徹底していくことが強調
・幼稚園、幼保連携型認定こども園と同等に、幼児教育機関としての役割を果たしていく
・「災害への備え」を中心に、健康および安全に関する記述が増大
・研修体制の強化


「保育所保育指針」は、保育士の資格を試験で取得するときに、かなり読み込みが必要でしたが(公的なガイドラインなので、一読しただけでは正直なかなか文章が頭に入ってこない…)、今回の指針は僕が取得した前回のものに比べて、全体が7章→5章にまとめ直され、すっきりしています。

上のポイントでも挙げられているように、これまで保育の内容が「3歳未満」「3歳以上」だったものが「乳児」「1歳以上3歳未満児」「3歳以上」に分けられ、乳幼児保育がかなり重視されています。それぞれの内容はこの備忘録には書きませんが(『五領域』全部とか書ききれない)、子どもとの関わり方や環境のつくり方のイメージがつかみやすいよう1項目ずつにイラストつきの解説があるので、指針の全体像を上から下までざざっと把握するのには良い本だと思います。


また解説やコラム中、随所で『アクティブ・ラーニング』や『非認知能力』についても触れられていて、これからの時代に求められる能力のベースづくりとして、期待されている感がありますね。

これからの時代は、ただたくさんの知識を持っているだけでは、活躍することが難しいと考えられています。答えのない問いに自分なりの考えを持ち、意見を言えるかどうかが大事なのです。これは、遊びを通して学ぶ、という幼児教育の本質に通じるもの。このアクティブラーニングを、保育や幼児教育独自の方法で実現していくことが求められています。

今回の改定は、同時に『幼稚園教育要領』『幼保連携型認定こども園教育・保育要領』の幼児教育に関する記載がほぼ共通化されているのも、大きな特徴。

現場レベルではまだまだ保育所・幼稚園・認定こども園の壁はあるのが正直な感覚ですが、3施設の差を埋める方向性の共有が今回の改定だとして、制度として今後どういった変化を具体的にみせていくのか、注意しておきたいところです。


『やさしく読み解く 保育所保育指針ハンドブック(汐見稔幸)』


(twitter @masashis06


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?