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日本はeスポーツよりもゲームのギャンブル化(笑)

昨日ニュース記事を見ていたところ、 「eBASEBALLプロリーグ」なるものが発足しすでに2019年よりシーズン(大会)を開催していることを初めて知りました。

ご存知でしたか?


 eスポーツが世界で非常に注目されている中、かなり本格的な規模で行われているこのeBASEBALLプロリーグについてや eスポーツ自体についても少し考えていきたいです。

僕は正直、世界的な流行に合わせて eスポーツという文脈での発展以外にも、道があるのではないかと思っています。そのあたりも含め今日は書いていきたいと思います。

驚いたのは eBASEBALLプロリーグの本気度!

この大会、なんと野球ゲームとして最も有名な”実況パワフルプロ野球”通称”パワプロ”を発売しているコナミ、さらに NPB が共同で開催するオフィシャルな大会なのです。

各球団の OB などが、そこに参加をしておりドラフト会議や交流戦なども開催されています。ゴリゴリに本気で開催している大規模の大会なのです。

僕らも含めて、野球少年でパワプロをやったことがない子供はいないと思います。実際、ゲームから学ぶことはすごくたくさんありました。
調子が悪い時にゲームでたくさんホームランを打って練習や試合に臨むと、なぜだかとても良い結果が得られた、そんな経験もありました。

これだけグラフィックや映像技術が向上し、リアルなキャラクターを作ろうと思えばいくらでも作れるのにそれをせず、あえて2頭身のコミカルなキャラクターを貫き通すパワプロが未だに野球ゲームの頂点に君臨していることはとても興味深いことだと思っています。

あるいはサクセスなど育成ゲーム要素を取り入れたり、 様々な楽しみ方があるのもパワプロというゲームの面白さでしょう。
僕自身、野球も大好きですしパワプロも大好きです。


eスポーツというカテゴリについてはあまり賛成できない

世界的にeスポーツ史上はどんどん広がりを見せ現在では、格闘ゲームやリズムゲーム、 アクション、シューティング、パズル、 レーシングなど様々なゲームのジャンルが人気を博しています。
この流れにのり、大規模で本気の大会を!と始められたのがeBASEBALLプロリーグだと思います。
事実、非常に面白い大会ですし、キャスティングなども含めてここを盛り上げて生きたいのだろうということが伝わってきます。

ですが実は、僕はこれに対して少しだけどうかな?と思ったりしています。

というのも、 E スポーツという文化には欧米的な気質を非常に強く感じます。
日本のゲームは世界に誇る名作揃いの素晴らしい文化ですが我々の楽しみ方というものは、決して今のeスポーツのような楽しみ方ではありませんでした。

例えば、日本生まれで世界中で大ヒットしたストリートファイターやぷよぷよなどのゲームは、元々ゲームセンターでおなじみのものでした。
ゲームセンターでは、勝負に勝った人は100円でずっとプレイできることもあり、注目の的でありちょっとした有名人だったかもしれません。
しかし、その人のファンになり憧れたか?というとちょっと違う気がします。もっと言うと、熱狂して応援したか?というとそれも違いますよね。

そこから、家庭用ゲームへと変化し、友達と一緒にやるゲームに変わっていきました。そこで起きたことは、プレイヤーと見る人という役割ができた、という変化でした。それはどちらかと言うと今のゲーム実況 YouTube などに近いイメージのものです。

どちらにしてもいわゆる 今のeスポーツのようにみんなで一人の選手を応援して”熱狂する”というようなものではありません。
見ている人の感情でいうと、癒しや暇つぶしに近い感覚。


それに対し欧米は、そもそもの始まりからスポーツ的要素が非常に強いのだと思います。
サバイバルゲームのようなものやゾンビゲームも人気ですし、アクション、格闘などのゲームで本当のスポーツのように皆で喜びあい、まさに熱狂し合います。

今の日本でいうと最近流行り始めたVRの対戦ゲームみたいなノリです、あのノリがまさに欧米でいうところのeスポーツのノリなんだと思います。
で、多分日本ではゲームをあのノリで見たり応援することはないと思うんですよね。見るのは見るし楽しいし自分もやるけど、熱狂して他人を応援するかっていうとちょっと違うというか。


これは、どちらが良い悪いという話ではないんです。
元々を言えば世界でゲーム文化を作り上げたのは日本です。

そして、ゲーム文化を生み、それを自分たちの文化としてサブカルチャーなどと融合しながら繊細に育ててきた日本におけるゲーム文化と、欧米を中心に世界に広がりアクション的要素や対戦的要素が抽出されて戻ってきた今のeスポーツというゲーム文化、これは明らかに違うものなんです。

例えて言うなら、日本が本場のお寿司が海外に文化として輸出され、 海外から戻ってきた時に、日本のお寿司もカリフォルニアロールがスタンダードになり、SUSHIになってしまった。そんな感覚がするんです。

もちろん日本の伝統的なお寿司が握れる人も素晴らしいし、 海外で自分たちの味覚に合わせ発展させたカリフォルニアロールを作れる海外の職人さんも素晴らしいとは思うのですが、本場がそっちに飲まれちゃうのはどうなの?って思うわけです。


世界的な情勢を見てもeスポーツに参戦しない理由はないですが、

海外では確かに、熱狂や興奮の度合いからしてスポーツの文脈に非常に近いんだと思います。でも、日本でゲームをスポーツと言われるとやはりどうしても違和感があります。

確かに、 E スポーツはこれから世界的に確実に成長する市場です。ここに参入しない手はないと思うのですが、 こと日本においては両方とも素晴らしいことを前提に、 アスリートはアスリートだし、ゲーマーはゲーマーです。

これをスポーツとしてしまうと、例えばプログラミングや早押しクイズなんかもスポーツなんじゃないでしょうか?もっと言うと囲碁や将棋も早打ちはスポーツとか。垣根なんてどうでも良いといえばどうでもいいのですが、やはりどうしても”腑に落ちない”のです。


ゲーマーとして、ゲーマーの社会的価値を高める方がいい

個人的な意見としては、日本ではすでにゲームはゲームとしてプレイしているのを見る文化があるわけだから、シンプルにエンターテイメントというカテゴリーわけの方がすっきりする気がしています。 


eBASEBALLプロリーグのドラフト会議の動画を見させていただきました。有名なプロ野球のOB選手も出ていましたし、 それなりに面白かったです。でも正直言うと約4時間の放送で、ずっとプロ野球のドラフト会議のパロディをやっているようにも写ってしまいました。

eスポーツという新ジャンルとして彼らをフューチャーするよりも、ゲーマーという元々あるジャンルでそれを社会的に価値を高めていくという方向性の方がわかりやすい気がします。スポーツの文脈にカテゴライズされてしまうと、どうしてもアスリートより彼らの方が高く評価されるということは起きないような気がします。
そして、eスポーツの選手のことをアスリートとはどうしても思えないんです。

事実、 eスポーツのプロ選手が一般の方と試合をしたり対戦をしたりしていますが、仮にアスリートだとすれば本気の土俵で一般の人と戦ってくれとは言われないと思います。それは失礼にあたるから。けど、eスポーツの選手にゲームで対戦を申し込むことは失礼だと思われない。例えばプロ野球のピッチャーにちょっと投げてよ!とは言わないわけです。”アスリートのような尊敬”はまだ受けていないのが事実ということです。

僕が思うに、海外やグローバルの場面では eスポーツとしてスポーツの分野での売り出しを行い、国内ではシンプルにゲームとしてエンターテイメントでの売り出しをするのが良いのではないでしょうか。

この場合、今後開催されていくであろう国際大会やオリンピック正式種目になった時に日本はどうするのか?と言われるかもしれませんが、多分 eスポーツという文脈において日本が今の欧米のようなカタチに変わるとは思えません。

つまり、ゲームでは日本は世界一の文化を持っていますが、 eスポーツという文化において世界一になることはないんだと思います。これは日本の文化じゃないから。
ですから、 eスポーツの世界を目指す場合には、海外でプレーする、というルートが一番いいんじゃないでしょうか。


スポーツという文化を作るなら絶対ギャンブル化

しかし、 eスポーツをしたければ海外で、となるとゲームが強い日本の選手は eスポーツの世界を目指せないことになってしまう。それはかわいそうなので、スポーツという文脈を少し絡めたこんな施策はどうでしょうか?

公益ギャンブル化です。
もちろんギャンブル化については賛否の声が上がると思いますがカジノ法案なども出ている中で、eスポーツがギャンブルの一つとして成立するとかなり面白いのではないかと思います。

なぜギャンブルかというと、日本においてはのゲームの楽しみ方には種類があって、

・癒しや暇つぶしでゲームをやるか見る
・サブカル的にキャラなどのファンとして楽しむ
・RPGで物語に入り込む
・モンハンのようにコミュニケーションツールとして楽しむ

というのが主な楽しみ方です。eスポーツに欠かせないゲームを熱狂し応援する文化がないんです。

対戦が面白いだけではスポーツビジネスとしては成立しないんです。応援してもらわないとスポーツはビジネスとして存在できませんから。でも日本には他人のゲームを本気で応援する文化がないんです。となれば、”諦める”か、”作り出す”しかない。作り出す方法がギャンブル化という訳です。

熱狂して本気で応援するというのを少し解像度を上げた言葉にすると、自分の事のように感じるといえます。プロ野球のファンのおじさんはひいきのチームが負けても本来生活にはなんの影響もないはずなのに一晩中イライラしたりしています。

そして、熱狂し応援する感覚とはまさにお金がかかってる、ということではないでしょうか?

ゲームは今の日本の文化では所詮”他人事”なわけです。他人事を自分ごとにする一番の方法は、身銭を切る、です。

賛否はあれど効果は抜群だと思います。

ゲームらしく、投げ銭もできたり、電子マネーや独自通貨での決済を導入したら新たな形の公益ギャンブルができそうな気がしますし、ゲーム界共通通貨とかになっていったら結構面白いことになるんじゃないかなぁと思うんです。

日本は元来海外からの文化を輸入し、独自の形で進化させることがすごく上手な人種です。逆に言うと、海外の文化をそのまま取り入れてもあまり浸透しにくい、”変わらない意識”の強い民族だと思います。

eスポーツという文化も海外の流行のカタチをマネするのではなく、日本が作り、日本が育てた世界に誇れるゲーム文化がすでにあるのですから、日本らしくジャパニーズライズされた、”どこの地域とも違う新たな文化”としてまた世界に誇れるものになっていって欲しいなと思います。


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