見出し画像

3,000超の組織をみてきた私が考える『自走するチーム』に必要な2つの土台

皆様はじめまして。世界中のヒトや組織の可能性を拡げたい平井です。組織力向上プラットフォームWevox(ウィボックス)でカスタマーサクセスを担当しています。私はこれまで多くの企業様の社内研修やエンゲージメント活動のプログラム設計等のサポートを運営局の方々と行ってきました。

■自走できないチームの共通点は『他責』と『無関心』

エンゲージメント向上活動・プロジェクトのサポートを多数実施していると、多くの企業様が口を揃えて「自走」を実現したいとおっしゃるのですが、それが言葉以上に難しいということに早々に気が付きます。プロジェクトをスタートしても1年以上全く進まない、目にみえる効果が出ないということもザラにあるのが現状です。

多くの失敗の流れの初期は、下記のようになります。

  • チームそれぞれに点数を公開

  • 簡単に数値の見方と、対話や習慣の変化など何をしてほしいのか?をセミナーなどで伝える

  • 3か月後、半年後などに再度セミナーを開いて確認をする

→結果、自走できずに何も進んでいません。
ということが後になってわかります。「現場に点数さえ見せて、やり方を伝えれば自走できるでしょ」と思った多くの運営局の方々はそれが全く違うということに直面して、その後動かなくなってしまいます。

実はエンゲージメント向上活動がうまくいかない事例を数多く見ると、うまくいかないチームには下記のような共通点があることに気が付きます。

  • 本人も気がついていない他責

    • 経営、環境、チームメンバーに恵まれない。こんな私は不幸であると言わんばかりに。

    • 環境、仕事柄、職業柄なので、点数が低いのは仕方ない

    • 時間がない(私は忙しいと言いながら時間調整の工夫をせず、業務が多いことへの不平不満を言う)

    • もっと簡単なことを教えてくれないと私にはできない(=教え方が悪い)

  • 他者への無関心

    • なんで私が、あの人のことを理解しなければいけないんですか?

    • 私は私の言われたことをちゃんとやっているんでいいでしょ

    • (同じチーム内の仲間の悩みなのに)マネージャーや人事のせいにする

これらがあるチームには、どんなにエンゲージメントの問題点や改善のやり方を伝えたとしても「言い訳」を持ち出して、動かなくなってしまうのです。

■チームづくりに大切なのは『基礎力』

Wevoxはエンゲージメントが下がっていることをデータで示しており、組織の課題点を出してくれることには間違いありません。また、それぞれの対策としてどんなことをすれば良いのか?も他社事例などを通じて一定の例を示すこともできます。しかしそれが改善につながらないことがあるのはなぜでしょうか。

スポーツチームに例えてみましょう。

データを見ても何もできないチームと多くのことができるチームがある

あなたはバスケットボールチームに所属しています。リーグにおいて、10チーム中9位。そこで、チームが勝てない理由を数値化して分析をしました。
そこでは、オフェンス、ディフェンス、セットプレー、ファールの数と様々な問題が特定されました。

そう、確かに自分たちが弱い理由はデータで示すことができるのです。また、1位のチームや強いチームと比較をして、改善すべき点や差分もわかってきました。

さあ、それを眺めていて、あなたはチームとして勝つことができるでしょうか。もちろん、眺めるだけではダメです。上位のチームがやっていることを同等に、もしくはそれ以上に遂行しなければいけないわけです。

しかし、上位のチームがやっていることを、あなたのチームは遂行できるのでしょうか?それを行うためには、それを遂行できるだけのチームの基礎力が必要です。例えば、体力、瞬発力、持久力、チームワーク、パス力、シュート力などなど。それができないから、どんなに課題の点数を見て、改善策がわかっていても改善が進まないという状況になり活動が止まってしまう。
つまり、改善には、「そもそもの基礎力がある」という前提が必要なわけです。

エンゲージメントの点数化と改善プロジェクトを進めようとしても、それと似ていることが起こります。
多くの会社ではうまく行かなかったときに、「このやり方ではない方法があるはずだ」ということで別の解を求めますが、実は何を提示しても前に進まない。それは「そもそもの基礎力」に課題があることが多いと考えています。

■会社の基礎力である主体性と共同体感覚

では、その基礎力になっているものは何かというと、上記のうまくいかないチームの共通点から見えてくるわけです。

  • 他責にしない「主体性

  • 他者への関心を持つ「共同体感覚

ということになります。
主体性とは、いくつかの特徴の塊で説明できます。

  • 行動の選択をすることと、その結果を他責にせずに自分が受け入れるという責任

  • 仕事だけという狭い視野で考えるのではなく、人生という目線で考えることができるという目線

  • 自分だけしかわからない、自分の未来ややりたいゴールの設定ができる

  • 目の前に起こっていることに対して、脊髄反射的に反応をするのではなく、捉え直して反応を変えることができる

  • 自分に対して無意識ではなく、自分が何を考えているのかを理解する、自分を俯瞰して見るメタ認知

  • 「忙しい」の一言で終わらせるのではなく、どうすれば自分がすべきことに集中できるのか?時間の工夫ができること

主体性の主な特徴

同じく共同体感覚もいくつかの特徴をまとめています。

  • 人生は一人では生きていけないと理解をしている

  • 相手に頼り、その代わりに頼られる。

  • 「迷惑をかけちゃいけないからすべてを自分でやる」ではなく、迷惑をかけることはしょうがない、その代わりに困った人を全力で助けようという考えになる

  • 挨拶や笑顔、声掛けなど普段の行動や振る舞いから、信頼貯金を大切にし、相手との長期的な関係を意識する

  • Win-winの関係になるために、何をすればいいのか?ということをよく考えている。

共同体感覚の主な特徴

そもそもエンゲージメント向上活動を現場で実行していくためには、上記のような基礎力というべきものがあってはじめて自走が始まることになります。

■ 基礎力を意識し、トレーニングする。

上記の主体性や共同体感覚というものがない状態で「現場で対話をしてください、向上活動を自走をしてください」といっても難しいでしょう。

まずはそもそも自分たちがどのくらい主体性や共同体感覚があるのか、もしくは足りないのかを正しく理解をして貰う必要があります。そして、活動において、それらを意識しながらお互いに対話をしたり、話し合いをしてもらったり、普段の仕事の取り組み方の意識をして貰う必要があるのです。

特に弱いチームや個人に対しては特別に準備をしたトレーニングを行うこともあります。対話のワークシートを使ったり、アクションプランを実行してもらうなど、基礎的な力をつけながらエンゲージメント向上活動に入っていく必要があるわけです。主体性や共同体感覚を向上させるための方法は決して一つのやり方ではありません

それぞれの会社やチームのレベルに合わせて、一緒になってプログラムを考えていきます。おおよその段階としては、下記のようなレベルがあります。

主体性と共同体感覚のおおよその段階
  • Think:自分のことを考える

    • 自分の頭で考えるという訓練をします。

    • 合っているかどうかは関係ありません。

    • 対話のワークシートなどを使って、自分なりの意見をちゃんと書き出せるのか?その深さはどうか?などが重要です。

  • Speak:自分のことを発信する

    • 誰かに自分の考えを伝える練習をします。

    • 正しいかどうかわからないことを勇気を持てないと話すことはできません。

    • 周りも聞く姿勢がなければハードルは上がっていきます。

  • Realize:自分の意見を色々な角度から認識をする

    • 自分の発言の中に矛盾、他責になっていること、考えの浅いことに気が付きます。

    • 他者との相違、譲れない意見や価値観があるということに気が付きます。

    • もちろん、感情的にならずに、それを受け止めることが必要です。

  • Listen:相手の意見に耳を傾ける

    • 他の人の意見に耳を傾けます。

    • 正解を探すのではなく、他の「意見」があることを受け入れます。

    • 自分の矛盾を理解し、他の意見にも価値があると実感することが重要です。

  • Challenge:やったことがないことに挑戦する

    • 自分はやったことがないと思うことでも一度チャレンジをしてみます。

    • 自分の中にはないモノにチャレンジすることで、他の人の意見を吸収したり、参考にしたり、一緒にやってみたりします。

    • 自分の視野を広げることになります。

  • Respect:自己・他者、両方の尊重

    • 相手の考えにも一理あることを理解し、自分の意見と同様、尊重できるようになります。

    • 他者の感情や状況に対して目を向け、そこから見える景色を想像したり、他人の気持ちになったりします。

これらのレベルをどのように向上させていくのか?ということに目を向けながら、アクション設計をプランニングしていきます。

■当たり前のことだからこそ必ずレベルは上がっていく

主体性や共同体感覚というのは人間として当たり前に誰しもが持っている力です。しかし、使っていない筋肉が衰えていくように、使わないと衰えていく考え方でもあります。丁寧に向き合いながら、トレーニングを実施していくことで必ずチームの力は上がっていきます。

それを意識しながら一緒に組織の力を引き出していきましょう。

あらゆる組織・チームのエンゲージメント向上活動についてはこちらのオウンドメディア『DIO』で公開しています。

Wevoxでは他社の取り組みを参考にしつつ組織の枠を超えた学びを深められるオンラインアカデミーもあります。

動画を通して学べる8週間の学習プログラムはこちら

■最後に

私たちWevox、そしてその運営会社であるアトラエは人と組織の可能性を信じています。少しでも興味を持ってくださった方はぜひ一緒に語らいましょう!


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?