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使ってみたくなる技術~『アフェクト』をうまくつかいこなす~

ひさしぶりに行動経済学の本を読みました。タイトルにもあるように「行動経済学が最強の学問である」という本です。「統計学が最強の学問である」が良い本だと思っている自分としてはタイトルにひかれてとりあえず手を取ったことを覚えています。ですが、釣りタイトルのふわっとした本ではなく、作者の相良さんという方は、行動経済学専門のマスターをアメリカの大学でとられた方で、行動経済学を類型立ててまとめてみようとする面白いタイプの本です。

行動経済学をサラッと抑えたい、ナッジとか確証バイアスとかホットハンド効果とか行動経済学って色々なキーワードを聞くけどどういう学問っていうところに興味がある人は好い本だと思います。

この本でも書かれている通り、行動経済学を、ミクロ経済学のような体系だったものにまとめるにはまだ数十年かかるといわれているそうです。

そもそも行動経済学とは、『人間の非合理な意思決定のメカニズムを解明するための学問』と著者は書いてあります。

そのメカニズムを解明するために多くの社会実験を通して、再現性ある非合理な意思決定に名前を付けていっている状態という状況のようです。

著者はこのたくさんの結果を3つのカテゴリーに分類しています
・認知のクセ
・状況
・感情
です。とはいえ、読んだ感想としては、きれいに分類できる感じではなく、感情によって認知のクセが起きていたり、状況によって感情が動くといったところもあり、これはこっちなんだっけと思うところもあり、やはり一筋縄ではいかな印象を受けます。

今回、再確認などをしながら読み進めていく中で、紹介したいものが『アフェクト』というものです。(自分は知らない概念でした)

「アフェクト」とは「エモーション」嫌い、好きというようなはっきりとした感情の手前にある「淡い感情」と本の中には書いてあり、ちょっとアガったり、サガッたりといった本人が意識的に感じる手前の感情みたいなものです。

実はこれが結構、行動に影響を与える結果があるようです。ポジティブなアフェクトは視野や思考の幅が広がったり。能力活力があがる結果があるそうです。
ポジティブアフェクトを上げやすい環境を作るために、楽しかった写真をかざる、お気に入りのペンを使う、いいイメージを思い浮かべる、好きな温かい飲み物を飲むなど簡単にちょっとあげられる仕組みを作っておくといいようです。

逆にネガティブアフェクトは、なんとなく乗り気がしない、なんとなくいやみたいなものなのですが、これをほおっておくと、何かと仕事が手につかず、パフォーマンス悪いなぁといいながら自分の調子を自分で落としてしまうようなことに。

このような状況を改善するための方法として、主に二つのアクションが紹介されています。
①ネガティブアフェクトをしっかり言語化する。半ば無意識な感情であるネガティブアフェクトをしっかり意識できる状態にすることで、その問題の原因を理解したり、その原因を取り除く方法を考えられる状態になります。(これを『認知的再評価』というらしいです)
理解ができると、今の状況を、「期待されている。伸びしろがある。学びだ」などポジティブに受け止めることもできるようです。

②目標決めず、とりあえず5分だけやってみる。
1時間頑張るとかではなく、あまり考えずにとりあえず初めて見る。というのも一つの解決策になるようです。初めて見ると、がんばっている自分に少しアガって来ることもあるようです。

ちなみに自分の場合は、お気に入りの万年筆で、最近のモヤっていることをA4の紙に書きだすことをたまにしています。特に嫌なこと、しんどいことがあったときは何かしら書いてすっきりしていましたが、ネガティブアフェクトを整理していることだったんだと改めて整理できました。

このように、行動経済学は、自分でも無意識にやっていることを意識的に理解できるように整理する学問のような気もします。相手、ビジネスで使うというよりも自分をうまく動かすためにも一回読んでみると面白いと思います。


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