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仏教に学ぶ生き方、考え方「自業地獄」

「自業地獄」

 やってまいりました!今日は「自業地獄」のお話です。

 あれっ?住職さん、ちょっと間違えてるんじゃないですか?自業自得(じごうじとく)じゃないんですか?っと言われそうですね、、、。実は適当な言葉がなかったので、ちょっとダジャレっぽく新しい言葉を作っちゃったのです。

 よく自業自得で苦しんだりすると「自業地獄やな!」とふざけて言ったりすることがあります。わざと間違えて言ってるのですが実はこの言葉、間違いじゃなく本当のことなんです。

 えっ?ちょっと何言ってるのか分かりませんよね?自業地獄がなぜ正しいのか?いよいよ住職さん、おかしくなっちゃったんじゃないですか?と言われそうですよね?でもよく考えてみると、まさに「自業地獄」なのです。

 例えば家や車など欲しいものが高くて買えないとき、また将来まで使えるものだからといってローンを組んだりします。月々の支払いが多いけどしっかり稼げば大丈夫!と思ってますが、未来は誰にもわからないもの、月々の支払いが滞ることもあるやもしれません。ついには支払いができずに、延滞金がどんどん膨らみ、いわゆる「ローン地獄」に陥ることがあります。

 本人はこんなはずじゃなかった、うまく行かなかったのは、会社のせいだ、家族のせいだ、はたまた社会が悪いんだと思ってしまい、怒りの矛先が自分以外に向いてしまいます。

 でもよく考えてください。そのローンを組んだのは、誰でしょう?親でも家族でも、友達でも、社会でもありませんよね?そう、あなた自身なんです。つまり自分の行い(業)で自分が苦しんでいるのです。

 昨今は自業自得はよい意味合いでは使われませんが、元々は「自分の行いで自分自身ががその結果を得る」という意味合いがあるんです。これを自因自果(じいんじか)といいます。そして自らの行い(業)の結果に自分自身が苦しむことを「自業苦」(じごうく)、つまり地獄という事になります。まとめると自業自得で苦しむことを「自業苦=地獄」という事になります。

 えー、地獄は地面の下のほうにある監獄のようなところで鬼たちがたくさんいて、そこに落ちると、鬼たちにイジメられるところだと思っていました!という声が聞こえてきそうですね。たしかに地獄絵図はそういう様子が描かれていますが、死後に悪い事をした人が落ちる場所というより、今まさに心の中の地獄に落ちている人が多いのではないでしょうか?

 では地獄に落ちないようにするためにはどうすればいいのでしょう?答えはシンプルに導き出せます。自分の行いで苦しんでいるわけですから、自分の行いを苦しまないような行いに変えていけばいいことになります。意外と簡単ですよね?でも、「言うは易し行うは難し」で、行いを変えるのは実は難しいのです。

 でも地獄がどうして生まれるのかを知っていれば、少なくとも予防はできるかもしれません。
 例えば先ほどの「ローン地獄」て言えば、ローンという行いをしなければ地獄が生まれることはないですよね?欲しいものを欲しくないと言い聞かせることは難しくても、欲しいと思いながらそのまま手に入れないでいる、まさしく「欲しいまま」にしておくか、お金をちゃんと貯めてから買うかすればいいわけです。

 つまり仏教で勧められる六つの行いのうち、智慧(ちえ)(物事の道理をよく見て考える)か忍辱(にんにく)(耐え忍び我慢する)か禅定(ぜんじょう)(気持ちを落ち着かせてほしいものかどうかを自問する)を実践すれば地獄になることはないとも言えます。

 「地獄は自分自身が作り出している」ことを分かりやすく教えてくれる仏教ってほんと素晴らしいなって思っています。

☆今日の一句☆

  自分から
    地獄に向かう
        歩み止め


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