まささん

電気仕掛けのペットロス

店は「雪の下」といった。大通りと土産物屋が立ち並ぶ通りに挟まれた場所に立っていた。  ふたつの通りは観光客が一年中あふれている。並んでいる食べ物屋も、古い店はそ…

優しい雨

短編小説の集い自主課題「故郷」  二〇四X年、一月。  息子の担任から連絡が入った。  「明日、息子さんのことについて相談したいことがあるので、是非御来校ください…

クリスマスツリー

――交差点の先車両行き止まり。  そう書かれた立て看板が視線の端を後ろに流れていく。いつものジョギングコースのアスファルトはまだ濡れている。雨は朝には止んだはず…

聖布

白壁に手をつきながら鉄製のタラップを登ってゆく。四〇代になりたてのころ仕事で腰を痛めてから騙し騙しやってきたが、季節の変わり目、特に今日のように晩秋で急激に気温…

ギンナン拾い競争

それほど大きくはないが、寂れているというほどでもない神社が、地域の中心に鎮座している。この神社では正月に始まり年末まで、神社の年中行事はもちろん、地域のために祭…

何も残らない

「だいたいアイツの生き方が嫌いなのよ」   母の言葉に目を丸くした。そして周囲を見回した。 病棟の四階にあるラウンジには人がいなかった。夕方の五時をまわり、面会…