【ネタバレあり ライブ感想文】ストレイテナー「Silver Lining tour」@札幌ペニーレーン24 2023.6.25(日)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回はストレイテナー(以下、テナー)のライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。
例によって、演奏曲にたくさん触れながら書きました。
今回のツアーは公演毎に目まぐるしくセットリストが変わっている様子ですが、継続中のツアーですので、今後参戦予定の方は以下、その点ご理解の上ご覧ください。念のため。
それでは。
決して分かりやすいとは言えない歌詞を乗せた分かりやすいほど尊い美メロを、分かりやすいほど声の瑞々しさとハリを失わないホリエさんが歌い、分かりやすいほどテクニカルだけどストレートに太い楽器隊が鳴らすことで、バンド名に違わず心に真っ直ぐと刺さってきてしまうのが、私にとってのストレイテナーの魅力です。
私が人生で初めて「遠征」という形で、居住地域を飛び越えてライブを見に行ったのが、デビュー10周年時、2013年の日本武道館公演。
それまで様々な事情で、1年以上ライブに行っていなかった私にとって久しぶりの現場で、一曲目から大好きな「TRAVELING GARGOYLE」が鳴らされた瞬間、ライブで興奮する感覚が一気に蘇ってきたことや、当時の映像に若かりし日の自分が若干映っていることなど、とにかく思い出だらけのストレイテナー。
結果的にこの年はフェスも含め4回もライブを見るなど、どっぷりテナー漬けの音楽人生と言って差し支えありませんでした。
それから数年間、何だかんだで1年に1回の頻度で行けていたライブは、タイミングが合わず中々行けなくなり、昨年末のCDJが実に5年振りのライブ参戦となりました。
来年は皆さんに会いに行きますというホリエさんの言葉を信じて待っていると、途端に飛び込んできたツアーの知らせ。
発表時点では行けるか分からなかったため、またタイミングがああああ…と唸っていましたが、しばらくして行けることが分かった時に・・・、まだギリギリチケット余ってたああああ!
ワンマン参戦は実に7年振り(!?)、去年散々行ってたのに、今年初(!?)の愛すべき箱、ペニーレーンに4人をお祝いしに行った記録です。
結果的に満員御礼となっていた会場は、この日の札幌の気温に負けない期待と熱気により、心の蒸気がムンムンと立ち昇る様が、後方にいる私にははっきりと見えていました。
SEとしてはお馴染みの「STNR Rock and Roll」がかかると同時に、待ちきれないとばかりに曲のBPMよりもずっと早い手拍子が鳴り響きます…!
登場するなり深くお辞儀をするホリエさんとひなっちさん、ハットを被った爽やかな出立ちで淡々と準備をするOJさん、ドラムの椅子の上に立ち、堂々とフロアを見渡すシンペイさん。
ストレイテナーが札幌に帰ってきました。
シンペイさんの力強いキックとハイハットに導かれ、ひなっちさんのうねるスラップベースが炸裂したところで、一曲目を瞬時に悟った私は、既にこのロックバンドへの感謝の気持ちが溢れて止まりませんでした。
歌い、叫び、かき鳴らす、それだけのことを真っ直ぐに堂々と続けて、これからも続けてくれるテナーを、こちらは何があっても目を見開いて2時間焼きつける覚悟ができました…!
曲中に何度も歓声が上がる中、照明もテナーの25周年をお祝いしているかのように色とりどり華やかなもので、会場のあらゆる要素がお祝いムード一色のように感じられます。
そのまま引き続きひなっちさんのスラップベース炸裂のイントロは「The World Record」…!
しばらくライブでやってる印象がなかったけど…聞きたかった!
じっくりとフロアの熱を上昇させるグルーヴ…!
「…SINGING!!!」
間奏部でホリエさんが叫ぶと、フロア中の「OH OH!!」コール…!
無論私も、なんならこのまま世界中にテナーのロックが響いてくれ!!と衝動的に思いながら声を重ねます…!
OJさんの美しいアルペジオと、一番終わりのギターソロが最優秀賞すぎた「Ark」 。
たとえ泥舟だとしても、このメロディと音に乗っている間は、どこまでも行けそうな出鱈目なパワーと推進力で突き進むバンドの姿を焼き付けます。
そのまま一縷の迷いなく突き進む、雄大なアンサンブルがただただ美しかった「Graffiti」。
初めてテナーのライブを見たのは、16年くらい前の帯広でのワンマンで、激しく突進し続ける衝動剥き出しのライブをしている印象でしたが、この日は最初から肩の力が抜け、バンドとしての一体感のあるサウンドをじっくりと聞かせてくれるテナー。
音楽的により強固になった4人を真っ直ぐに表現した4曲に早くも胸熱です…!
「ただいま札幌!
ただいまペニーレーン!
俺たちストレイテナーって言います、よろしくお願いします!」
朗らかに、既に手応えを感じているかのように力強かったホリエさんの言葉に続き、怪しく光る木々たちが踊り出します。
緑や紫といった照明さんのナイス仕事の影響もあり、真っ先にMVの光景が浮かんだこの曲。
中盤でバチバチのバンドサウンドとEDMのような電子音が融合した瞬間、それはそれは木々が不気味に、綺麗に、おどろおどろしく輝き出す、山奥の怪しいフェスに来たかのような錯覚に囚われます…!
そのまま「タイムリープ」で、メリハリの付いたバンドサウンドを携えた時間旅行へ。
続く「The Place Has No Name」は、北海道が舞台のドラマ主題歌だったこともあり、まさしくここで聞きたかった曲。
真っ白に輝く照明の元、落ちサビに向けてどんどんとエモーショナルを掻き立てられる展開に何度も息を呑みます。
曲終わり、前方の楽器隊3人がシンペイさんのドラムセットに向き合います。
何事かと思った次の瞬間、シンペイさんの力強い4発のハイハットカウントからイントロが始まった瞬間、数多の腕と歓声で瞬時に沸騰した「TRAIN」…!
原曲の1.5倍ほどのスピードでもう突進してくる音の列車と、ホリエさんのシャウトにより、目を見開いていた私は更にその数億倍覚醒させられてしまいました…!!!
会心のライブはここでゆるゆるMCタイムへ。
前日の帯広公演を終え、この日は特急とかちに乗って札幌にやってきたという四人。
到着早々、楽屋に用意されていた石狩鍋に舌鼓をうち、あまりの美味しさに変な粉(ウェイパー)が入ってるんじゃないかと疑うひなっちさん笑。
ひなっちさん
「もう口に入れた途端に、「うんめー!」ってなって!OJも言ってたよね?」
OJさん
「…絶対言ってねー!笑
ただ、おかわりはしました笑」
寡黙なOJさんの本日第一声に爆笑してしまいました笑笑
楽屋には他にもお祝いのお酒や、白い恋人があったことに触れ、
「次の曲はホワイトラバーです!そんな曲ねーよ!」と1人でおどけ続けるひなっちさん笑
すかさずホリエさんが、
「次の曲は「宇宙の夜 二人の朝」です!」と告げると、
慌てて準備するひなっちさんの渋いベースラインから曲が始まり、激しいロックナンバーのイントロがなんとも微笑ましく様変わりしていました笑
そのまま続くは新曲「246」。
長いキャリアを経てもなお、全国各地を周りながら丁寧にライブを続けるストレイテナーのみなさん。
極端に針を振り切ることができない日々でも、その時その瞬間の正解を模索し続けて、鳴らし続けるロックバンドが放つ音には、潔さと説得力しかありませんでした。
爽やかな余韻…なんて感じさせないうちに、赤い照明に照らされながらブルンブルンとエンジンをかけるように唸るひなっちさんのベースライン。
ジャンキーでヘヴィな「SPEEDGUN」…!
かっこよすぎてたまりません…理性崩壊します…!
急に振れ幅が大きいゾーンだなと思っていたら、ノスタルジックなピアノの旋律から、「さよならだけがおしえてくれた」へ。
やっとライブで聞けたこの曲。
アウトロで感じるカタルシスはライブでも健在してました。
肯定も否定もなく、別れが教えてくれることの意味と意志を紡いで、最後には声を張り上げるホリエさんに呼応して、未来を生きたくなってしまう静かで力強いパワーに溢れていました…!
そんなストレイテナーが持つノスタルジックやエモを、引き続く「吉祥寺」でもたっぷり味わったところで、
「混ぜれば黒になる絵具」にバトンが渡ります。
決して明るいとは言えない、悲壮感が漂う歌詞、曲調の曲ですが終盤、原曲以上に何度も繰り返される「It's all right」に、希望を感じずには、いや、願わずにはいられませんでした。
何があるか分からない道も、タフに進んでいく意志を表すようにシリアスな雰囲気を引き継いだのは、シンペイさんの力強いドラミングから「A LONG WAY TO NOWHERE」。
フレーズに合わせて胸の辺りをギュッと掴みながらベースを奏でるひなっちさん、ラスサビの最高音を、今日一番エモーショナルで暑い声で奏でたホリエさんなど、写真で残しておきたい瞬間があまりにも多すぎた一曲。
悲しみに埋もれず、喜びに汚れることもなく、模索しながら真っ直ぐに進み続けるロックバンドが鳴らす凄味に溢れた5分間でした。
キーボードに向かうホリエさんはそのまま美しい旋律とともに「イノセンス」を演奏します。
ただただ清らかに透き通った、純真無垢な声とメロディだけがゆっくりと心を満たします。
久しぶりに聞いた「MARCH」。
ゆったりとした始まりから、サビに向けてどんどんと光が差し込むように輝きを増す照明。
7分近くある曲を締めくくるこのフレーズがハッキリと胸に残る瞬間が、今日も愛おしくて好きすぎました。
それだけを大事にして突き進む真っ直ぐな意志は、一点の曇りも感じさせませんでした。
「このゾーンの曲は、何だか今日の(特急で見た)車窓からの風景みたいだったね!」とひなっちさん。
再びの緩いMCコーナーでは、特急の車内での出来事へ。
途中駅の占冠(しむかっぷ)の名前と響きがかっこいい!とテンションの上がるひなっちさん笑
同じく途中駅のトマムで、北海道の涼しい気候を感じようとダッシュで降りたら、涼しいどころか暑くてムアッとして、冷房の効いてる車内の方が涼しかったと語るシンペイさん笑
今日は全然突っ込んでくれない!とOJさんに再び詰め寄るひなっちさんに「俺にも色々あるんだよ笑」と語るOJさん笑
「(この時間)休憩だと思ってない?命かけてるよ?ライブの良し悪し決まるよ?」
と、ひなっちさんとともにOJさんに詰め寄るホリエさん笑
先ほどの曲から一転して、まるで楽屋にいるような和やかな雰囲気に包まれるペニーレーンです笑
今年のライジングサン(テナーは通し券を持っている参加者だけ見れる初日の深夜枠で出演予定)では、テントがない人向けにひなっちさんが、「シェルター建てて料理も振る舞っちゃおうか!?冗談ですけど笑」
なんて言っていましたが、想像したら絶対に最高であることは間違いありません…!
はたして初日、深夜まで起きてられるかな・・・なんて妄想していたところでライブはいよいよ終盤戦へ。
ツアータイトルにもなっている新曲「Silver Lining」が疾走していくのを皮切りに続く曲は「叫ぶ星」。
曲がワンフレーズ終わったところで、ホリエさんからも「fooo!」と言葉にならない思いが飛び出し、最初のサビの入りでは珍しく声が裏返りそうになっていましたが、そのくらい会心の演奏が会場いっぱいに広がっていたのですから仕方ありません…!
キーが変わっていたため、一瞬なんだっけと思ったこの曲は…まさかの「REBIRTH」!
やったあああ!
羽が折れても、何をなくしても飛び続ける、無責任だけど、どこまでも飛び続けられるくらい追い風を起こすロックンロールに、私も思わずぴょんぴょんと飛び跳ねてしまいました!
「もっと声を聞かせてくれ!!」
ホリエさんの声とともに逆回転するギターのフレーズが聞こえてきたら、「Melodic Storm」の出番です!
アウトロ部の歌唱を全て観客に預けたホリエさん。
文字通り満員の観客による合唱が響き渡りました。
言葉にできない想いも含めて今、声と音になって舞い上がれ!
そんな願いを込めて私も叫び、歌いました。
ここで一瞬、「冬の太陽」が始まりかけたと見せかけて…、ふっと間を置いて「原色」!!
何があってもブレない私だけの色を胸に抱いて、拳を掲げました。
控えめな音量にしたつもりですが、ほぼ全編に渡って一緒に口ずさんでしまったのは、それだけこの曲の確固たる芯に助けられてきた自分が、無意識のうちに顔を出していた証拠だと思います。
そのままラストは「シーグラス」で、爽やかに切なく駆け抜けていきました。
頑張って起きていれば、石狩湾で風を感じながらこの曲が聞けるはず…!
そんな未来を夢見て本編は幕を閉じましたが、ひとまず今日この時しかないテナーのライブをまだまだ楽しみ尽くしたい所存…!
アンコールを待つ手拍子に応え、再度メンバーが登場すると間もなく、OJさんの力強いカッティングから「ETERNAL」へ。
終盤、一音一音から火花がバチバチと飛び散るように輝きを放つシンペイさんのライドシンバルを筆頭に、光って光って仕方なかった4人の演奏…。
あまりの神々しさに、激しいアウトロでも思わずぽーっと見惚れてしまいました。
「今回のツアーでは「ETERNAL」みたいな、昔の曲も引っ張り出してやってます。
今、楽曲のファン投票をしてるけど、俺たちが好きなマニアックなやつはまあ上位にはなくて笑、独自でプレイリスト出すしかないなって。
でも俺たちは1票しか入ってないような曲もやり続けるバンドです!」
今日のセトリを振り返れば、そんな言葉に充分な説得力が備わっていることは火を見るよりも明らかだったこともあり、会場中から歓声の炎が上がります!
これは9月の新十津川のフェスでやったらとても雰囲気が合いそうと思っていた切ない「彩雲」で、ああ、じゃあまた再来月…と見せかけて鳴り止まない拍手に猛スピードでステージに戻ってくるメンバー!
「しんみりしちゃったんで最後はぶっ飛ばして帰ります!」
本当のラストは「ROCKSTEADY」!
ここまでクールに自分のギタープレイに徹していたOJさんも飛び跳ねるほど、圧倒的な開放感…!
どんなに不安な夜でも、まだまだこのバンドの真っ直ぐな音楽が生き続けてくれるんだと思うと、これ以上ないくらい頼もしくて仕方ない…!
ライブハウスから帰る私の足取りは、心なしかいつもよりも真っ直ぐ力強いような気がしていました…!
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?