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【ネタバレあり ライブ感想文】the dadadadys「(許)」@札幌 BESSIE HALL 2023.5.28(日)



 こんばんは。シリアスファイターです。



 今回はthe dadadadysのライブツアー、札幌公演のライブ感想文です。


 例によって継続中のツアーですが、演奏曲に堂々と言及した記述満載ですので、今後ツアーに参戦予定の方は以下、閲覧注意でお願いいたします。


 それでは。



 昨年の初め頃は、tetoがthe dadadadysになって云々…みたいな情報の波に頭を振り回され、出てくる曲がいちいちロマンチックでワクワクするロックンロールゆえに身体と心も振り回され、JOIN ALIVEでようやく体感できたライブで、そうして振り回され続けた挙句、このバンドの行く道をまだまだ見届けたくて仕方なくなってしまった私。


 tetoとは違うバンドではあるものの、同バンドの曲もたっぷり演奏するため、あくまでも地続きであるthe dadadadysですが、teto時代にあったロックサウンドの波状攻撃とノイズに塗れたヒリヒリするような世界観は携えたまま、今のthe dadadadysはとにかく自由に楽しそうにロックバンドしてるんだな!というのが音源から、ライブからひしひしと伝わってきます。
 何というか…満面の笑みで踊りながら音でぶん殴ってくる感じ…というか…(捉え方によっては狂気が過ぎる気がしますが…。)


 そんなdadadadysの次のライブに行けるのはいつかと、満面の笑みを心に浮かべて待ち焦がれていたところで現れた札幌ワンマン。
 しかも久しく行けていなかったベッシーホール!


 250人ほどしか入らない小箱で、the dadadadysの爆音にぶん殴ってもらえる…。


 想像しただけで最高の夜になることは確約されたため、ロックンロールマゾヒストである私は行かざるを得ませんでした。


 ほぼ開演時刻に暗転した場内。
 SEとして流れる「anthem」の軽快なビートともに楽器隊4名と、早くも「調子はどうだい?」と言わんばかりに手をヒラヒラと煽る小池さんが登場すると、滾りきっていた観客からたくさんの手と大きな歓声が上がります…!



「お、久しぶりです〜dadadadysです〜
 …光るまちへ行こう!!!」


 一曲目の「光るまち」は、ミドルテンポでじっくりと聞かせる原曲から一転、アップテンポでハネるリズムを活かしたアレンジで、まさかすぎるアレンジに対する驚きと、5人が鳴らす仕上がりまくった極太のバンドサウンドにワクワクを隠しきれません…!


 身体中が疼いて痙攣し続けているかのように飛び跳ねながらも、リズムも歌唱もブレず熱のこもった演奏と歌を吐き出す、一曲目からフルスロットルの小池さん。


「札幌!終電を逃す覚悟はあるか!?」


 原曲の持つ切実さはそのままに、音楽で無邪気に夜遊びを提案してくる小池さん。
 もちろん…その話乗ります…!



 イントロの山岡さんによるカウボーイでも出てきそうなワイルドなギターフレーズが最高過ぎた「(許)」。


 よくないとは心のどこかでは分かっていつつも、このロックで遊んでいる間は「まあいいや!」と無責任に思えてしまうほどかっこよくて楽しいロックショーに思わず声が出てしまいます。


 早くも気持ち良すぎたのか、曲終わり、小池さんはギターごと客席にダイブ!
 この日幾度となくこちらに飛び込んでくる小池さんのファーストダイブはこの曲が最初でした!笑

 遊びのない日々なんてイケてない

あっ!



 フレーズに合わせて、大きく両腕を交差して×を作ったり、中指立てたり、首を切るように親指を突き立てたりと、日常だと不謹慎すぎる仕草を、それはそれは楽しそうに行う小池さん。


 頭の中にある想いを、音楽に乗せて、ロックに乗せて吐き出す時は思いっきりやっていいんだと思えた時、真面目に!不真面目に!堰を切ったように暴れ出すパンクロックのツービートに頭がおかしくなりそうでした…!


 アウトロの「おーおおおーおー!…」のフレーズでは自然と合唱が起きていました…というか私も自然と抑えきれない想いが声になっていました…気持ちいい!!!


「おい札幌、ぶっ殺したいほど愛してるぜ!」


 強烈な愛の告白から「kill&miss」
 5人になり更にぶっとく強固になったサウンドを持って一音一音が叩きつけられる度に、とてつもないカタルシスを感じてしまいます。


 一瞬一瞬刻むたびに、体温が何十度もぐんぐん上昇するようなとてつもない熱量…凄まじいぞdadadadys!!!



「音楽的な意味でも、性的な意味でもお世話になってる札幌に恩返ししに来ました!
 今、北海道の鮭ハラスよりも脂乗りまくってるから、今日はそんなdadadadysを食らってください!
 踊っても、突っ立ってても何でもいいから最後まで楽しんでって!!」


 どう切り取っても剥き出しで絶好調な小池さんでしかない脂の乗りまくったMCを踏まえ、「青二才」のポップなメロディに乗せて、身体をゆらゆらと揺らす観客が続出(私も!)し、サビではヒップホップのライブかのようにたくさんの腕が上下します。


 かと思いきやすかさず、「忍者になることに決めました!」と無邪気にロックモードに切り替わる「にんにんにんじゃ」で、しゅばばばーん!と、中身があるようなないような歌詞を、ありったけのエネルギーで放出するもんですから、痛快すぎます…!


 yuccoさんの小気味のいいハイハットが聞こえてきたら、当然そのまま「しぇけなべいべー」。
 本能剥き出しの歌詞を楽しそうに一緒に歌ったり、手を挙げたりする私を含めたお客さん、そして脂ノリノリのバンドサウンドは、ポップさも十分に兼ね備えていて、平和で仕方ないライブハウスに映えまくっています。



「ギターソロ聞きたいよな!!?」


 クールな出立ちでギターを弾いていた山岡さんが全面に出て怒涛のギターソロを披露した「PUXXY WOMAN」は、そのギターソロが最高なのはもちろんのこと、あまりに最高過ぎて小池さんが「…最高だな…!」と声を漏らしていたことも更に最高を煽ります。

 こんなに赤裸々な曲なのに、サビのメロディの風通しが良すぎるおかげで、聞いていて清々しいというマジックが、ライブでも存分に体感できました…!


 ここでドラムとベースを皮切りに、宇宙と交信するようなギターフレーズが合流するセッションに突入。


 孤独感を煽られるようなセッションから、「散々愛燦燦」が降ってきました


 ここまで大いに暴れてた小池さんはサングラスを外した曇りない真っ直ぐな瞳で、一点を真剣に凝視するように、時にギュッと目を瞑りながら、魂を込めて丁寧に声を紡いでいきます。


 冒頭のセッションもですが、サビのドラムのリズムもリアレンジが施され全く違った感触ながらも、心の奥をキュッと捕まれるような切なく優しいメロディが活きていることに変わりはありません。


 「久しぶりに札幌で歌った気がする、ありがとう!」



 晴れ晴れとした表情の小池さん。
 でも、こんな優しさたっぷりのままでライブが終わる訳もなく…。
 余韻も何もない!今しかない!と言わんばかりに「超々超絶絶頂絶好最高潮」をぶっ込んでくるものですから、私もサビで「ぼん!」と手を挙げざるを得ません!


 この曲を皮切りに、中盤戦怒涛のラストスパートの火蓋は切って落とされました。


 前曲から繋がるように、yuccoさんの鋭いバスドラと佐藤さんの武骨なベースフレーズから雪崩れ込むカオスなセッションはそのまま「nantekotta」へ。


 このヘヴィなセッションときたら…!


 突っ立って聞いてるだけでも全身がメラメラと燃え上がるように圧巻の熱量で、この世のロックバンドのかっこいいを煎じ詰め倒したバンドサウンドと、小池さんのラップとシャウトがメチャクチャに混ざり合ってうおーーーー!という気持ちが昂り続けていました。
 とんでもない文章ですが、このくらい色んな気持ちを同時に掻き立てられる凄まじいロックバンド体験…!



 長尺のイントロから始まり、歌い出しから前方で凄まじいモッシュが起こっていた「トリーバーチの靴」。


 間奏部で小池さんは、アダルトビデオに出ていた友人?について、


「〇〇さん、終わった後に涙を流してた!
 テロップに、気持ち良すぎて涙が出たって書いてあったけど、そんなわけねえだろ!
 あの涙はそんな涙じゃねえ!
 そう思って作った歌!」


 と、抑えきれない心の内を叫び出します。
 それ以降のこの曲は、怒りのような、何かやり切れない感情が何倍にも膨れ上がったように感じられ、私はそんな感情を全部振り払うように、衝動に任せて拳を振り上げます。、


 「札幌の皆さんに歌います。」


 丁寧な挨拶から、雪崩れるように押し寄せるバンドサウンドは、個人的に思い入れが強すぎる「拝啓」。


 拝啓 今まで出会えた人達へ
 刹那的な生き方、眩しさなど求めていないから
 浅くていいから息をし続けてくれないか

拝啓


 最後のサビで、とうとうマイクスタンドごと客席に突っ込んできた小池さんが、お客さんにスタンドを支えてもらいながら、自分自身もお客さんに支えてもらいながら、全力でギターを弾き歌う姿に、声を、腕を上げながら、tetoとして、dadadadysとして、大好きなロックを札幌で鳴らしてくれることに、ただただ感謝するばかりでした。



 今日も元気にライブハウスに来れた自分、自分の周りにいる大切だと思える人のことの尊さを思う4分間。


 そんな余韻を引きずりつつ、力強いフレーズを刻むことを止めないyuccoさんのドラムから、ゆったりとスケールを広げていく「waiting for us.」が、中盤戦のエンドロールのように会場を包み込みます。


 この道、この街にこのまま足跡を残そう

waiting for us.


 最後のフレーズ、全身全霊で叫んだ小池さんの姿。
 どんどん大きくなり、全てをぶつけるように一音一音を叩きつけるセッションを展開する佐藤さん、儀間さん、山岡さん、yuccoさんの姿。
 まだライブは終わってないのに、こんなに強烈なロックの足跡を残してくれるdadadadysのライブを、私はもっともっと見たくて仕方なくなっていました。


 疾風怒濤の中盤戦を終え、イントロでの複雑なギターとドラムの掛け合いがバッチリ決まったところで、「(ドラム)すごいでしょ!笑」と、観客に上機嫌でメンバーを自慢する小池さんの姿にほっこりしていると、朗らかな雰囲気のままポップな「♡」。



 「真摯に歌います!」と宣誓して、ハンドマイクを握って文字通り丁寧に言葉を届けてくれた「らぶりありてぃ」。


 2A部からはミラーボールも廻り始める中、先ほどまでモッシュもたくさん起こっていた前方付近のお客さんも含めて、暖かなメロディと歌唱にじっくりと浸るような雰囲気でした。


 「昨日の風俗嬢に歌います!」


 赤裸々な宣言から、「ただ生きてるだけでヤバイ」というピュアな気持ちがひしひしと伝わってきた「恋」から、


 「春先に亡くなった祖母に歌います!」


 と、小池さんが文字通り、前方のお客さんと、手と手でハイタッチしまくりながら歌った「手」。


 生々しい体温が音からも姿勢からも伝わってくる選曲は、何だか苦しくもなるけど、とても愛おしく感じる時間でした。




「ねえ!札幌!聞こえてる!?もしもし!?」


 曲が始まる前から客席に飛び出してきた小池さんが受話器を持つような仕草を見せると、怒涛の高速パンクロックナンバー、「もしもし?もしもさぁ」で、再びモッシュが巻き起こります!


 もうかれこれ20曲近く叫び続けている小池さんの喉は全く枯れず、メンバーの演奏のテンションは天井知らずでまだまだ上がり続けるものですから、こちらも目いっぱい心を解放しないわけにはいきません…!


「良い曲いっぱいやったので、クソ?みたいな曲やって帰りまーす!」


 そんなニュアンスの宣言から放たれた、「k.a.i.k.a.n」は、紫と青の照明が激しく明滅する中、銃火器のように連射される音の洪水にもう理性は崩壊寸前でした…!
 でも何より気持ちよさそうにしていたのは、他ならぬメンバーであり、小池さんだったに違いないと、激しくステージで踊りながら歌う様を見て確信していました。



 このままラストは「ROSSOMAN」…!


 楽器隊3人が間奏で前に出て、堂々と演奏する様に興奮しながら、馬鹿になれない阿呆なら、このロックで心踊る阿呆なら、踊らにゃ損だ!と下手くそなりに飛び跳ねさせていただきました!

 命無くさなけりゃ何度も手に入る
 命無くさなけりゃ何でも捨てられる

ROSSOMAN


 命さえあれば何でもできる。
 ロックを聞いている時に得られる、根拠のない全能感をガシッと掴み取ってやりました…!


 正直全部出し切った感はありましたが、それでもまだまだ足りないと言わんばかりに、私は大きく手を叩きながらアンコールを求めました。


「アンコールありがとうございます!
 音楽をやってる時は、夢みたいな気分です」


 …まさか…?と思ってたら、私の最推し美メロ曲…「夢見心地で」からアンコールは静かに、激しく幕を開けました…!



 とにかく、夢の中に漂うように美しいサビのアンサンブルと、激しく展開するイントロのリフのギャップに何度も胸を締め付けられるこの曲は、5人の轟音アンサンブルで更に迫力を増し、私の心臓を抉り取らんとするばかりに響きました。


 夢みたいな光景だとしても、今日みたいにライブハウスで、見たい時にライブを見れる日常がずっと続くようにと静かに祈りを込めて聞かせていただきました。


 小池さんが25歳の頃の風景を歌ったというMCから、私を含めた観客の汗をもう一絞りしたのは「高層ビルと人工衛星」…!


 再び汗まみれになりながら、サビのフレーズを一緒に、大きな声で歌いました。


 本当にここまでMCらしいMCもなく、文字通り全力疾走だったライブ。


 最後の曲を前に、小池さんが口を開きました。


「みんな自分が常識人だと思ってるかもだけど、にんにんにんじゃとかギリギリキリギリスとかで馬鹿になって騒いでるあなたは、立派にイカれた素晴らしい才能の持ち主です!」


「最近は、頭空っぽ…にはできないんだけど、色んな気持ちを抱えたままで踊れたり、突っ立ったりしたまま受け止められるものがちゃんとできてる気がするんですよね!」


 全くその通りと言わんばかりに上がる歓声と拍手。
 どうあがいても、結局音楽に真面目すぎる、そのバンドの姿勢に惹かれたんです!と何度も頷きました。


 そして、最後の曲へ。


「俺はロマンチストだから、公園で一人で月を見ながら、色んなことを考えて、周りの音を聞いてたら自然と曲ができてた。
 これがいい曲かどうかは分からない。
 良い曲云々は人の好みだし。
 俺は普通でありたいし、自分が普通だと思ってたけどどうも違くて、世間にとっての普通の良さが俺にはちっとも分からない!
 今日ここにきてくれたあなた!ロックを好きでいてくれてありがとう!
 だから、今日のこの曲も、あなたが独り占めしてくれ!」



 少し要約しましたが、dadadadysのロックが好きで仕方ないお客さんへのリスペクトと愛情のこもったMCから、ライブを締めくくる「東日暮里5丁目19-1 」が、ゆったりと演奏されました。


 終始穏やかな原曲から一転、アウトロでは何分やってたか分からないくらいガッツリとアンサンブルが広がっていくロングセッションへ。



 途中では、中島みゆきさんの「ファイト!」のサビのフレーズを叫ぶ小池さん。



 ロックに真面目であることから抗えず、今日もこのライブハウスに来た自分自身を鼓舞されているような、優しさと力強さを勝手に感じて、目頭を熱くしていました。


 優しい笑みを浮かべ静かに去っていったdadadadys。


 凄まじい余韻と共に、会場から出て空を見上げててもすぐに月は見えませんでしたし、明日への不安もしっかりと残ったままでしたが、大切なものを大切にするために、一歩ずつ歩いて行こうと思いながら、足早に帰路に着きました。


セットリスト

SE.anthem

1.光るまち
2.(許)
3.あっ!
4.kill&miss
5.青二才
6.にんにんにんじゃ
7.しぇけなべいべー
8.PUXXY WOMAN
9.散々愛燦燦
10.超々超絶絶頂絶好最高潮
11.nantekotta
12.トリーバーチの靴
13.拝啓
14.waiting for us.
15.♡
16.らぶりありてぃ
17.恋
18.手
19.もしもし?もしもさぁ
20.k.a.i.k.a.n
21.ROSSOMAN

アンコール
1.夢見心地で
2.高層ビルと人工衛星
3.東日暮里5丁目19-1


 今回は以上です。


 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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