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[ライブレポ ネタバレあり]2022年2本目 Nothing’s Carved In Stone ANSWER TOUR 2021-22@札幌ペニーレーン24 2022.1.10(月・祝)


 こんばんは。シリアスファイターです。

 今回は日本で一番(私基準)重く太い音を鳴らすかっこよすぎる4人組バンドNothing’s Carved In Stone(以下、ナッシングス)のライブレポートです。
 まだ継続中のライブツアーですが、演奏曲にもがっつり触れたレポになっています。
 その点をご理解の上、読んでください。
 それでは。


 昨年末に出た10枚目のオリジナルアルバム「ANSWER」のツアー。
 アルバムがすこぶる良すぎたために、KANA-BOONのライブの翌日にも関わらず、アルバムの再生停止ボタンと同時にライブチケットの購入ボタンに手を伸ばしました。
 重厚で硬派な音に乗せて、諦めきれない、自分にとって大切なもののために戦い、生き続ける人を鼓舞するような歌詞が特徴のバンドですが、このアルバムは今まで以上にポップでキャッチーなメロディが増え、歌詞もよりストレートに伝わる言葉がグッと増えた印象でした。
 アルバム発売より少し前に配信された「Beautiful Life」(以下、リンクの曲)を聞いたときは、「ああ、こういうポップな感じもいいな・・・」くらいに思っていましたが、アルバム全体でポップさを打ち出してくるとは…。
「やられた・・・、いつも以上に・・・、詩とメロディが届く・・・!」アルバムを引っさげてのライブを観に行かない理由はありません。

 会場は今年初のペニーレーン。札幌の老舗ライブハウスです。
 昨年自分が行ったライブは、軒並み座席のあるスタイルでしたが、本日はスタンディング。
 一人一人のスペースを黒いテープで区切ることで、距離を保った上でのライブです。
 本来フルキャパシティで600人ほど入るライブハウスですが、パッと見250人前後?しか入れない仕様になっていたかと思います。
 それでも、オールスタンディングの会場でそわそわと待機するお客さんの姿を見ていると、数年前まで当たり前だったライブハウスの光景が少しずつ戻ってきている気がして、希望にも似た気持ちを覚えました。

 開演予定時間を5分ほど廻ったところで暗転。
不穏だが何かが始まるような不思議な予感を覚えるSEとともに、メンバー4人が登場。
 SEをぶった切る鋭いギターフレーズから、一曲目はニューアルバム同様「Deeper,Deeper」。

 生方さんのごっついギター、ブリっブリにうねりまくる日向さんのベース、テクニカルでぶれない大喜多さんのドラム、村松さんのセクシーだけど芯のある太いボーカル、全てに完全KO宣言。
 「今は孤独でも進んでいく」という意志を、一音一音を噛みしめるように鳴らします。

 大喜多さんのドラムさばきから流れるように、疾走感のある「Bloom in the Rain」。
 昨年のお正月に配信でリリースされた曲が、今年1発目にナッシングスからお年玉…というより音の鉛玉のように降り注ぎます。

「見つけ出した過去を投げ捨てて笑って 重ねあう現実を 未来と呼べるから今まだ 僕ら限界を超え二度咲くflower」
Bloom in the Rain


 今年もナッシングスとともに走って行ける事実に、これ以上ない頼もしさを感じたところで、同じく共に走る意志を歌う「Spirit Inspiration」。
 ナッシングスと、曲を聞いている自分だけでなく、このライブハウスにいる全員がナッシングスを信じて日々を生き抜く一人一人の人間なんだなという、「ひとつになる」わけではない、ある種の一体感を覚えたところで、解放感のあるロックチューン「白昼」へ。
 初めてこの曲を聞いた時にも思いましたが、「風車は風を呼び出して」って歌詞が曲の雰囲気とマッチしすぎて、会場の風通しがどんどん良くなっていきます。
 その歌詞がお気に入りらしい大喜多さんの間奏のドラムソロもバチッとはまってバンドのグルーヴを加速させます。

 ここで村松さんから最初のMC。
 「半年ぶりの札幌です。ただいま!
  ANSWERリリースしました。最高傑作だと胸を張って言えるものができたと思います。
  最後まで着いてきてください。」

 最低限の言葉で、裏を返せば、後は音で伝える意思表明をしたところで、不穏なギターから始まったのは、各楽器隊による怒涛の波状攻撃、「Rendaman」。
 前半4曲から一転してゴリゴリの演奏を繰り広げたところで、キャッチーで踊れる「No Turning Back」、テクニカルな「(as if it's)A Warning」と続いていきます。
 「(as if~)」をライブで聞くのは、個人的に同曲が収録されたアルバムのツアー以来7〜8年振り?だったのですが、当時の熱そのままに、曲のテンポに沿った(?)どっしりとした聞き応えになっていたのが印象的でした。

 …とここで、同期演奏が聞こえてきました。
 続く「Wonderer」では、イントロから自然とハンドクラップが上がります。
 「明日は来る 悲しみは消える」と繰り返し歌われるフレーズに込められた決意、祈りをしっかりと胸に刻みつけながら一音一音吸収させていただきます。
 引き続きニューアルバムから「Flame」、「We’re Still Dreaming」と、このライブで唯一のメロウな楽曲の流れ。

「感情が燃えた夜 無くした自分を見つけたんだ 生まれ変わる時は今だろう たとえ明日が来なくても」
Flame
「飛べばいい命燃やして 夢の様な世界を」
We’re Still Dreaming


 ナッシングスの曲には、ライブを主戦場とするバンド特有の、ライブを意識したように解釈できる歌詞が多いです。
 この2曲も同じく、夢や理想を追いかける本当の自分を取り戻し、表現するための場所が、このライブハウスなんだという決意を歌った曲で、この場所で、ライブハウスで聴けたことに深く感慨を覚えます。
 その流れから来る「Milestone」が私個人のこのライブのハイライトとなりました。

「永遠のような感情でさえ 現実の前じゃ無力だけど 僕らは今日も寄り添っていて それを自由って呼ぶんだ」
Milestone


 音楽は、上手くいかない現実を、叶えられない理想を直接的な意味で好転させることはできないと分かっていても、そこに一歩でも近づくための足場になると信じて、これからも音楽を鳴らしていく。
 同じくライブへの想いを歌ったこの曲が、上記2曲からの繋がりで聴くことで、より強い覚悟の歌として響きました。

 ここで村松さんMC。
 「北海道雪すごいね。雨を雪に変えても溶けきらないね笑」と「Flame」の歌詞になぞらえてしゃべりつつ、北海道はドラムの大喜多さんの出身地ということで、
 大喜多さんの「ただいま!」に、ファンから「おかえり!」の拍手が送られ、会場は少し緩やかな雰囲気。

 ここからはテンポの速いロックチューン連発の終盤戦へ。
 文字通り後半戦の火蓋を切る「Begininng」。
 曲終わり、村松さんの「Beginning!」の威勢のよいかけ声から、生方さんの爽やかな、風を切るようなアルペジオから始まる「Recall」へ。

「いつになく孤独を噛みしめた夜に思う 君が君である道 選んだのは間違いじゃない」
Recall

 これまでにないほど爽やかでポップなメロディに乗せて、ナッシングスを信じて今日この会場に辿り着いたファンを肯定してくれるような、説得力がありすぎる展開にちょっと涙腺が危なかったですが、そこからバチバチの照明とメンバーがぶつかり合う「Like a Shooting Star」の一体感のあるグルーヴにバチ上がり・・・!
 「君が抱えてきた無数の傷が今の君を輝かせているんだ」というこれまた「Recall」と違う目線で聴く人を肯定するメッセージに、やっぱり涙腺は・・・ダメでした・・・泣

 この流れはまだまだ止まりません。
 続く「Impermanence」は私がこのアルバムで一番好きな曲。
 「Impermanence≒無常」のような意味の英単語ですが、前述のような直接的に聞き手の背中を押すメッセージではなく、「移り変わる、今しかない現実で、あなたの生き方を、光り方を教えてくれ。」と聞き手に生き方を問う曲です。
 曲も少し不穏な空気の同期から始まったかと思えば、サビでいきなりポップに解放される不思議な構成で、間奏では生方さんの怒涛のギターソロまで待ち構える、まさしく聞き手を試しているのか?と感じざるを得ない一曲に、とてつもない魅力を感じてしまい、今日このライブで聞けた喜びを爆発させることで、音楽が大好きで仕方ない生き方を示せたはず・・・!

 そこから間髪入れずに生方さんおなじみのスクラッチから「Out of Control」へ!
 声は出せずとも間奏のダンスタイムは誰にも奪えません。
 オールスタンディングで、一人一人違う動きで踊るこの会場はまさに、ライブハウスそのものでした。

 村松さんのMC。
 「ナッシングスのチームは既に新しいアルバムに向けて動き出しています。
  ひとまずは、今日もらったエネルギーも含めて、最後までこのツアーを駆け抜けます。」

 既に次のステージへ動き出しているナッシングスに期待が高まる会場に鳴らされたのは、前述の「Beautiful Life」

 「自分の価値に悩み、もがく姿は美しい」と全肯定で大円団かと思い込んでいましたが、ここから本編最後の「Walk」へ。

「君が今ひとり彷徨う先にも終わりは来るはず 空は晴れて虹を呼んで 視界を彩り描かれたメッセージ 答えはひとつそう 今を生きる 前を向いて」
Walk


 確かな足取りでまた一歩、それぞれの現実に向けて動き出す決意を最後に込め、同期演奏の音のみを残し、メンバーはステージを後にしました。

ここで終わっても最高でしたが、鳴り止まぬ拍手に応えアンコール。

 イントロのテケテケギターがかわいい「Dream in the Dark」で、静かですが、確かな熱を感じるグルーヴを見せたところで、地元北海道で大喜多さんのmcタイム。

「今日はみんなからもらった熱量を演奏で返すことができました。」との嬉しい言葉から、
「昨日札幌入りして、俺以外の3人は買い物とか出かけたんだけど・・・、俺は一区画分歩いただけで「無理だ…」ってなって帰ったからね笑」と思わずなんで!?と思うmcまで、今日一番和やかな時が流れました。

 「また必ず会いましょう。」村松さんのシンプルな言葉から、最後の「November 15th」でこれでもかと重厚なバンドサウンドを再びぶつけてフィニッシュ。

 また逢いたい。
 何よりその積み上げてきたロックサウンドやポップさを持って、欲を言えばもっと大きな会場で見たい!
 まだまだ転がり続けるナッシングスに大きな期待を寄せるライブになりました。

 不定期とか言っといてなんですが、次回も来週早々に更新します。
 次回は「ヤバイTシャツ屋さん」のライブレポ予定です。

セットリスト
1.Deeper,Deeper
2.Bloom in the Rain
3.Spirit Inspiration
4.白昼
5.Readaman
6.No Turning Back
7.(as if it's)A Warning
8.Wonderer
9.Flame
10.We’re Still Dreaming
11.Milestone
12.Beginning
13.Recall
14.Like a Shooting Star
15.Impermanence
16.Out of Control
17.Beautiful Life
18.Walk

en.
1.Dream in the Dark
2.November 15th

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