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周りを不幸にする、幸福な漢の話


短編初投稿小説 エピソード 2

漢は少年期に成長の場を移し、心身共に順調に育っているものと本人は思っていた、かも。 

しかし実際はそれさえ感じていないのだろう。

小学校1年生、7歳の時に担任の先生に生まれて初めて微量の、然し確実な【女性】と云うものを感じた。

世間では其れを初恋と言うのだが当然本人は認識していないものである。

人って生きている正にその瞬間瞬間には気付く事が出来ないが、少し時間が過ぎてふと振り返るとあぁ、あの時はそうだったなぁ とか あの時はそう思っていたなぁ 等と思い返す生き物なのかも知れない。

後悔って、正にそれなんだって今ふと思った。

世間一般的に云う初恋と同時に、漢は自身ではおそらく人生初のスポーツである【ラグビー】との運命的な出逢いをした。

それは明らかに、その後の漢の人格・骨格を形成する事に多大なる影響を与えたが、此れも当時の漢は感じては居ないのである。今まで友達と遊んでいて結果怪我をさせてしまっていたエネルギーの正しい使い方を見つけたかの様に、楕円形のボールを追い続け逞ましく成長していく。

中学生時には俊足を買われ、陸上部では無いのに陸上競技大会に出場しナント!関東大会にまで進む経験をしたのだ!100Mで11秒1という圧巻の自己ベストを叩き出し県内のラグビー有力高校から声が掛かり特待生で入学し、大学も同じくスポーツ特待生で入学する。

殆ど努力などせず、チョット俊足で運が良かっただけだったこの漢は、ここで調子に乗り努力する事の大事さ辛さ厳しさを心底体験せずに上手くレールに乗っかってしまい人生を甘く見てしまったのだろう。

昔の人は良く言ったものだが【若い時の苦労は買ってでもしろ!】と

高校、大学と自分なりにラグビーに打ち込み邁進していたのだったが、この漢にはラグビーの女神は微笑まず、だった。

6歳から始めたラグビー、大学2年で靭帯断裂し選手生命は呆気なく幕を下ろしたのだった。

スポーツ特待生で入学した条件の中に選手としての価値が失われた際は速やかに自主退学をする事、この非常な条件によりこの漢は学生生活にピリオドを打たなければならなくなり、初めて人生とは思う様にいかず残酷であるものなんだと痛感して思い知らされたのだった。

しかし此れも過去を振り返って思う事だが、ラグビーのお陰で教えて貰った事はとてもたくさん有り得たものも多くあったのも事実だ。

ありがとうラグビー! さようなら学生生活!





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