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#63 11年前の今日、日野原重明先生の教え

1.11年前の今日、日野原重明先生のサイン会

過去最大級と評された台風14号は、昨日、温帯低気圧に変わりました。
安堵する一方で、被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

11年前の今日も、台風15号の首都圏直撃が取り沙汰され、交通機関の大混乱が懸念されていましたが、同日、新宿の紀伊国屋書店で開催された日野原重明先生のサイン会は、私にとって、生涯忘れることのできない日です。

この日、200人の長蛇の列に並び、初めて日野原先生と対面しましたが、
日野原先生は、交通機関の遅れによる疲れを少しも見せることなく、一人一人に声をかけながら、一冊ずつ丁寧にサインをして行かれました。

(左)サイン会で200名にサイン中の日野原重明先生(2011年9月21日)
(右)新刊「いのちを育む」にいただいた日野原先生のサイン

2.「いのちを育む」(日野原重明著:2011年9月 中央法規出版)

日野原先生直筆のサインをいただいた同著を、毎年この日が来ると本棚から取り出して読み返します。

はじめに:困難に一緒に耐えることで生まれるもの
この本は、百歳の私から、私より若い人々に伝えたいメッセージを集めた一冊です。(中略)
 東日本大震災は大変つらい出来事ですが、この災難によって、今日本全体が一つになろうとしています。これまでは、日本国でがんばりましょうといっても、地域や県を超えて一体感を持つことはできなかったのです。しかし、この大きな出来事により、今後私たちは、日本は一つだという一体感を持つことができるようになったのです。
 困難に共に耐えることで培われる感性、そしてその困難を乗り越えた時の感動が、きっと、私たちの力となります。
(後略) 

おわりに:これからの世界、これからの日本
 
東日本大震災が起きた時、そのニュースは世界中に即座に配信されました。すると世界各国からすぐに支援の手が差し伸べられたのです。1週間以内に131カ国もが支援にやってきてくれました。大国だけでなく、アジアやアフリカの小さな国までもが、何か支援をしたいと申し出てくれ、それを実行しました。世界中が被災した人間の命を助けるため力を貸してくれたのです。(中略)
 これからの十年間の日本、および世界は、平和の構築に向けて、さまざまな点で目まぐるしく変化していくことでしょう。
 私は、どうしても、110歳までは生きて、それを私自身の目で見たいと思っているのです。
            2011年7月25日 聖路加国際病院 理事長室にて
                           日野原重明

「いのちを育む」(日野原重明著)より

3.蒼穹に理想の円を描く

あの日から11年経った今日、改めて、日野原先生の「いのちを育む」を読み直しました。各所に付箋をつけており、感じ入って読み進んだことが思い出されます。今日は、この11年、自分はどう生きて来たのか、と自問しながら、読み進みました。

同著の「はじめに」「おわりに」記されたように、日野原先生が望まれたようには、世界は動いていないように思われます。
しかし、「世の中のせい」「他人事」とせずに、『自分事』として考える中にこそ、小さなヒントが見つけられるのではないでしょうか?

蒼穹に理想の大きな円を描き、その円の弧の一つになりましょう。
この言葉の出典は、ロバート・ブラウニングの詩、とされています。
日野原先生が創設された「新老人の会」のFacebookページにもこの言葉がありますが、受け継いだいのちのバトンを、次の世代に託す。1人では『円』は完結できなくても、『弧』として生き、次の世代にバトンを渡すことができるー「いのちを育む」の中の日野原先生のメッセージ「いのちの使い方」「いのちはめぐる」を、改めて自分に問い、小さな存在ながら歩みを進めて行こうと自分に告げた1日でした。

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