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#49 利他の心

1.「面人類」「線人類」「点人類」

2000年前後だったと記憶しますが、「面人類」「線人類」「線人類」の分類が面白いと思い、良く話題にしていました。私自身は、「面人類」に属する世代です。電話を使う(線人類)のではなく、電子メールを多用する世代を「点人類」と理解していましたが、誤解でした。

今から30年以上前(1990年頃)、原島博先生(現東大名誉教授)が、このネーミング(造語)によって世代分類されたもので、私は「点人類」を間違って理解していました。昨年10月から、原島先生の「土曜朝つぶやき塾」に参加させていただいており、つい最近、誤解に気づきました。
ネーミングの本家本元である原島先生のコラムで、正しい(もともとの)定義をご確認下さい。

2.サラリーマン川柳全国ベスト10発表:半分が「マスク」がらみ

先日、毎年恒例の第一生命サラリーマン川柳(第35回)の全国ベスト10が発表されました。それほど、熱心にフォローしているわけではありませんが、以前「サラリーマン川柳」を持って、オフィスに保険の勧誘に来ていたやり手の外務員の方を思い出しました。

ベスト10の内の5作品が「マスク」がらみでした。作品に苦笑しつつ、「あるある」と共感する一方、少し考えるところがありました。「今、なぜマスクをしているのだろうか…」と。

第35回サラリーマン川柳ベスト10より「マスク」5作品

3.いま、自問自答する:何故マスクをするのか?

5月20日(金)政府は、「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント  を発表しました。

今後、熱中症リスクが高まる中、一定の基準のもとに、マスクを外すことを推奨する内容です。しかし、政府の発表後も、この条件を十分に満たすにも関わらず、公園のウオーキングでもマスクを外す人は、ごく少数でした。私自身が外して歩いていると、微妙な視線が感じられます。

いわゆる「マスク論争」に関し、朝日新聞で、インフルエンサーからいくつかの投稿が見られました。
【大竹文雄大阪大学特任教授(行動経済学)】
・飲食店内で外し、屋外で着けるマスクの矛盾 可視化された同調圧力
・無意味なのに着けるのは「社会規範」となった行動を続けてしまう典型
・互いに表情が読み取れず、社会の匿名化が進んでしまう。
・「感染対策としてマスクをする」という基本に戻ること。「これは何のための対策だろう」と一人一人が考えることが大切(以上5月20日付)

【鴻上尚史さん(作家・演出家)】
・「とりあえず着ける」という思考停止
・コロナ禍を通じて「知らない人とうっとうしい世間」を遮断できるツールとしてその便利さ(快適さ)を知った日本人がすぐに手放せるのかどうか(5月21日付)

「サラリーマン川柳」(マスク編)は、期せずして、大竹さん/鴻上さんの意見を、現象面/心理面で裏付ける格好になりました。

4.利他の心

5月29日(日)の読売新聞「言論」欄(「あすへの考」)の全面に、批評家、随筆家の若松英輔さんのインタビュー記事が掲載されていました。
読売新聞公式Twitterページ

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000478.000018219.html

大竹教授は、コロナ対策で政府の専門家会議に参加し、行動経済学の観点から提言しています。「行動変容を促すのは、利他的なメッセージである

読売新聞には、若松さんのメッセージが、見出しに表記されています。
【利他の精神で生きる】
・温かい言葉 かけてみませんか
・他者なくして存在しえない自分。鍵は「つながり」と「弱さ」
・一日のある瞬間、日常的な実践から。素朴だが大きな救いに

はじめての利他学」は、入門書としての体裁をとっていますが、内容は深いです。「利他」という言葉を初めて使ったのは、真言宗の開祖である空海。「3密(密閉・密集・密接)」の本来の意味である『三密』の教えも空海でした。昨年8月のnoteにもそのことを書きました。

同調圧力を静かに横に置き、マスクを外して、「温かい言葉 かけてみませんか」(若松さん)
1200年前から生き続ける天才空海の教え、本当の「三密」と「利他」の実践が、人の行動変容に繋がることを願います。

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