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#67 史上最多:米雇用統計連続129回

1.11月6日、米国も冬時間に移行

 本日は10月最終日。欧州(10月30日)に1週間遅れて、アメリカも11月6日、冬時間に移行します。11月4日(金)の米雇用統計は夏時間(日本時間9:30PM)に発表される最後の雇用統計となります。
 私は17年間、金融市場のディーラーでした。為替・外国証券・為替先物と経験し、最後の10年9か月を「マネーディーラー」として過ごしました。欧米の金利変動を捉えて収益を上げるのがミッションです。 
 ロンドンから帰任して東京での10年9か月(1989年11月~2000年7月)、毎月第1金曜日に発表される米国の「雇用統計」を、夏時間は9:30PM、冬時間は10:30PMに待ち構え、指標発表後、激しい相場変動の世界で格闘していました。
 100回を超えたあたりから、市場のディーラーの間でも話題になり始め、108回(煩悩?)、120回と回を重ね、引退時には連続129回を数えました。
 当時、マネーディーラーとして私のカウンターだったMさん(のちに合併行でご一緒しました。)にも、笑いながら「この記録は2度と破られることのない、ダントツの史上最多記録ですよ」と言われました。
 金融庁による上限ガイドラインが定められてからは、私のような存在はいなくなりました。決して「名誉な」記録ではありませんが、それだけ長くやった、ということです。
 先週から、日銀(10/27-28)、欧州中央銀行(10/27)、米国FOMC(11/1-2)と主要国の政策決定会合が続きます。欧州中央銀行の0.75%の利上げに続き、米国FOMCでも0.75%の利上げが見込まれる中、日銀は異次元金融緩和の継続を決定しました。  
 世界が金利上げモードに転じる中、唯一日本だけが異次元緩和、マイナス金利を続けていることに、違和感を禁じ得ませんが、別の機会でこのテーマについてnoteに書いてみたいと考えています。

1984年1月 都銀ディーリングルームの風景

 写真は1984年1月の銀行のディーリングルーム風景です。後方の壁に「燃える情熱 あふれる創意 拓こう飛躍の半世紀」とスローガンを記した垂れ幕が見えます。
 1984年は、外為法改正(実需原則の撤廃)を受けて、銀行がディーリング業務を急拡大した年でもありました。私も、がむしゃらにやっていた若き頃です。1980年代前半、日本の企業は、燃える熱いスピリットががあったように思います。

2.10月に経験した思いがけない出来事

"Once a dealer,Always a dealer"の格言の通り、私も「生涯ディーラー」と思っていましたが、突然、市場事務部門に異動になり、1年以上、悶々とした日々を過ごしました。
 そんなある日、「キャリアコンサルタント」の存在を知り、資格を取得したのが20年前。人材業界で仕事をするようになって14年になります。その時の経緯については、以前note#3にも書きました。

 今は、フリーのキャリアコンサルタントとして、企業向けセミナー講師、キャリア相談、自分史活用アドバイザーとして仕事をしています。
 企業向けセミナーであれば、参加者の年代等、対象層のイメージが想定できる中で講座の内容も準備ができますが、市民向け公開セミナーとなると、当日会場に行くまで、受講者のイメージがわかりません。
 9月に出講した練馬区の公開講座もそうでした。「人生後半戦を輝くものに!新しいキャリアの作り方」というテーマで、50代の方をイメージして準備していましたが、実際の参加者は、60代・70代の方が多く、当日は、モードを切り替えて対応しました。
 10月11日(火)の朝9時過ぎ、突然見慣れない番号で私の携帯が鳴って出てみると、私が所属するNPO(東京都中推協)の会員のIさんからでした。
Iさんは、私のホームページで連絡先を見つけて電話して来られたのでした。
 「本日午後2時から予定していた文京区の講座の講師が急遽出られなくなくなったため、講師をやってもらえないか?」とのお話。「練馬区の公開講座」と同じテーマで良いとのことでしたが、参加者(約40名)の平均年齢は80歳とのこと。
 急遽、前月の焼き直しではなく、高齢を生きることをテーマにお話させていただくことにしました。
 前月の練馬区の出講経験を踏まえて、高齢者向けに資料作成をしていたことも奏功し、何とか2時間の講座を務めることができました。
 「思いがけない出来事にも柔軟に対応することの大切さ」ーどこかで日野原重明さんがおっしゃっていました。こんなことかな、と思った次第です。私にとっても、「今日の今日」の出講は初めての経験でした。これもま楽しからずや!

3.「ジェネラティビティ」という考え方

 セミナーやキャリア相談など、ミドル・シニアの方をメインにキャリア支援に携わって来ましたが、最近、若年層の方の面談や、70-80代の方との関わりも増えてきました。
 そんな中で、改めて、エリク・H・エリクソンの「心理社会的発達理論」ー人生の発達段階を8つに分け、人間は、心理社会的危機を乗り越えることで「力(vitire)」を獲得できるーに大いに納得しています。 

  「壮年期(第7段階)」のgeneratibityは、エリクソンの造語ですが、「世代性、世代を超える、次世代育成力」とも訳されます。自分の生きて来た意味を、次の世代に伝えて行きたい、次世代を育成していきたいという思いは、本源的な人間の欲求だと思います。
 そうして、壮年期を乗り越えた後に迎える最後の「老年期」は、これまでの”良いこと・悪いこと・嬉しかったこと・悲しかったこと・苦しかったこと”、全てを「統合」して、心理社会的危機を乗り越えることで、人生に感謝できる「賢さ」(wisdom)という力を得る、これがエリクソンンの「心理社会的発達理論」です。
 今月の文京区の講座終了後に、話しかけて来られた80代後半と思われる老婦人の言葉にも、老年期に「自己統合」できた方の心の豊かさと人間的な魅力を感じ、改めて、世代を超えていくことの意味に思いを致しました。





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