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あの人はカネがあるらしいという噂

「あの人はカネがあるらしい」という噂話の話について、もう少し述べます。
如何なる噂話も、重要性と曖昧性の掛け算です。

重要性×曖昧性=流言

噂話=流言ですので、社会学上の計算式が成り立つことになります。

あの人はカネがあるらしい

「あの人はカネがあるらしい」という変な噂は、よくある話だと思います。
一言で流言だとわかりますね。

「あの人」という、知名度がある人に対する噂。
知名度がある=重要性が高い、です。

「らしい」という、曖昧な時に用いられる語彙。
らしい=曖昧である、です。

これは、「あの人はカネが儲かっているらしい」だとか、「あの人は実は金持ちらしい」だとか、派生形でも同様です。

あの人はカネがないらしい

逆でもそうです。「カネがない」でも。

「あの人はカネがないらしい」でも、社会学上の計算式は当てはまります。

「あの人」という重要性の高さ。
「らしい」という曖昧性の高さ。
両方を満たしているから、噂になり得ます。

しかしながら、です。
カネがないらしい、って噂話としては、あんまりないんですよ。

何故でしょうか。

二種類のバイアス

数ある理由のうちの一つとして考えられるのは、二種類のバイアス(偏り)が機能するからです。

一つは、正常性バイアス(恒常性バイアス)。
もう一つは、無意識のバイアス。

あの人は普通に生きているし、カネがないなんてことは無いだろう、というのが正常性バイアス。

あの人は普通に生きているし、私たちぐらいにはカネがあるんじゃないのか、というのが無意識のバイアス。

「ひょっとしたら隠れた貧困なのでは」と思える人間なんて、中々いないんです。

偽善・傍観・評論

踏み込んで考えるなら、偽善、傍観、評論です。
本当に噂の対象にカネが無い場合に困るから。

本当に噂の対象にカネが無い場合には、噂をしておきながら、それなのに何もせずにいたのか、という非難の対象になり得ます。

人間は誰しも善人面したいものです。
偽善者でもそうなのです。
偽善者でも非難されたくはないのです。

ゆえに、偽善者が傍観したり評論したりするためには「カネがない」という噂は向いていません。

何故助けなかったか、と他人から非難されたくはないし、自己嫌悪に陥りたくもないからです。

噂話をしたいだけ

偽善者が、貧困への支援はしたくないけれども、噂話だけはしたい時には、どうすれば良いか。

「あの人にはカネがあるらしい」と噂話をして、お茶を濁していれば済むわけです。

もっと言うなら「カネがある人が助ければ良い」と放り投げさえ出来る。

偽善者、傍観者、評論家で居続けるのには都合が良いのです。

もし仮に、「カネがあるらしい」と噂される人にカネがあっても、助けずに済みますからね。

そのカネを共助に使えばいい、とでも言い始めるのにも都合の良いことでしょう。

ただ、私から強く言いたいことがあります。

人様のカネの有無を噂して、何になりましたか。
曖昧性を高いままにして、何かあり得ますか。

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