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余韻【エッセイ】六〇〇字

 『ウエスト・サイド物語』の旧作は、オープニングも話題だった。口笛が流れ、マンハッタンを鳥瞰する線画から、実景に変わりズーム。口笛が指パッチンに変わり、音が徐々に大きくなり、突然停止。「ジェットソング」で、ダンスが始まる。カッコ良かった。導入部の演出によって、期待が膨らませられる。
 一方、エンディングも重要な役割を担う。しかし最近、エンドロールが、軽んじられる傾向にあるのだろうか。というのは、ネットフリックスを観ていると、「次、なに観まっか?」とばかりに、横帯で他の作品の画像が流れる。もたつくと、途中で終ってしまう。
 コロナ禍で巣ごもりの生活。映画を観る頻度が、それ以前と比べ格段に増した。というか、ビフォーコロナでは、ほとんど観ていなかったのに。むろん、映画館にも行っていなかったわけで、生意気を言えないのだけど、エンドロールが終わるまで観て、作品を鑑賞したことになるとの、こだわりを持っている。
 ぼーっとしているなか主題歌が流れると、感動が蘇ってくる。最近では、イーストウッドの『運び屋』。トビー・キースが、良かった。
 名作ならなおさら、いつまでも座っていたいものだ。ストーリーを反芻している時間が好きだ。ときには、涙が乾くまではそのまま暗闇のなかで、じっとしていたくもあるし。
 因みに冒頭の映画では、ソール・バスの絶妙なデザインが話題になった。リメイクでは、スピルバーグがどう演出するか、楽しみだ。

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