見出し画像

リアル【エッセイ】六〇〇字

 映画は実話ものが好きだ。エンドロールで、「〇〇さんは、その後———」と出る。不幸な人生が待っていたなんてこともあるが、多くは成功していて、さらに感動が増してくる。
 同じ感覚で、NHKのドキュメンタリーをよく観る。時間をかけて取材していることが多く、民放では難しいだろうな、と思わせる。
 昨年、十一月二十二日日曜日の朝。なにげなくNHKを観ていたら、徐々に画面に吸い込まれていく。目撃にっぽん『シングルマザーに夢を』という番組。福井市でバーを営む女性の話。シングルマザーのみを雇用している。当人も三人を育てながら、同じ境遇だ。
 宣言で、二か月休業を余儀なくされてもたくましい。二店のバーと、従業員の子育て支援で、託児所まで作ろうと、奮闘していた。
 番組は、NHK福井放送局制作。六月に地元で流したものを全国向けに再編集したもの。入社三年目の女性ディレクターが担当だった。最初は取材を断られたが、諦めずに、店に通い続けて粘り、ついに、カメラを入れることの了解を得たようだ。ママさん曰く、「ストーカー・ディレクター」。家庭にもカメラが設置され、彼らのリアルな実生活を覗き見する。
 映画なら、主人公のその後が紹介されるが、放送は、ほぼ「近過去」なので、調べてみた。
 彼女のブログの二月六日付記事「シングルマザーの皆さまへの内職の募集です。越前和紙を使ったアートフラワーの製作です」。託児所設営に向けて、着々と計画は進行していた。

※画像は、ママさんが準備中の託児所のイメージ図です。昨日(十六日)も記事が更新され、さらに進展しているようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?