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平和な世の中はどうやったら作れる?

本日2022/8/6は広島に原爆が投下されてから77回目となりましたが、近年にない軍事的緊張の中で迎えた平和記念日となりました。

<中国と台湾>

ペロシ下院議長が2022/8/2に台湾を訪問したことに反発し、中国人民解放軍が台湾海峡などの海上封鎖を念頭に8/4〜8/7で台湾を四方から囲って軍事威嚇、軍事訓練を続けています。2022/8/4には台湾東部沖へ複数ミサイルを発射し、日本のEEZ内に弾道ミサイル5発が落ちました。与那国島からわずか60kmの距離です。中国外務省は2022/8/5、米中両軍幹部の電話協議などの停止など8項目の米国への対抗措置を発表しました。 
 
<ロシアとウクライナ>
 
2022年2月に始まったウクライナとロシアの戦争は長期化の様相を呈しております。東部2州の奪還に動くウクライナと、南部を制圧したいロシアとの激しい戦闘が今も続いています。ロシアのプーチン大統領は2022/7/31、極超音速ミサイル『ツィルコン』を2ヶ月以内に海軍に配備する考えを示しました。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス事務局長は2022/8/2、ロシアのウクライナ侵攻について『核使用の脅威はいずれ本当の核戦争に繋がってしまう』と警告しました。

<核保有国の増大>

核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が7年ぶりに2022/8/1に開かれました。岸田首相は日本の首相として初めて出席しました。岸田首相は、現下の情勢において核軍縮をめぐる国際社会の分断は一層深まり、「核兵器のない世界」への道のりは更に厳しいものになっている中、NPT体制の維持・強化が国際社会全体にとっての利益である旨指摘し、その共通目的のために各国が協力すべきである旨訴えるとともに、各国と共にNPTの守護者としてNPTをしっかりと守り抜いていくとの決意を表明しました。 
また、「核兵器のない世界」という「理想」と「厳しい安全保障環境」という「現実」を結びつけるための現実的なロードマップの第一歩として、核リスク低減に取り組みつつ、(1)核兵器不使用の継続の重要性の共有、(2)透明性の向上、(3)核兵器数の減少傾向の維持、(4)核兵器の不拡散及び原子力の平和的利用、(5)各国指導者等による被爆地訪問の促進、の5つの行動を基礎とする「ヒロシマ・アクション・プラン」に取り組んでいくべきことを訴えました。

NPTの動きとは逆行し、2022年時点の核保有国は常任理事国のアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアの他に、インド、パキスタン、北朝鮮、イラン、シリア、ミャンマー、イスラエルと拡散している状況です。
北朝鮮も近日中に核実験に動くとの報道があり、弾道ミサイルも2022年に入ってから連発しております。核弾頭を乗せられる弾道ミサイルを実験しております。 
 
<核戦争の記憶は風化>
 
2022年に平和記念公園内に新たに『被爆遺構展示館』がオープンしました。現在の地表から数十CM地下に埋まる被爆当時の民家を発掘したもので、破壊された石材などを直に見られます。 
被爆者健康手帳を持つ人は2022年3月末時点で約12万人弱とピーク時の3割程まで減り、平均年齢も84歳と高齢化が進んでいます。原爆ドームをはじめ広島の被爆建物も爆心地から半径5km以内で残るのは86件だけです。 私も2022年2月に原爆ドームに伺いましたが、やはり現地を見ているかどうかは大きな差があります。
 
<民主主義の後退>
 
国際会議もほとんどの国際会議が形骸化してしまいました。国連しかりG20しかり、ASEAN会議しかり、アメリカ、EUの発言に対し、ロシアと中国が必ず反対に回ることで安全保障理事会を始めほとんどの会議で結論、共同声明が出せなくなってしまいました。またお互いの代表の発言中に離席するという慣行ができてしまったため、話し合いの場すら持てていない状況です。 
 
2022/7/1に香港は返還25年の節目を迎えました。50年の一国二制度が揺らいでいる中での、折り返しとなります。レッセフェール政策の下、自由都市として経済や報道の自由度で高い評価を得てきましたが、ここ最近の中国の締め付けで、報道の自由度は148位、経済自由度は算出を取り止めるとなり、急速に自由都市が消え去りました。
スウェーデンの独立機関V-Demが2022年3月に公表した調査によると、2021年時点で世界人口の7割にあたる約54億人が非民主主義的な体制下にあります。自由民主主義と分類される国は2012年に42カ国ありましたが、2021年には34ヶ国となり人口ベースでみると世界のわずか13%です。
米調査期間エイトデータの集計によると、一帯一路を提唱した2013年から5年間の中国の投融資額は4280億ドルで、 G 7の6000億の約7割を拠出します。 
 
政治参加はどうすれば高まるのか?米ニューヨーク市は、住民が直接自治体の予算編成に関わる参加型予算を組んでいます。1989年にブラジルで始まり、世界の3000超の自治体が導入しています。市議会議員が自身の選挙区で実施するかどうかを決めます。予算は1選挙区あたり100万ドルで、今回初参加となった18選挙区は市内で最多となる36の住民提案が集まりました。学校のIT機器の充実や公園の環境整備といった使い道が固まりました。東京都は2017年度から主にネットで都民が事業を提案する制度を始めました。幅広く提案を募るようにした結果、2021年度の投票数は初年度の3倍になりましたが、まだ15000程度しかありません。
 
<SDGs No16は大きく後退>
 
2022年に入って、世界においてSDGsは大きく後退したと考えております。そのうち目標16『平和と公正をすべての人に』は本当に大きな後退だったと思います。
SDGs No16のターゲット及びKPIで戦争に関連するものは以下となっております。数字は把握しておりませんが、戦争による直接の死亡率の他、ウクライナからの穀物輸出の停滞に伴う飢餓を含めると、この2022年は死亡者が大幅増だと思います。
 
『ターゲット』
16.1   あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。 
16.3   国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
 
『KPI』
16.1.1   10万人当たりの意図的な殺人行為による犠牲者の数(性別、年齢別)
16.1.2  10万人当たりの紛争関連の死者の数(性別、年齢、原因別)
16.1.3   過去12か月において
(a) 身体的暴力、(b) 精神的暴力、(c)性的暴力を受けた人口の割合
16.1.4   自身の居住区地域を一人で歩いても安全と感じる人口の割合
16.3.1   過去12か月間に暴力を受け、所管官庁又はその他の公的に承認された紛争解決機構に対して、被害を届け出た者の割合
16.4.2 国際的な要件に従い、所管当局によって、発見/押収された武器で、その違法な起源又は流れが追跡/立証されているものの割合
 
このままではロシア、中国、イランを枢軸とする国々と欧米との間での第3次世界対戦が勃発する可能性すらあります。私も戦後生まれのため戦争は体験したことがありません。ただ絶対に避けなければならないことはわかっています。日本が戦後から復興しここまでの経済大国になれたことは、間違いなく戦争をしなかったからです。軍事費にお金をかけずに経済にお金を集中させることによって、ここまでの発展を遂げてきました。逆に言えば戦争すれば間違いなく国は貧しくなり、人々の生活は厳しいものとなり、隣人が死を迎えることになります。
 
<平和な世の中はどうやったら作れる?>
 
漫画キングダムに見るように人類の歴史は戦争の歴史です。ほとんどの場面で戦争が起こっています。人間の競争本能によるものと言えるでしょう。
それでも世界中のほとんどの人が戦争を望んでいません。一部の独裁者や権利を確保したい人間が戦争を起こしています。日々自分の時間や財産を費やして世界平和に貢献している方々もいらっしゃいます。
平和な世の中はどうやったら作れるのでしょう?有史以来人類が悩み続けている最大最難関のテーマではありますが、今戦争が目の前に差し迫った状況で一人一人が真剣に考えるべきテーマだと思っております。来年2023/8/6を迎えた頃に、少しでも世界に平和が広がっていることを信じております。 
 


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