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桃栗3年人100年

<日本は未曾有の人手不足に>
 
パーソル総合研究所がまとめた『労働市場の未来推計』によると、日本全体の人手不足は2030年に640万人を上回る見通しです。製造業は38万人、医療福祉は187万人、サービス業は400万人足りません。コロナ前の人手不足が約140万人だったので、わずか10年余りで5倍近くになります。OECDの調査によると金融など日本で自動化される可能性が高い仕事に就く労働者の割合は7%、パーソルは自動化が進めば、2030年までに300万人の人材を捻出すると分析しています。 
 
厚労省は2022年度版の厚生労働白書に、医師や看護師、薬剤師などが職種を越えて仕事を分担する『タスクシェア』や医師の仕事の一部を看護師らに任せる『タスクシフト』を明記します。2040年に必要な医療・福祉の就業者数は1070万人に対し、医師などの担い手は974万人にとどまり、約100万人が不足します。少子高齢化に伴う人手不足を前に、一部の仕事を分担して医療の効率性を高めます。 
ポイントの一つが医師の負担を減らすことです。白書では看護師や薬剤師などが医師の負担を軽減する計画を策定し医師からの業務移管を進める案や、医師や歯科医師から別の医療系の職種へ仕事を移す案も打ち出します。仕事の見直しで医師が医師にしかできない業務に集中できれば医療の質が上がります。 
 
ソニーやキリンといった日本の主要企業が、社内のリスキリングで連携する協議会を2022年8月に設置します。経産省と金融庁が支援し、社長の参加を目指します。社員が相互に兼業・副業する仕組みを設けたり、共同で学び直しの場を提供したりすることを検討し、人への投資の拡大につなぎます。 
 
<人手不足の解決策>
 
人手不足の解決策は四つしかありません。働く女性を増やす、働く高齢者を増やす、日本で働く外国人を増やす、生産性を上げるだけです。PPP(パクってパクってパクリまくる)の精神から、パクれる国を探したいと思います。
 
<働く女性、高齢者を増やす。PPPはスウェーデン>
 
スウェーデンは90年かけて社会保障の先進国となりました。1934年に人口減に警鐘を鳴らし、1938年までに17の報告書を作り、女性や子育て世帯の支援法が相次ぎ成立しました。1974年には世界で初めて男性も参加できる育休中の所得補償『両親保険』が誕生しました。妊娠手当、子ども手当、就学手当などの支援は手厚く、大学までの授業料や出産費も無料です。育児給付金は育休前の収入の原則8割弱もらえます。女性の就業率は高く、現政権の閣僚も半数は女性です。家族支援のための社会支出はGDP比で3.4%と、日本の1.7%の約2倍です。少子化対策は未来への投資です。特に若い層向けの福祉政策を人的資本の投資と捉え、生産性を高める経済政策と兼ねます。 
 
<生産性を上げる。PPPはシンガポール>
 
2014年に始まったシンガポールの『スキルズFuture運動』は、いわば全国民のリスキリング計画です。25歳以上の男女に技能習得のための学習費用を支援し、対象のコースはデジタル技術から経営管理まで24000以上です。2021年に支援を受けたのは約66万人で、外国人を除く生産年齢人口の1/4にあたります。人の潜在能力は教育と訓練で最大化することができます。シンガポールの1人当たり労働生産性は2020年時点で約17万ドルと、2015年以降の年平均で見ると増加率は3%です。 
 
日本で働く外国人を増やす選択肢は結構難しいです。なぜならこの30年間日本は賃金が上がっていません。そのため賃金格差が東南アジアと縮まっており、日本よりも賃金が高い国が多く出てきています。賃金が高くなければ基本的には外国人にとって魅力のある資料ではないため外国人は増えないと思います。
 
<現実的には>
 
日本の現状を考えた場合、働き手として期待されているのが女性と高齢者です。ただしスウェーデンの例にあるように本当に女性や高齢者が働きやすい環境を整えるには90年かかります。同じ年数がかかったとしたら、今から行っても2110年です笑。
 
私見として、まずはシンガポールを見習って人への投資を行い生産性を上げます。その上で賃金を上げることにより日本で働く外国人を増やす。その間に働く女性、高齢者に優しい環境を整えていくという複数の政策を組み合わせる必要があるかと思います。短期的には生産性向上、外国人労働者の増加、中長期的には女性高齢者の環境づくりというのが現実解ではないでしょうか。
 
まずは第一歩 として生産性向上をする必要があります。リスキリングは別のコラムでも記載しておりますが、やはり今やるべきことは生産性向上であると確信しております。一人一人の努力が必要です。私も日々いかに生産性を向上させるかを検討しております。ぜひ皆様もチャレンジしましょう!


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