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(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書42 ユニバーサルデザイン(UD)とユーザーエクスペリエンス(UX)の違い

ユニバーサルデザイン(UD)とユーザーエクスペリエンス(UX)の違い

現代のデザインにおいて、製品やサービスを提供する際に、ユーザーのニーズや期待を超える体験を提供することは不可欠です。この文脈で、ユニバーサルデザイン(UD)とユーザーエクスペリエンス(UX)という2つの重要な概念が浮かび上がります。これらは異なるアプローチを持っていますが、両方ともデザインの重要な側面を担っています。

●ユニバーサルデザイン(UD)の理念

UDは「わかりにくい」「使いにくい」という問題点を解決することに焦点を当てています。具体的には、すべての人々が平等に利用できるようにデザインする考え方です。例えば、障がいのある人だけでなく、高齢者や子供、異なる文化や言語の背景を持つ人々まで、幅広いユーザー層に対応するデザインを意味します。この考え方の中心には、「➖を0にする」という活動があります。つまり、デザインにおける障壁や制約を排除し、誰もが等しくアクセスできるようにすることを目指しています。

●ユーザーエクスペリエンス(UX)の目的

一方、UXは「うれしい」「楽しい」という体験を生み出すことに重きを置いています。ユーザーエクスペリエンスは製品やサービスの使用過程全体におけるユーザーの感じる体験や感情を指します。このアプローチの中心には、「0を➕にする」という活動があります。すなわち、単に機能的に使えるだけでなく、ユーザーが満足感や喜びを感じるようなデザインを追求することを目的としています。

●UDとUXの相互関係

「➖は0にしたい」、そして「0は➕にしたい」という考え方を持つUDとUXは、一見すると対立するかのように感じられるかもしれません。しかし、実際にはこれらは相補的な関係にあります。ユニバーサルデザインが提供するアクセス可能性の基盤の上に、優れたユーザーエクスペリエンスを築くことができるのです。

例えば、障がい者向けの施設の入口に傾斜路を設置することは、ユニバーサルデザインの考え方に基づくものです。しかし、その傾斜路の素材やデザイン、照明などが心地よく、訪問者がその場所にいることを楽しむ要素を加えると、それはユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与します。

最終的に、UDとUXは「どちらが優れているか」という比較の対象ではなく、「どちらも必要」という考え方が求められます。両方のデザイン原則を組み合わせることで、より多くの人々にとって使いやすく、そして喜びを感じる製品やサービスを提供することが可能となるのです。

m.m

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