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TOEICが役に立つのは、500点から860点の範囲にいる人だよ、という話

TOEICを受けるメリット

僕は、TOEICはインプットの力(読む・聞く)をかなり正確に測れる、いいテストだと思っています。

結果を元に自分の弱点を把握し、それを克服する、というアプローチで、インプットの力を効率的に高めることもできる、

その意味では英語を習得する上で、頼りになる「手すり」だとも。

何より大きいのは、英語学習ではなかなか見えない上達が、数字という目に見える形でわかる

英語学習の一番難しいのは、上達の実感がなかなか得られないということ。

それはどうしても自由に使える日本語、あるいはネイティブの英語を基準に考えてしまうため。

このためにできないところにばかり目が行って、小さな進歩に気づけないんですね。でもTOEICはその目に見えにくい進歩を、数字というこれ以上なくわかりやすい形で示してくれる、

これによってモチベーションを保つこと、継続することも可能になる

その意味で、英語学習者にとってこの上なくありがたい「ツール」だとも言えます。

TOEICで問われる力

自分自身もTOEICがあったおかげで、英語が「使える」への扉を開くことができました。

それはすなわちあの大量のリーディング問題を時間内に終わらせることが、会話という色んな作業を並行してこなさなくてはならない、忙しい場面で対応できるようになるために必要なんだと

つまりTOEICで問われているのは「情報処理力」で、その正確さとスピードが会話に対応できるレベルにあるかどうかを測っている。

その情報処理力を高めることが、会話に対応できるところにつながっている、それまでの自分に足りていなかったのはこれだ、ということに気づき

学校の英語で培った「じっくり時間をかければわかる」というところから脱却することの必要性を知り

それになんとか対応できるようもがいた

すなわち「理解のスピード」を極限まで上げることに取り組んだ

これがそこまでやってきた「英語の音への対応力」を高めるトレーニング(ディクテーション+音読+シャドーイング)とあいまって、

「英語が聞き取れる」への道を開くことができたわけです。

だから自分にとってTOEICは恩人とも言える存在なのです。それまで誰も教えてくれなかった、どうやったら英語が「使える」ようになるのか、について少なくともリスニングに関してはその行き方を教えてくれたのですから。

TOEICが効く人は限られている

ただし気をつけなくてはならないのは、TOEICを使って上達できる人というのは限られているということ。

その人の英語力が高すぎる場合、あるいは逆に逆に低すぎる場合は、TOEICに取り組むことは逆効果であったり、目標に対して遠回りをすることにもなりかねません。

具体的に言うと、TOEICが役立つのは500点から860点ぐらいだと思います。このレンジの中にいる人にとっては、TOEICはインプットの力を高める上で、これ以上ない教材・上達の指標となるはず。

でもそこを超えている方(860点以上)は、もうTOEICにゴリゴリというのは卒業しましょう。

TOEICの問題に対応できるようになることは、手加減なしの英語を楽しむための、いわば準備段階です。860あれば、その準備が十分にできたといえる、だからそこからはもう荒波に漕ぎ出すこと。

そこからが本当の海です。いつまでもプールの中でチャプチャプしててはそこで対応できません。

その準備ができたならTOEICの問題にこだわるのは卒業して、インプットに関してはTOEICのレベルを超えたもの、すなわちネイティブに向けられた生の英語を使ってトレーニングを積むべき。

そうやってネイティブ向けの本物の英語で負荷をかけて鍛えておき、年に一度ぐらいのペースで、健康診断的な意味合いで自分の進歩を確認する。

もちろん直前に数問解いてみて、形式に慣れる、ということは必要でしょうが、普段からTOEICのレベルを超えた「手加減なしの英語」を使って鍛えれば、自然にスコアは上がっていきます。

何よりそっちの方が遥かに楽しいですしね。

自分のケースでは

実際に自分の取り組みを振り返っても、やり直して最初の三ヶ月もそうですが、TOEICに向けた勉強ってほとんどしてないんですね。

だって最初はいきなり映画を使いましたし、その後はラジオ英会話・NHKのビジネス英語、さらにまた映画を数本、 

のように、TOEICを超えたレベルのものに対応しようともがくうちに、TOEICのスコアも勝手に上がっていったという形です。

※ラジオ英会話は勉強を再開して2ヶ月目に取り組みましたが、一週間分のがひとまとめにされている形なので、TOEICのパート4よりも遥かに長いものを聞き取ることになる、つまりTOEICよりも難易度は高いものでした。

そして言うまでもなく映画は教材として最高難度で、攻略にはめちゃくちゃ苦労しましたが、その修行を終えて、TOEICのリスニングを聞いてみると、以前と違ってしっかり捉えられるようになっていました、

それはまるで、高速道路から一般道に下りてきた時のような感覚。これが本番を超える負荷をかけて鍛えることの効果です。

ですから、リスニングの基礎が付いたらTOEICのレベルを超えた負荷の高いもの(ネイティブ向けのもの)を聞き取る、読むことに挑戦する、それによってインプットの力はさらに鍛えられるということ。

そもそもそうして生の英語に対応できるようになることこそが、英語を学ぶ目的ではないですか?

アウトプットがおろそかに

そして一番強調したいのは、TOEICに向けた勉強をしていたら、スピーキングの力をいつまで経っても高められない、ということです。

自分のケースでは、TOEICで950点にまで達したのに全く話せなかったんですからね。もうメチャクチャ恥ずかしかった。950もあったら当然ペラペラだろうと思われる、でも実態はそこから程遠い、だからずっとスコアを隠して生きていました(笑)。

それはTOEICで必要とされるインプットの力とアウトプットの力は別だからです。

TOEICの勉強をずっと続けていてはアウトプットの力が鍛えられない、だからこそアウトプットを、なるべく早めに始めた方がいい。

そしてスラスラ話せるようになるためには、TOEICで860点を取るまでに必要だった「以上」の時間が必要になります。

だからいつまでもTOEICのスコアにこだわってるのは得策ではなくて、ある程度リスニングの土台ができたら(本当は800点以上からはそうすべきです)、そこからは話せるようになるためのトレーニングを積まなくては。

※下の動画講座では、どうやったらスムーズに話せるようになるか、そして会話に対応できるようになるか、について詳しくお伝えしています。興味がある方はこちらをどうぞ。


twitterでつながっている人が900点を超えているのを見ると、もっと上をもっと上を、と思うでしょうが、それは「底なし沼」です。

本当の目的はなにか。英語が「使える」ようになることですよね?「900スゲー」と人から言われること、が目的ならそれもいいでしょうが。

※ただし英語を教えるという方は別です。英語を教えるからには、生徒のレベルがどうであれ最低でも900は必要(そこを目指すべき)だと思いますし、TOEICを教えるならそれこそ満点を目指す必要があるでしょう(自分がわざわざ990点を取ったのも、TOEICの講座を開くことにしたためです)。

TOEICは正しく努力すれば必ずスコアが上がります。それを教えるならご自身もその「努力する」というところにしっかり向き合うべきです。

準備なしで500点に届かない場合

それともう一つ、準備なしで受けて500点に届かない、という方も注意が必要です。

確かに僕自身も、最初に受けた時は460点でした、

ですが、それは①自分の時は、リスニングが学校のカリキュラムに含まれておらず、リスニング力がゼロだった + ②あの大量のリーディング問題に対する心構えができていなかった + ③英語から離れていた時にぶっつけ本番で受けた、ためです。

今はリスニングの訓練が授業内でも行われているので、それを加味すれば、

もし大学受験まで英語にちゃんと向き合ったなら、準備なし(もちろん事前にテスト形式を知るために模試を受けるのはあり)でも500点は取れるはず。

もう一つの大きな目安は、あのリーディング問題に対して、時間を十分にかけていい、という条件ならしっかり内容を理解して答えが出せるかどうか。

一度時間無制限で、あのリーディング問題を解いてみてください。

大学受験レベルで英語を得意にできていれば、あの問題自体は決して難しいとは感じないはずです(もちろん厳しい時間制限+とんでもない問題量のために難易度は極端に上がるわけですが)。

これがTOEICにいきなり挑戦していいかどうかの分け目になると思うんです。

なぜならTOEICというのは、「大学受験プラスα」のテストだから。

学校での勉強、さらには大学受験(大学受験は「学校での勉強プラスα」です)にしっかり取り組み、受験レベルで英語を得意にできていた方というのは、この大切な「読む」力が高い。

そういう方はいきなりTOEICにチャレンジしても大丈夫です。

その場合は「英語の音への対応力の強化」そして「理解のスピードの強化」に集中的に取り組むことによって、短期間でTOEICを攻略することも可能になります。

これまで沢山の方を見てきましたが、短期間でTOEICを攻略できる、高得点を取ることができるというのは、この元々の読む力が強い方です。

TOEICの前提となる大切な力

そうではなく、いきなり受けて500点が取れないという方は、大学受験までの内容に穴があるということ

具体的にいえば英語を「読む」力が十分でないということ。

この読む力というのは、他の3つのスキル(聞く・話す・書く)の土台になる大切な力。

特に聞き取りの力にはダイレクトに影響します。 日本で教育を受けた人なら、ほぼ例外なく文字で理解する力の方が強いはず。読んでわからないものは聞いてわかるはずがありません。

ですからまずその読む力(英語を理解する力)を、大学受験レベルの長文問題に対応できるだけのところに持っていくことが先決です。

すなわちそれが読めるだけの語彙力を付けること(2000語レベル)、それと文法の総復習。で、そうして読むために必要な武器を揃えた上でたくさん文章を読むこと。

これと合わせて、リスニングの土台を作るための音読トレーニング。

そこまでの基礎の固め方については、こちらの記事でめちゃめちゃ詳しくお伝えしているので、是非参考になさってください


これと合わせて、TOEICへの対応を考えるなら、もう一つやっていただきたいのが英文解釈。

これは「主語はどれか、目的語はどれか」と一つ一つ確認しつつ、「文の構造」を見抜きながら正確に読む(精読)ことを指します。

確かにTOEICの攻略には「理解のスピード」の強化が必要ですが、その前に、まずは「時間をかければ」正確に読める、という力を養うことが必要ですから。

正確に読めないのに、ただスピードを高めようとしてもでたらめに読んで終わりになってしまいます。 

そういう分析的な読み方に苦手を抱えてるという自覚がある方は、その勉強を一度はしっかりやった方がいいです。

そうじゃないと、単語の意味だけ取ってそれをつなげてなんとなくわかったような気になる、という浅い理解で終わってしまいます。


以上をしっかりこなしたら、準備なしでもTOEICで500点が取れるようになります。そうなったら、そこからはTOEICの問題に対応できるところを目指すことで上達することが可能になります。

そこまでモチベーションを維持するのが難しい場合は、英検を利用するといいです。英検の場合はTOEICと違って、級ごとに使われる文の難易度が違いますからね。

簡単なものから少しずつステップアップができる、これによって自分の進歩も実感できますし、そうやってテストの日が決まることで「あの電柱までは」という目に見える目標ができるので、それが継続を助けてくれるはず。

ここまでよろしいでしょうか。

TOEICは英語学習者にとってありがたいテスト、でもそれは全ての方に当てはまるわけではない、というお話でした。特に500点に達してない人に伝わってほしい!

500点台には乗ったけれど、そこからなかなか伸びない(特にリーディングのスコアが低い)、という場合も今回の内容は参考になると思います。

そして860を超えている方、大海原に漕ぎ出しましょう!


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