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サッカー川島永嗣選手が7カ国語を操れる理由

――一番得意なのは何語なんですか?

川島:一番は英語じゃないですかね。それと、今はフランス生活が長いのでフランス語も。続いてイタリア語、スペイン語、ポルトガル語、オランダ語はちょっとした会話ならばできる程度です。

――最初に語学を勉強し始めたのはいつ頃ですか?

川島:自分で勉強し始めたのはプロに入ってからです。それこそ(高校を卒業し、大宮アルディージャへ入団した後)、18歳の時にイタリア留学した後くらいからですね。


野球選手はメジャーでプレーしても英語が使えるようになる人は少ないですが、サッカー選手はこの川島選手を筆頭に、外国語が話せるという人が結構います。

もちろんこれは、サッカー選手の方が野球選手より頭がいいということではなく(言語の習得に頭の善し悪しは関係ありません)、競技の性質の違いが大きい。

野球はいちいちプレーが中断しますから、そこで通訳を使えますが(投手の場合)、サッカーは試合中に通訳を使えません。

それとチームに馴染めないと、他の選手がなかなかボールを回してくれないこともあると言います(野球は言葉を学ばなくたって「ボールが回ってこない」という状況がありません。)

ですから自分にボールが回ってくる状況を作るためにも、チームメイトとの意思疎通のために言葉を学ぶ必要性がある。

単にこの「必要性」があるか・ないかという違い。 

日本人が英語が苦手なのは、そもそも「どうしても英語を習得しなくてはならない」という必要性に追われていないからだ、というお話をしたことがあります。まさに野球選手状態。

そして必要に迫られて、いざ「学ぼう」となったら、その言葉に普段から囲まれていて、常に使うシーンを具体的にイメージしながら勉強ができる、使うチャンスも溢れている。

以前こういう記事を書きましたが

その意味では、言語習得においてとても恵まれた環境の中で学べる、だから(やろうという気にさえなれば)上達も早いんですね。

以上の「環境」面の有利さに加えて、そもそもスポーツ選手は言語習得の素養が高いと僕は思います。


というのは、これまでにどうやったら効率的にスキルを上達させられるか、について沢山書いてきましたが

この中でご紹介した、スキルの上達を早める「深い練習」

1 背伸びと繰り返し
(自分の限界を越えようとする + 反復)

2 意識の集中
(対象に100%集中する)

3 明確な目的意識
(数字などで改善できるものを目的に取り組む)

4 強力で迅速なフィードバック
(正しくできているかチェック→改善)

これってスポーツのスキルを高めるプロセスとまるっきり重なるからです。

プロになるような選手は、こういう取り組みを通して、自分のスキルをとてつもなく高いレベルにまで高めた実績があるわけですから。

それを外国語の習得にもそのまま活かせる。

ここは大切なところです。


英語には、文法事項を理解するなどの、いわゆる勉強の面と、その理解したことを自分で使えるようにする、スポーツに近い面があります。

この最初の「理解する」というところは、「勉強」ができる人が得意なところ。というのは、理解をするためには、前提となる知識が必要になるからです。

新しい事がらを学ぶというのは、言ってみれば自分の頭の中の網で、その知識をからめとるような作業 

知識が多い人は、その網目が細かい → 新しい知識が引っかかりやすい 

知識が少ない人は、網の目が粗い →  知識が引っかからずすりぬけてしまう 

ですからちゃんと勉強を積み重ねてきている人ほど、新しい知識を理解して、ものにするのも得意であると。


ところがその後の「使えるようにする」段階は、完全にスポーツの上達と重なります。

すなわち、同じ動作を反復することで、正しいフォームを身に着け、それを必要な時にいつでも再現できるようにする、その動作をより正確に、よりスピーディーに行えるようにするなど。

そこではいわゆる1000本ノック的な取り組みが必要となります。

自分は学生時代、しっかり英語を勉強したつもりでしたが、それでも会話で「使う」ことができなかった。

それは今から考えると、勉強で終わっていて、このスポーツ的な取り組みをしていなかったからだと、やり直してみて気づきました。

受験までは勉強でなんとかなるんです。でも「使える」ようになるためには、このスポーツ的な取り組みが必要で、多くの日本人に足りていないのはここ。

英語をやり直して最初の3ヶ月で僕がやっていたトレーニングは、勉強というより、ほとんどスポーツのそれです。シンクロ読みなんてまさにそう。

ネイティブの手本(正しいフォーム)に重ねようと、一つのセリフを何十回読んで(反復)スムーズさを獲得する、

録音してどうずれているか確認(フィードバック)し、そのズレを少しでも直そうと取り組む(フォームの矯正)などなど

背伸びして、集中して、反復して....

まるで「1000本ノック」のような取り組み


東大生でも英語が話せない方が多い、というのは勉強はしっかりしているけれど、スポーツ面の必要性に気づいておらず、ここが鍛えられていないから

逆の例として、以前カナダで会った日本人女性は、本当に流暢に英語を話せましたが、彼女の話す英語はおそらく中1〜2で習うぐらいの簡単な語彙・文法で構成されていました。

話を伺ったところ、学校での英語は苦手だったそうです。大学受験もしていない。ですから知識としては東大生のそれには遠く及ばない、でもその限られた知識を「使える」レベルにまで高めている、だから会話ができる。

→すなわち学校の英語が苦手だった、という人であっても、こういう取り組みをすれば英語は「使える」ようになる、ということ。


このように、言葉が使えるようになるには、「学ぶ」こと、それを「使えるようにする」こと、この両方が必要なんだ、ということ

確かに本などを読んで理解・納得することは大切。でもそれで満足しちゃダメなんです。

その後に、その知識を「血肉化」させる、つまり自分で使えるようにするための作業をしなくては。

英語が使える人とそうでない人を分けるのはここです。使えるようになった人は、その血肉化させるところに時間を割いた人です。初級者は「わかった」だけで終わる。


例えば「この本の説明わかりやすい!感動!学生時代こんな先生に習いたかった」

で終わっていませんか?

でも多くの方にとってこれこそが、昔から馴染みの深い勉強のスタイルだと思うんです。理解が目標。全部理解できたら終わり。

そうじゃなくて、その後に、その学んだことを、自分でできるようにするフェーズが必要で

そこではゴリゴリ反復すること、背伸びすること、量を積むこと

例えば仮定法について学んだら、そこに掲載されている例文を自分で使えるようにすべく、そらでスラスラ言えるようになるまで繰り返すことで、

それが必要な時に一瞬で出せるようにまでするとか

こういうことやっていますか?

ここをやらないから、「使えない」わけです。みんなが「知っている」で止まっている。

テストではそのレベルでもなんとかなったけれど、実際の会話では、「あ、これ知ってる、えーと、なんだっけな?」というレベルの知識は使い物になりません。

自信を持って使える、しかも必要だと思った瞬間にそれを引っ張り出せる

=必要な技を必要な時に瞬時に繰り出せる

というレベルにまで高めなくては。


僕がTOEICがいいテストだと思うのは、あれに対応しようと思うと、

1000本ノック的な、いわゆるスポーツ的な取り組みをせざるを得なくなるからです。

だってあのリーディング問題自体がすでに「1000本ノック」に近いですよね。

あの無茶な量のリーディング問題を厳しい時間制限内にこなさなくてはならない。腰を据えてじっくり読むことはできず、素早く判断しなくてはならない。

しかも終わりが見えない中、もう最後はフラフラになりながら、意識がかすむような状態でノックを受け続ける

あのアライバコンビを作り上げた落合の無限ノックのような(知らない方は「井端 落合 ノック」でググってください)

あの問題量に対応できるようになろうと思ったら、あれぐらいで脳がスタミナ切れしないように読む量を増やさなくちゃいけないですし

なにより英文の意味をすばやく取れるようになるまで力を高める必要が。

そしてスピードを獲得するために必要なのもやはり「量」です。「文字を見ながらその意味を取っていく」という作業をどれだけ積んだかが力に現れるのですから。

そうなると「リーディング1000本ノック」的な取り組みが必要に。


リスニングにしたって、分解すれば

音を聞きながら、それがどんな単語から構成されているかを把握して、その単語の意味を記憶から引っ張り出して、さらにはかたまり単位・文単位で意味を取って

というとても複雑な作業。こういうことを一瞬でやる、それを連続的にこなしていく 

これってまさにスポーツに近いと思いませんか?

あのテストに対応しようと思ったら、すべての作業に必要な処理のスピードを極限まで高めなくてはならなくて、

そのためには背伸び・反復という、スポーツの上達と重なる取り組みをすることになる、これによって「使える」に近づけていけるわけです。

ただしTOEICで鍛えられるのは、インプットの力だけですから、

アウトプット(特に「話す」)は別にやる必要があります。こちらもやはり1000本ノック的な取り組みが。

あなたの取り組み、勉強で終わっていませんか?


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