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挑戦を始めるのに遅すぎるということはない、という話

前回の記事

に引き続き、今回も「才能を伸ばすシンプルな本」

の中から、スキルの上達に関して大切なお話を。

脳を鍛えるとは

前回見たように、練習をすることによって脳が鍛えられる、これが「スキルが上達する」ということの正体なんでした。

ではここで、「脳を鍛える」とはどういうことなのか、というところをじっくり見ましょう。

新しい動作を覚えることによって、脳の中に新しい神経回路ができます。

それは言ってみれば脳の中に新たに電線を張るようなもの、その動作をするように脳が命令を下すと、そこを電流が走るイメージです。

出来たての電線は電流の流れも遅い → その動作をするのに時間がかかる

小学校の音楽の授業でリコーダー(縦笛)の吹き方を習った時のことを思い出してください。それぞれの音の出し方をまず習いましたよね。

で、一発でそれが身につく、ということはもちろんなく、

最初はいちいち指の動かし方を思い出しながらやるわけですから、当然ですがその動作はたどたどしい。「あ、この音は穴を全部ふさいじゃだめで、半分開けるんだった」、などと引っかかり引っかかりしながらやることになります。

でもずっとそうじゃありません。同じ動作を何度もやる内に動作は少しずつスムーズになっていき、いつしかいちいち意識せずとも、「この音を出したい」と思った瞬間に勝手に体が動くレベルにまで高まったはず。

その動作を「繰り返す」、つまりその新しく作った電線に何度も電流を流すうちに、電流の通りがよくなって伝達のスピードが上がり、動作がスムーズにできるようになるわけです。

これがスキルが上達する、ということ。車の運転なんかも同じですよね。

ということは、動作をスムーズにするためには、何度もその回路に電流を流さなくてはならない、すなわち「その動作を何度も反復する必要がある」というわけですね。

ただし、上達のために「反復」は絶対に必要なのですが、もっと効率的に電流が流れるスピードを速くする方法があって、

それが前回お伝えした、

1 背伸びと繰り返し
2 意識の集中
3 明確な目的意識
4 強力で迅速なフィードバック

という要素を備えた「深い練習」なんだと。

この本の中では、神経の伝達のスピードが上がるその様子を

深い練習をするたびに、脳の神経回路は速くなる。やがてシグナルの速度は分速3キロから300キロに上がる。

脳の神経回路が銅製のワイヤから高速ブロードバンドに変化

と表現しています。

これまでに、英語が使えるようになるには、スキルを「自動化」させる(頭を使わなくとも勝手に体が動くレベル)、あるいはそこに近づけることが必要、と言ってきましたが、

自動化というのは、脳の神経回路が高速ブロードバンドに変化して、これをしようと思った瞬間に体が動くレベルにまで高まったことを指します。

そして当然、やろうとする作業が複雑になればなるほど、よりたくさんの神経回路を作り、それらを電流がスムーズに流せるようにする必要が出てくる、すなわちそれだけ時間もかかるということ。

英語学習が大変なのは、この必要な神経回路の数が、リコーダーの演奏や車の運転などとは比較にならないぐらい多いため。だからそれだけ時間がかかるのです。

深い練習のカギ

深い練習は時間で測定するのではなく、質の高い「背伸び」と「繰り返し」の数で測定される。基本的に、どれだけ多くの新しい神経回路を脳の中につくったかが重要なのだ 

練習の質を上げるために、これはとても大切なところです。

スキルの習得にはその動作の「反復」が必要なのですから、どうしても時間がかかります。でもただ時間をダラダラかければいいというわけではなく、

その時間の中でどれだけ「背伸び」と「繰り返し」をやったか、ここを意識するようにすることで、練習の質は高まるということですね。

今の自分にできないようなこと(背伸び)をしようとすることで、脳の中に新しい神経回路を作り、その動作を繰り返すことで電流の伝達をスムーズにする。

では具体的にどう取り組めばいいかというと

たとえば、「ピアノを20分間練習しよう」と言うのではなく、「新しい曲を集中的に5回繰り返して練習しよう」と自分に言い聞かせるのだ。あるいは、1時間ただ漫然とゴルフボールを打つ計画を立てるのではなく、入念に25回スイングする計画を立てよう。

このように「時間」ではなく、前回お伝えした自分にとっての「スイートスポット」にあるレベルの(簡単すぎず・極端に難しすぎない)ことに集中して取り組む、それを反復する「回数」を目標にしようと。

練習の目的とは

多忙な生活を送っていると、単なる練習を成功とみなしたくなることがある。予定どおり練習時間を終えると「やりとげた」という満足感に浸るのは、そういう気持ちの表れだ。 しかし、ほんとうの目標は「練習すること」ではなく「上達すること」である。

もちろん、その日の分をやった、自分との約束を守れた、という達成感・満足感は「継続」力をつける上ではとても大切ですが

勉強の目的はあくまでも「上達」すること。

そう考えれば、「勉強をやった」という事実だけでは足りなくて、上達ができたか、と自問すること。

すなわち上達につながるような、「背伸び」と「繰り返し」をどれぐらいしたか、ということですよね。

「局所的な」完璧さを目指す

ひとつの効果的な方法は、「局所的な完璧さ」を毎日めざすことである。つまり、ひとつの小さな部分を選び、それを単に改善するのではなく完璧にするのだ。完璧にするというのは、つねに100パーセント正しくできるまでスキルを磨き上げるという意味である。

これも練習の質を高めるための大きなヒントです。

「局所的な」完璧を目指す、いきなり全部は無理でも、ここだけは完璧にしよう、と集中して取り組む。

音読でもこういう取り組みは有効です。

苦手な部分を集中的に繰り返してその部分だけでも完璧にする、

目の前の敵を一人ひとり倒していくイメージ

そうやって自信を持ってこなせる部分を少しずつ広げていく、ことによって上達につなげることができると。

「すぐにめざましい成果をあげようとするのではなく、毎日、小さな成果を積み重ねることが重要だ。それが変化をとげる唯一の方法であり、それができれば上出来

そういうプロセスを経て、毎日出来ることを一つずつ増やしていく、そうすれば着実に成長していくことができますよね。

ミエリンとは?

そして以下は、成長をもたらす「ミエリン」という物質の説明。

ミエリンは絶縁体である。つまり、絶縁テープが電線を包み込むのと同じ理屈で、ミエリンは脳の神経回路を包み込む役割をしている。それによって信号(神経パルス)の伝導速度を速め、漏電を防ぐことができるのだ。

なるほど、神経回路に作られた電線だけだと、途中で漏電が起こったりして、しっかりと脳からの信号を伝えることができない。

でも絶縁テープの役割をするミエリンがあれば漏電を防ぐことができ、これによって信号をより効率よく・そして速く送ることができるんだと。

ミエリンは、練習に費やした時間に比例して成長することが判明した。
繰り返し練習するたびに,脳はミエリンの新しい層を特定の神経回路に追加する。したがって,練習すればするほど,ミエリンが増えて信号の伝達速度が高速かつ正確になり,スキルをどんどん高めることができる。

だから練習が大切なんですね。逆に練習をしなければミエリンは増えないので、せっかく電線を作っても伝達速度は遅いまま。

適切な刺激を神経回路に伝え,神経回路の周囲にミエリンを形成する。その結果,すべてのトレーニングが終わると,最高級の神経回路ができあがる。大きな帯域幅をもつ高速回線だ。これこそが,一流のスポーツ選手とその他大勢を分ける要因である。

練習によってミエリンを増やせば、神経の伝達スピードを高められる。一流のスポーツ選手になれるような人は、そういうプロセスを経て、伝達速度を極限まで高めているんだと。

ミエリンが成長するのは,実際に練習して信号を神経回路に送っているときだけだ。

これが「スキルの上達」の科学的な説明です。

繰り返し練習をすると「ミエリン」という物質の層が神経回路に追加されて、それによって脳からの信号の伝達速度が速く正確になる、

つまり練習することによって神経回路は強化され、動作はスムーズになるということ。

さらに

ミエリンは子ども時代に大量に形成され、学習期に大きな役割を果たす。ミエリンの総量は50歳前後にピークに達するが、ミエリンの形成は高齢になっても継続する。だから、年齢に関係なく、新しいことを学びつづけることができる。

のだそうです。

読んでいて一番感動したのはここ。

「何歳からでも遅すぎることはない」っていうのは単なる気休めではなく、科学的にそう言えるんだと。

このことを伝えたくて、今回の記事を書いたようなものです。


僕は「正しい方法で『きちんと』努力すれば英語は必ず使えるようになる」とずっと思っていて、

でも、この「きちんと」の部分をどうしたらうまく説明できるのか、がわからずにいました。そんな時にこれらの本に出逢って、これだ!と膝を叩いたわけです。

それをあなたにも伝えたくて、こんなに文字数を使って書いてきました。

ここまでにお伝えしたことを、ぜひ日々のトレーニングに反映させて「深い練習」を心がけてください。

それによって成長の速度は早まり、目的の場所までの道のりは大きく短縮できるはずです。

いや、もちろんこれは英語の上達だけに通じる話じゃなく、どんなスキルの向上にもつながる話です。

大切なことなのでもう一度

ミエリンの総量は50歳前後にピークに達するが、ミエリンの形成は高齢になっても継続する。だから、年齢に関係なく、新しいことを学びつづけることができる。

いくつからでも遅くないんです。

でも新しいことに挑戦しなくなったら、新たに電線は作られない。→成長はない、ということ。たとえもしあなたが20代でも、挑戦しないならそこで成長は止まります。

さぁ、ここから何をやりましょうか。


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