見出し画像

親知らずがかみ合わせを救う!矯正治療における親知らずの使い道

オレのあだ名は親知らず。本名は第三大臼歯だ。
「かみ合わせのずれ、顎関節症、矯正治療後の後戻り、奥歯が痛い、口の中の都合の悪いことは全部オレのせいか⁈」
「そうだ悪いのはおまえだ!抜いてしまおう!」
「毎度のことだから慣れてる…  でも
このオレを有効活用する方法があるんだ!」

親知らずとは?

人間の歯は32本あります。
そのうち大きな奥歯は第一大臼歯4本、第二大臼歯4本あり、主に食べ物をつぶす役割を担っている。
「親知らず」のあだ名で知られる第三大臼歯4本は、大半の方が骨の中に埋まったままなので、口の中に見えているのは通常28本です。
現代人に親知らずが生えない理由に関しては、
歯自体が退化という道を選択したという説と、あごのサイズが小さいために親知しらずが成長したくてもできない=アゴの大きさに原因があるという説があります。
中途半端に生えてきたものは清掃しにくく、清掃不良により炎症が起きると痛みが出ることがあります。抜歯という選択がされやすい歯種でもあり、親知らず=いらない歯と思われているかもしれません。

矯正治療における親知らずの使い道

歯科疾患実態調査によると歯は50歳で1本無くなります。
その場所は第一大臼歯や第二大臼歯といった奥歯である確率が高いと報告されています。
虫歯や歯周病の進行による自然脱落もあるでしょうが、長期の保存が難しいと判断された歯は、歯科医院で抜歯を勧められることもあります。
そんな時、すぐに思いつくのがインプラントですが、自分の歯ではないものを入れることに抵抗もある。

そこでもう一つの選択肢は矯正歯科治療。
矯正装置を使って、前歯の関係を変えつつ、奥歯を移動させることで親知らずをかみ合わせに参加させることが出来ます。
例えば、下あごの第一大臼歯が長期保存が困難なので抜歯したケースでは、第二大臼歯と親知らずを前に移動してきてかみ合わせを創る。とか

下あごの第一大臼歯が自然脱落していたケースでは、前歯の関係を変えつつ、第二大臼歯と親知らずを前に移動してきてかみ合わせを創る。といったことが可能です。

ただ、年単位の治療期間が必要なことがマイナスポイント。
でもこのマイナスを帳消し出来るほど、自分の歯だけで生きていけるということは大きなメリットだと思います。

その他の親知らずの使い道

矯正治療以外にも、親知らずの使い道はあります。
①    移植する
長期の保存が難しい奥歯の場合、抜歯を勧められることがあります。
そんな時、条件が合えば親知らずを抜いてきて、その場所に移植する方法があります。

②    ブリッジの土台にする
第二大臼歯が無くなってしまった場合、一番奥だし…見えないし…と思って放置しておくと、咬む相手の居なくなった奥歯のかみ合わせはどんどん崩れていきます。
そんな時、親知らずがあれば、無くなってしまった部分を補うためのブリッジや入れ歯の土台に利用できます。

③    冷凍保存
抜いた親しらずを冷凍保存しておき、将来自分の歯が無くなったときに解凍してその部分に移植するという技術が実用化されています。

親知らずを抜きたくなったら矯正治療を考えよう!

親知らずが一概に悪ではないことが分かってもらえたでしょうか?
矯正歯科を生業にしていると、親知らずがあればなぁ…という場面に出くわす機会は多いものです。特に過剰な出っ歯の場合、上あごの親知らずは使い勝手がいいのです。
親知らずを抜歯する選択に迫られたら、まず矯正治療を考えてみて下さい。
抜くのはいつでも出来るので…

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?