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デリバリーのお兄ちゃんと電話で話せるようになって嬉しい|エジプトに一年住んでみた

お久しぶりです。青柳です。noteでは特に書いてなかったんですが、2020年11月に私は息子を連れてエジプトに移住しました。きっかけや当時の気持ちなどはここで取材してもらったので物好きな方はどうぞ。


移住一年目は全てがカオスで、既にあんまり記憶がないくらいには、忙しくて面白い日々でした。

そもそもエジプトに来たのはお試し感覚で、海外が肌にあわなければすぐ帰ろうと思っていました。が、こっちでの暮らしは意外と楽しくて。まだもうちょっと続きそうなので、日々のあれこれを少しずつ書いていこうと思います。

新首都、ニューカイロのモスク。砂漠の真ん中に街を作る国家プロジェクトが進行中。

エジプトって何語を使うの?

日常生活はアラビア語のエジプト方言がメインで、息子の学校(インターナショナルスクール)など一部は英語でのコミュニケーションです。

今日はその中でもアラビア語のお話を。

「エジプト方言」というとちょっとわかりにくいんですが、関西弁をイメージしてもらうとわかりやすいかも。

アラビア語は正則アラビア語(フスハー)と、口語(アーンミーヤ)に分かれます。関西地方の人たちも公式文書は標準語で作成することが多いと思うんですが、日常生活で使う話し言葉は全然違いますよね。例えば、「ありがとう」を「おおきに」と言うとか、外国人からしたら戸惑うことばかりだと思います。

エジプトでも同じようなかんじで、教科書に載っている表現とまったく違う言葉が生活の中では飛び交っています。発音にも独特の違いがあって、代表的なものだと「カ」の音がほとんど「ア」に置き換わるなど。例えばネコ(قِطّ)はフスハーでは「コッタ」ですが、エジプト方言では「オッタ」と発音します。

前置きが長くなりましたが、まぁそんなかんじで揉まれる日々です。

数字の読み方さえわからなかった

エジプトへの移住に際しては、予定していた日程の半年前くらいから準備をはじめました。

首都カイロでは英語が通じる場所もあるという情報も見ましたが、アラビア語も少しはわかった方が良いだろうと思い、東京ジャーミィ(※)の初級アラビア語講座に通っていました。

パンデミックにより途中からオンラインに移行しましたが、講師のリーム先生はめちゃくちゃモチベートしてくれる素敵な先生で毎回楽しかったです。で、アラビア語のアルファベットの読み方がなんとなくわかったかな…? くらいのレベルで渡埃しましたが、いやー。全然甘かった。笑

到着翌日に生活用品の買い出しのためIKEAに連れていってもらったんですが、まず値段が読めない。

TOYOTAと並んでるので一瞬日本かと思うんですが、エジプトのIKEAです。
値札みても、アラビア語だといくらか全然ピンとこなかった。(ちなみにこれは1295ポンド)
IKEAはまだよかった。

IKEAなど、大型ショッピングモールに入っているお店はまだ全然マシ。食料品や日用品を買おうと八百屋やスーパーに行っても英語を話せる人はおらず、計り売りのお肉すら買えない。会計時にもいくら求められてるかわからず、iPhoneの電卓の画面に入力してもらったり。

近所の八百屋さん。誰も英語を話せません。

家にいるときにはオンラインで日本のクライアントと日本語で「大人の会話」をしてるのに、一歩外に出たら赤ちゃんレベルのコミュニケーションしかできず、呆れられたり同情されたりしながらの生活はそれなりにストレスで、クソクソクッソ~~!と思いながら過ごしていました。

デリバリーサービスが進むエジプト

そんなかんじで四苦八苦しながら生活し、3ヶ月ほどすると、少しずつお友達ができてきました。

息子の学校のママたちや、日本好きなエジプト人、そしてエジプト在住の日本人。いろんな人に教えてもらってエジプトは意外にもデリバリーサービスが発達していることを知りました。
ピザやハンバーガーなどの出前はもちろん、宅配スーパーも使いやすそう。
日本にいたときも、Amazonと宅配スーパーが生活の支えだった私。

迷わずチャレンジしたのですが、ここでも言葉の壁が……。

ヨーロッパ・中東・アフリカの中継地点であるエジプト。様々な人種の人が住んでおり、デリバリーサービスは基本的に英語でも表示できます。

だから注文するまでは余裕。むしろ説明が読めてありがたい。スーパーだと、牛乳はどれかすら迷ってましたから。

スキムミルクがめっちゃ売ってる。あと常温保存のロングライフミルクとか、ハーフクリームミルクとか……なにそれ?

でもね、注文してから届くまでに、かかってくるんです。

宅配の人から。電話が。

(住所書いたじゃん!)

(迷ったらここに電話してねって、レジデンスの受付の電話番号まで書いたじゃん!!!!!)

そんな私の心の叫びは通じず、ほぼ毎回かかってきます。

最初の頃は何もわからなくて、電話がかかってきたら五階の自宅から一階まで降りて、セキュリティのおじさんに代わってもらってなんとか誘導してました。この手間が本当~~に憂鬱で、なんとなくデリバリーから遠ざかっていた時期もありました。

それがね。3ヶ月ほど前からすごーーーく楽になったんです。

アラビア語が少しずつ聞き取れるようになってきた

エジプトに着いてから、アラビア語学習はエジプト人の先生に週1でマンツーマンのオンラインレッスンをお願いし、ゆっくりゆっくり進めてきました。

半年続けたくらいからラジオや街中で少し単語が聞き取れるようになってきて……最近はなんとできるようになったんです、

デリバリーのお兄ちゃんとの電話が!!!!

お兄ちゃん「大通りにいるんだけど、家どこ?」

「レストラン@@の角を曲がって左側だよ」

お兄ちゃん「今近くにいるんだけどここで合ってるん?どうやって入るん?」

「(建物の名前を確認して)合ってるよ~。そのまま入って、その中のビルディングCの5階だよ。部屋番号は@@@だよー。」

お兄ちゃん「OK、今行くわ」

「ありがとう、部屋にいるよ。待ってるよ〜」


だいたいこのパターンならいけるようになった。

あとこないだ「エビがないからイカでもいい?」っていう電話にも、「それならいらない」って対応できた。笑


できないこと・知らないことがたくさんあるのは意外と楽しい

自分で言うのもなんですが、日本にいたときは色々と効率よくやってる方でした。
家事代行やベビーシッターなどの生活のサポートから「乗り換え案内」に至るまで、分刻みのスケジュールを支えるいろんなツールを使い尽くしてワンオペフリーランス生活を満喫してた。

できるだけ楽に暮らしたい性分なので、生活の効率化について考えるのは大好き。エジプトの暮らしでは今はまだそこまで辿り着けていません。でも「できなかったこと」が「できるようになる」のってめちゃくちゃ嬉しい。この感覚と出会うのはなんだかすごく久しぶり。

他にもできるようになったこと:

  • Uberで、降りたい場所で降りる

  • 息子を床屋に連れて行く

  • 美容院で髪を染めて好きな髪型にする

  • マッサージに行く

  • まつエクに行く

  • ナンパを適当にいなす

  • レストランで注文する、わからないメニューについて聞く

  • 洋服を買いに行ってスタッフとおしゃべりしながら選ぶ

  • 小銭(おつり)があるか聞いてから大きい紙幣を出す

他にも色々ありそうだけど、今思いつくのはこんなかんじ。

効率の良い生産的な生活は遠のいたけど、今は毎日の「できた!」「やった!」が楽しくて、それを少しずつ増やしていきたいなと思ってます。

アラビア語学習も「今はこれをできるようになりたい」が決まってると、身が入るし頭にも入ってきやすい気がします。


「できないこと」って気を抜いてると諦めがちで、そもそも選択肢として存在することすら忘れてしまう。だからこそ、等身大の暮らしを大事にしつつ「やってみたいんだけどなぁ」という独り言を見逃さないようにすることが必要なのかも、と思ったり。


今日はこんなかんじです。

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それでは良い一日を。

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