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双極性障害のこと 【医者百態】

この病気の治療のためにかかったこれまでのお医者さまたち。

最初に自分の異変を感じたのは今から20年ほど前でした。
理由もなく憂鬱な気持ちになることが増えていたので、心配になってかかったお医者さま。
家族がいるかどうか、一緒に暮らしているかどうかを聞かれ、「いる」「一緒に暮らしている」と答えたところ、
「家族と暮らしているのなら心配ありません」

今ほど精神疾患が社会的な話題になっていなかったころとはいえ、ちょっと、ね。

かなり症状が悪くなって、かかったお医者ささま。
私のそれまでの働きぶりと、暇で暇で退屈だったそのころの仕事の状況を聞いて、「空の巣症候群」「燃え尽き症候群」
残業、残業だったものが突然そうでなくなったために鳥の巣が空っぽになってしまったような虚しさや燃え尽きた感じを抱いているのだろう、と。
なるほどね。
隣接の薬局のおばさんも優しく接してくれ、いいところが見つかった、と思っていたのですが、予約制ではなく、1時間以上待たされることはザラ。
待合室はいつもいっぱいで、しかも、憂鬱そうな表情の人ばかり。
私もその一人だったわけですが、そこにいるだけで、さらに気分が落ち込んでしまうので、やめました。

頻繁に通う必要が出てきたために、家の近くの病院に通うことにしました。
入院施設がある精神疾患の専門病院です。
このころはまだ「うつ病」の診断だったため、気分を持ち上げる薬を処方されました。
なかなか気分が持ち上がらず、診察でその旨を話したところ、
「なんでだ!」
なんでだ、って…

同じ病院の別のお医者さま。
同じく気分を持ち上げる薬を処方され、途端に元気になりました。
しばらくやめていたハーフマラソン大会に参加できるほどの元気。
このお医者さまなら、と思っていたのですが…
その後、反動でひどく落ち込み、そうするとまた元気になる薬を増やして「くださいました」。
また元気になり、また落ち込み、の繰り返し。
幸か不幸か、そのお医者さまは異動になりました。

そのお医者さまを引き継いだ別のお医者さま。
元々の自分の患者ではないせいか、なんだかそっけない。
ある日の診察で、
「じゃ、どの薬が欲しいですか?」
私に聞かれても…

発症から10年ほどしてかかったお医者さま。
それまでのお医者さまたちとは違って、私の元気なときの状態に着目し、初めて「双極性障害」と診断してくださいました。
その病名を知ったのはそのときが初めてでした。
やっと信頼できそうなお医者さまに出会えた。
むやみに薬を増やすことなく、気分を持ち上げ過ぎず、落ち込みを減らしつつ、という治療を続けました。
どんなに気分が落ち込んでも薬を増やすことなく、「自然に気分が持ち上がるのを待ちましょう。そのほうが後々安定しますから。」
しかし、半年経っても、1年経っても変わらない。
それでも「自然に,,,」
何年も、何年もそのまま。
診察はいつも、
「どうですか?」
「相変わらず低空飛行です」
「そうですか、じゃ、また同じ薬を出しておきますね」
30秒。

2年前に今のお医者さまへ転院。
よく話を聴いてくださり、薬の効能を説明した上で処方してくれます。
効果がなければ、増やすのではなく、別の薬に変える。
安心感もあり、少しずつ気分が回復、してきたような気がしました。
昨年初め、気分が酷く落ち込み、予約していた通院に行けなくなりました。
次の予約が取れたのは2週間後。
受付の人は「薬だけ出してもらいますか」とは聞かず、私もそれを求めなかったので、突然の断薬。
不安で不安でなりませんでした。
薬をやめて1日、2日、何も起こらない。
3日目、変わらず。
4日目、5日目、だんだん気分が良くなってきた。
そして2週間後、気分爽快。
今に至っています。
お医者さまのおかげなのか、どうなんだか…
今もそのお医者さまにかかっています。
薬は夕食後に服用する最低限の1種類だけ。
効いている気はしませんが、またいつ崩れるか分からないのと、医療費の助成を受けるために定期的に診断書が必要なので。
月に1度、薬代と合わせて1,000円弱。
保険と思えば、まあいいっかな。

それにしても、精神疾患の「お医者さま」って…