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誰かの誕生日

朝、携帯電話の日付をみて、中学のときに好きだった男の子の誕生日だったなぁと思い出した。
どうでもいいことはなぜか覚えている。
昔から、誰かの誕生日だとか、家族構成なんかは頭に入りやすいタイプだった。
よく覚えてるねとびっくりされることも時々ある。
別に記憶力に優れているわけではないと思う。
暗記はめちゃくちゃ苦手だったから。

アイヌ文化は文字を持たない文化だと言う。
だから北海道の一部には当て字のような地名が存在する。
数の数え方なども曖昧だったようだ。
そのかわり、記憶力はずば抜けていたらしい。
1時間の間に語られる物語をすべて暗記し、それが伝承されていった。
文字は、留めておくことで私たちの記憶からは遠ざかってしまうものなんだろうか。
文字とは何のために存在するのか。
ネイティブアメリカンのトーテムポールのように朽ちて森の一部になるような遺物もある。
どちらがいいとか悪いという話ではない。
人として本当に残すべきものは何かという問いを胸に立てる。

私の知らないところで彼は今日、40歳。
時代を超えてきた多くの文字の重みを感じる。
私が残せるものなんてたかが知れすぎている。
それでもやっぱり、書きたいと願ってしまう。
例えそれがエゴだと言われても。

#エッセイ #コラム #書く #文化 #エゴ


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