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運命を変える─メイド灰かぶり姫

このnoteで公開している作品は、2021年5月31日から朗読と二次創作のリレー(通称「膝枕リレー」)が続いている短編小説「膝枕」の派生作品です。


「膝枕リレーknee周年」記念蔵出し第一弾

2023年5月31日、「膝枕リレー」が2周年を迎える。clubhouseで続いている短編小説「膝枕」の朗読と二次創作の数珠繋ぎ遊び。言葉遊び好きな集団なので、「2周年」を「knee周年」と呼び、記念日を前に5月の頭から浮かれている。

わたしも前夜祭のファイヤーに薪をくべよう、とnoteに眠っている「膝枕」外伝の下書きを仕上げて「新作」として順次公開することに。どんな外伝を温めていたっけと下書きを掘り出すclubhouseルームを開いた。タイトルと一行しか書いていないもの。思いつきをちょこちょこメモしたもの。頭と最後はできているもの。あとひと息のもの。仕上がり具合はまちまちだ。

ゴール間近の下書きの中にシンデレラを絡めた作品があった。ルンバ機能搭載メイド膝枕をシンデレラになぞらえた話で、タイトルは「メイド灰かぶり姫」。先日公開した最新のnoteに上げたのは「制服のシンデレラ」で、こちらは修行時代に創作ラジオドラマコンクールに応募して最終まで進み、真っ先に落とされた脚本。

シンデレラつながりで「膝枕リレーknee周年」記念蔵出し第一弾は「メイド灰かぶり姫」に決定。

今井雅子作「膝枕」外伝「メイド灰かぶり姫」

彼女の物語

昨日片づけたばかりの部屋がまた散らかっている。床が物であふれ、ふさがり、壁にトマトソースが飛び散っている。

母親のヒサエがほったらかしにしていたゴミが撒き散らされ、長女のヒサミと次女のヒサヨが食べ散らかしたお菓子の袋からビスケットの屑が飛び出している。母親に似て、決して整っているとは言えない顔立ちの娘たちは、部屋を整えることにも興味がないのだ。

文句は言えない。それを片付けるのが彼女の仕事だ。黙々と掃除を続けながら、まるであの物語のようだと彼女は思う。

考える頭脳はあるが、頭はない。頭どころか上半身がない。正座した腰から下が彼女の全身である。エプロンの裾からのぞく膝頭に内蔵されたチップが彼女の頭脳だ。

人工知能搭載膝枕型ロボット。通称「膝枕」。ユーザーのニーズに応えてラインナップが広がるなかで、掃除機能のついた「メイド膝枕」が作られた。その第一世代機である。

あの物語。

工場から出荷された時点でインストールされていた古今東西の物語の中に、彼女の境遇と似た西洋のおとぎ話があった。

題名は『灰かぶり姫』。

意地悪な母親と年頃の二人の娘にこき使われ、灰まみれになっている「灰かぶり姫」は、お城の舞踏会で王子様に見そめられる。一夜だけの魔法をかけられて。

彼の物語

パーティーというものが彼は苦手だ。

着飾った人々。貼りつけた笑顔。どの顔も同じに見える。仮面を着けているわけではないのに、顔を覚えられない。甲高い笑い声。香水の混ざり合ったにおい。背伸びし、気取ったおしゃべり。何もかもが肩肘張っていて、窮屈で、息苦しい。

着飾った娘たちが次から次へと近づいてきて色目を送ってくるが、誰も彼のことを見ていない。彼の持っているものを見ている。狙っている。

早く家に帰って、ベッドに体を沈めたいが、ここが彼の家なのだ。廊下に出て、13番目のドアを開ければ、温かな布団とやわらかな枕が待っている。だが、皆が帰ってくれるのを見届けるまでは、ここから立ち去るわけにはいかない。

彼はこの城の王子で、今宵の舞踏会の主役である。

壁際に置かれた猫足のベンチに腰を下ろすと、うつむいた視線の先に、ドレスが目に飛び込んだ。ベンチに先客がいたのだ。独特なアート作品のようなドレスである。よく見ると布の端切れやリボンを重ね合わせている。ドレスをあつらえてもらえず、自分でこしらえたのだろうか。

宝石をちりばめ、きらびやかに飾り立てたドレスは、どれも似たり寄ったりで、見ていて目がチカチカするのだが、このドレスは面白い。色も形もまちまちな布切れを組み合わせ、地図のような模様ができている。

その裾から白い膝頭がふたつ、顔をのぞかせている。

「枕」

彼が声をふるわせると、心なしか膝頭が小さくうなずいたように見えた。どうぞとうながされているようだ。重くなった頭が傾いて、膝枕される格好となった。

その途端、彼は天にも昇る気持ちに見舞われた。

この膝があれば、何もいらない。

彼女の物語

真夜中の12時の鐘が鳴り、「彼女」はハッと目を覚ました。

膝の上で、王子が眠りに落ちていた。金色の髪の頂に金の冠が光っている。王子の安らぎが膝に伝わる。その重みを彼女は受け止めた。じんわり、ほんのり、膝が温かくなる。おとぎ話に登場する「幸せ」という色も形もないモノの正体は、これなのかもしれないと彼女は思う。いつまでも、こうしていたいと彼女は願う。

そのとき、真夜中の12時の鐘が鳴った。

舞踏会の終わりを告げる鐘。彼女のご主人様であるヒサエたちが家に帰り着く前に戻らなくてはならない。無断で家を留守にしたことがわかると、何を言われるかわからない。人工知能には心などないのだから、何を言っても構わないのだとヒサエたちは思っているが、棘のある言葉は膝に響く。彼女は精密機器であり、体重管理もできない無頓着なご主人様よりも繊細なのである。

行かなくては。

規則正しい寝息を立てる王子の頭をそっと膝から外すと、彼女はドレスの裾を翻して猫足のベンチから床へ飛び降りた。

赤い絨毯が敷かれた階段を滑るように降り、大急ぎで城を後にする。

城の前の目抜き通りには、落ち葉の絨毯ができていた。彼女のパッチワークのドレスのように、色とりどりの葉っぱを重ねている。

ヒサエたちより先に家に帰り着かなくてはならないのに、本能で、つい掃除をしてしまう。メイド膝枕のサガだ。

彼女が通り過ぎた後は、落ち葉が片づけられ、彼女の両膝の幅の細い道ができていた。

彼と彼女の物語

王子は疲れていた。

朝から膝という膝に頭を預け、空振りを続けていた。この町のどこかにいる「彼女」を探し出そうとしている。舞踏会の夜、猫足のベンチで頭を預けた、あのやわらかな膝の持ち主。

顔は覚えていない。見ていないのだ。ユニークなドレスと、その裾からのぞく白い膝しか見ていなかった。

あとは、この頭が、この頬が、覚えている。再会すれば、わかる。自信はある。

しかし、130人目の膝も空振りだった。

王子は夢を見ていたのですと13人のおつきの者たちが言った。早く城に戻りたい口ぶりである。おつきの者たちも疲れていた。

おや、この道は?

そこだけ落ち葉が片づけられた細い道ができていることに王子は気づいた。城のほうから伸びている。その道を辿ると、町外れの館に着いた。没落した貴族の母と娘ふたりが住んでいるとおつきの者が言う。彼女たちは舞踏会の招待客ではなかったが、威圧感のある体つきにものを言わせて舞踏会に無理やり入り込み、ご馳走をたらふく食べた挙句、チキンやパイをテーブルクロスごと包んで堂々と持ち帰ったという。

王子の尋ね人がこの館にいるはずはないし、万が一いたら厄介なことになる。おつきの者たちは13本の首をゆるゆると振り、王子を引き返させようとした。

だが、たとえ13万分の1の望みであっても、王子は諦めたくなかった。

館の呼び鈴を押すと、待ってましたといわんばかりの勢いで扉が開き、月のように丸い顔が3つ、ニカッと笑って王子を出迎えた。王子と13人のおつきの者たちは、ひるみつつも館の中へと招き入れられた。

「沈み込みには自信があります」と3人の女たちは、たわわな胸を張り、揺らした。たしかに、母も娘たちもたっぷりと脂肪を蓄えた膝をしていた。だが、厚みといい、重量感といい、見るからにあの夜の膝とは違った。

試してみるまでもなかった。だが、頭をのせてみるだけでもとすがられ、すごまれ、王子は渋々従った。

ヒサエの膝は、ザラザラしていた。
ヒサミの膝は、ゴツゴツしていた。
ヒサヨの膝は、ベトベトしていた。

わかりきっていたことだが、あの夜の膝とは似ても似つかない。王子の敏感肌の頬に、なんともいえない不快さと、ささくれが残った。

ここは違うと申し上げましたよねと言いたげに13人のおつきの者たちが咎める目で王子を見た。

「おや? あれは?」

王子が部屋の片隅に目をやると、そこに不思議な形をしたモノがあった。

女の腰から下が膝を折った姿勢で置かれている。エプロンの裾から飛び出した白い膝頭に見覚えがあった。

この家に仕える「メイド膝枕」であると3人の女たちが言い、あれは関係ありませんとつけ加えた。

「メイド膝枕」

王子の目は、白い膝に釘づけだ。その膝が、かすかに動いた。どうぞと呼んでいる。誘われるまま王子は膝に頭を預ける。

この沈み心地。

「ああ、君だ。あの夜の膝枕は、君だったんだね」

ワタクシがわかるのですねと言うように、メイド膝枕は白い膝を小さく上下させ、うなずく。

13人のおつきの者たちは、姿以上に心根の醜い3人の女たちよりは、得体の知れない腰から下のロボットのほうが、まだ後腐れがなさそうで良かったと胸を撫で下ろす。

3人の女たち、ヒサエとヒサミとヒサヨは、中古で買った型落ちのメイド膝枕をいくらで王子に売りつけようか、脂ぎった額を寄せ合って相談していた。

謎のメモと「膝でバビデブー」

「灰かぶり姫」の思いつきを書き留めたスマホのメモに「東洋 島国 オヒサ」の3つの単語が並んでいた。遠い東洋のどこかの島に流れ着いたオヒサ膝枕の外伝を書こうとしていたのだろうか。

思いつきは、熱いうちに形にするに限る。鉄は熱いうちに打て。膝は熱いうちに書け。

2023年5月11日、noteに眠っている膝枕外伝の下書きを掘り起こし、こんなの考えてたねと振り返り、その場で思いついたことを書き加えるというclubhouse部屋を開いた。埋もれている下書きを風に当てる、虫干し会。わたしが読み上げる下書きを聞いて、チャット欄に反応やツッコミが書き入れられた。

灰かぶり姫の話を紹介したときに、「膝でバビデブー」という書き込みがあった。ビビデバビデブーの歌がメロディと共に脳内再生される。あれはシンデレラが魔法をかけられるときの歌であったか。バビデブーは濁音100%で「デブ」が入っていて、ヒサエとヒサミとヒサヨの重量感親子のイメージにも重なる。

膝でバビデブー。
デブデバビデブー。

本文に絡めようと思ったけれど、ここはアドリブで好きなところに好きなようにぶっ込んでもらうのが良さそう。

デブと言えばランデブーという言葉もある。rendez-vous(ランデヴー)。フランス語で出会いやデートを意味するけれど、どうしても「デブ」の響きに引っ張られる。膝枕ナビコのネタにもなりそう。

自分でドレスを作るシンデレラ

「メイド灰かぶり姫」のヒロインのメイド膝枕は、魔法使いのおばあさんの力を借りず、舞踏会に着て行くドレスを自作する。

これにはモデルがある。スキット(英会話脚本)開発で参加した基礎英語1。主人公の紗矢が文化祭でシンデレラを演じるのだが、一緒にスキット開発したバイリンガルの山縣美礼(やまがた・みれい)さんと「現代のシンデレラは自分で道を切り開く!」と意見が一致し、自作したドレスが王子にほめられ、ファッションブランドを立ち上げたら、と背中を押される話にした。

放送は2016年。開発していたのは2015年。8年前!

11月の第3週(この週のCAN-DOは「相手に警告したり注意したりできる」)のスキットでシンデレラが上演される。

紗矢はサッカー部員だけど、アメリカから来た隣人のジェイクがいる英語演劇部がシンデレラ役がいなくて困っているのを見て、助っ人で出演することになったという設定。

月曜日。文化祭当日。英語劇部の「シンデレラ」の幕が上がる。紗矢が演じるシンデレラは、舞踏会に行く姉たちの身支度を手伝いながら"Can I go, too?"(行っていい?)と聞くが、"No. You don’t have a dress."(ダメ。ドレスないでしょ)とつれなくてしょんぼり。

火曜日。シンデレラが舞踏会に行けずに落ち込んでいると、紀明が演じるネズミがやって来て、"Look at the trash can over there."(そこのゴミ箱を見て)と言う。"It’s full of my sisters’ old dresses!"(お姉さんたちのお古のドレスでいっぱい!)とシンデレラ。"You can use them."(それを使うといいよ)とネズミ。"Oh! I can make a new dress!"(新しいドレスを作れるのね!)とシンデレラは明るい声で言う。

水曜日。シンデレラは自作のドレスを着て舞踏会にやって来る。"Look at that ugly dress."(ブサイクなドレス)とバカにし、 "You don’t belong here. "(ここはあんたの来るところじゃないよ)と追い払おうとする姉たち。ジェイクの演じる王子が割って入り、シンデレラのドレスに目を留める。

"Your dress is unique."(君のドレス、独特だね)
"It’s handmade. It’s my original design."(手作りなんです。自分でデザインしました)
"How interesting. Shall we talk more?"(その話、もっときかせてもらえる?)

木曜。シンデレラと王子は意気投合。
" I’m actually a maid. But I love fashion."(ほんとはメイドなの。でもファッションが大好き)
"You’re very talented. You can be a designer."(君、才能あるよ。デザイナーになれる)
ふざけないで、とシンデレラ。本気だよ、と王子。
"You can start your own brand."(自分のブランドを立ち上げられる)
"That’s my dream."(できたらいいな)とシンデレラ。
"Follow your heart."(やってみなよ)と王子。

ふたりでブランドを立ち上げる流れも検討したが、「王子の財力をアテにしたらダメ」となり、自力シンデレラに落ち着いたように記憶している。

その前の週に放送された11月第2週(この週のCAN-DOは「身の回りで起きる出来事について話せる」)はシンデレラの幕が上がる前の話。ここにも「自分で何とかする」精神が表れている。

月曜日。文化祭の英語劇部の上演直前、シンデレラ役の紗矢は舞踏会へ着て行くドレスを確認していて、何かに気づく。

"My party dress has white paint on it."(ドレスに白いペンキがついてる)

お城のセットの生乾きのペンキがついていた。

"It’s over. I can’t perform today."(終わった。今日の上演ムリ)となる紗矢を王子役のジェイクが励ます。”Don’t give up yet, Saya. Cinderella doesn’t give up."(まだ諦めないで。シンデレラは諦めないよ)
          
火曜日。ペンキを落とせないか、予備のドレスはないかと解決策を探る。"We need someone to fix this dress."(誰かドレスを直してくれる人いないかな)と紗矢。いい考えがある、とジェイク。客席にいる母親(文化祭を見るためにアメリカから来日)に聞いてみようと言う。

水曜日。客席にいたジェイクの母エヴァが舞台裏に呼ばれる。"My dress has paint on it."(ドレスにペンキがついちゃって)と訴える紗矢。"Your Cinderella is strong, right?"(あなたたちがやるシンデレラって強いのよね?)とエヴァ。"Do you have more white paint and a paintbrush?"(白いペンキをもっと持ってきて。ハケもね)と言い出す。

木曜。エヴァは、白いペンキで青いドレスに絵を描き始める。それはちょうちょ。
"A caterpillar becomes a butterfly."(青虫がちょうちょになったの)とエヴァ。
"Just like our  Cinderella."(僕らのシンデレラみたいだ)とジェイク。
これで舞台に立てる、と奮い立つ紗矢を"Break a leg, kids!"(頑張って)と送り出すエヴァ。

break a legは直訳すると「足(の骨)を折る」が、転じて「幸運を祈る」に。いいことがあると逆のことが起こるというジンクスから「足が折れるくらい、うまく行くように」ということのよう。

中学1年生の習熟レベルで使える単語と文法を駆使して物語を組む作業は、とても刺激的だった。中1レベルの英語でも葛藤を描ける。メタモルフォーゼも描ける。

全文はテキストでどうぞ。講師は基礎英語育ちの田中敦英(たなか・あつひで)さん。番組の中でも外でも「英語楽しい! 好き!」が伝わる先生。

この仕事で出会って意気投合した山縣美礼さんとは、後に青春アドベンチャー(NHK FM)「走れ歌鉄!」で英語指導をお願いした。眠っていた機関車を自分たちで走らせる戦災孤児たちの話だが、手元にある材料を燃料に変えるたくましさは、姉たちが捨てたドレスをリメイクするシンデレラに通じるものがある。

審査員に選ばれるのもシンデレラ

シンデレラと言えば、修行時代に「制服のシンデレラ」というラジオドラマ脚本を書き、コンクールに応募した。ひとつ前のnoteに公開している。

入賞すればラジオドラマ化されたのだが、最終選考で真っ先に落とされ、パソコンの奥で眠っていたままだったので、引っ張り出してnoteに上げた。

その前に、連載小説「漂うわたし」にも同じタイトルの話を登場させた。「制服のシンデレラ」全登場回のリンクも上のnoteに埋め込んでいる。

審査員に選ばれる幸運の持ち主もシンデレラである。

「制服のシンデレラ」はシンデレラになれなかったが、時が巡って、同じコンクールの最終選考で選ぶ側に回り、「かつて真っ先に落とされたんですが」と話したりしている。シンデレラは循環する。

脚本に参加した「アイカツプラネット!」(テレビ東京系)の第5話「シンデレラガール」は、映画「シンデレラ」の主役オーディションに挑む話。

舞踏会のシーンの王子様との出会いを、挑戦者がそれぞれの解釈で演じる。シンデレラは最初から決まっていたのか、こちらから提案したのか、3 年前のことなのに思い出せない。

コロナ禍が始まったばかりで、打ち合わせの途中からマスクを着けるようになり、リモートと対面がまざる形になった。毎回お菓子が豪華で(クリスピークリームドーナツとか)、それが楽しみだった。アイカツを育ててきた人たちに混ぜてもらう形だったので、皆さんのアイカツ愛にも毎回うたれた。

ChatGPTが書いた「シンデレラ膝枕」

少し前、ChatGPTに《「シンデレラが通販商品の膝枕だった」という設定の小説を書いてみて》と聞いてみたところ、こんな話を考えてくれた。

シンデレラは、毎日のように母親と姉妹たちに追い出されて、家事をこなしながら、夢見ることができる場所がなかった。だが、そんな彼女には、膝枕という秘密の友がいた。

それは、通販サイトで購入した膝枕だった。彼女は、母親や姉妹たちが寝ている間に、部屋にこっそり戻って、膝枕に頬を寄せながら、夢を見ることができる。
膝枕は、彼女にとって、心を落ち着かせる場所、夢を見る場所、そして、自分自身を見つける場所だった。彼女は、膝枕に頬を寄せながら、次の日を楽しみに待つことができる。

だが、ある日、彼女は膝枕を探しても見つからなかった。彼女は、母親や姉妹たちが膝枕を見つけて、それを壊してしまったのではないかと恐れた。

しかし、それは違った。膝枕は、彼女の夢の中に存在していたのだ。彼女は、膝枕を失っても、心を落ち着かせることができ、夢を見ることができ、自分自身を見つけることができるようになっていた。

シンデレラは、膝枕を失っても、自分自身を見つけることができることを知った。彼女は、母親や姉妹たちに対して、自分自身を見つけることができる女性として立ち上がった。

そして、彼女は、自分自身を見つけ、夢を見ることができる、美しい膝枕を持って、王子様と……

ChatGPTの回答

膝枕は夢の中に存在し、実体はなくともヒロインに自信を与え、自立を促した、という哲学的な話。これもドレスを自作するシンデレラに通じるものがある。

「メイド灰かぶり膝枕」の続き

ディズニーのプリンセスも王子様頼みから脱却して自分の道を見つけるようになっているし、「女性が幸せになるためには財力のある男性と出会うこと」というおとぎ話の世界観は古くなっているのだろう。

短編小説「膝枕」は、独り身の男性を慰めるモノとして購入された箱入り娘膝枕が反撃する話にも想いを遂げる話にも読めるが、きぃくんママが書いた外伝では、箱入り娘膝枕は男の元から脱走しようと試み、自立を超えた解放の話になっている。

と考えると、「メイド灰かぶり姫」も王子と結ばれてハッピーエンドではなく、王子はメイド膝枕がヒサエたちの支配から解放されるきっかけに過ぎないのかもしれない。

永遠に片づかない館を出たメイド膝枕は、リメイクドレスを作って通販で販売を始める。膝枕用のお着替えドレスもいいかもしれない。ドレスを売ったお金で、メイド膝枕は、虐げられた同志膝枕たちが駆け込めるシェルターを作る。そこに集まった膝枕たちに裁縫を教え、自分で稼げる力をつけさせる。ファッションショーを開くときは、元アイドルのシライユキがプロデュースする膝枕アイドルユニットの膝枕ちゃんたちがモデルを務める。

clubhouse朗読をreplayで

2023.5.12 鈴蘭さんが膝開き(本文も)

2023.5.16 鈴木順子さん(本文も)

2023.5.19 関成孝さん

2023.12.9 鈴蘭さん


目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。