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フリーランスへの転向を考えている方に。メリットとデメリットをお話します。

こんにちは。キャリコン社労士の村井真子です。

最近、コロナ禍の影響もあり、フリーランスに転向される方が増えています。

整理解雇などご本人の意に沿わない形で致し方なく独立された方もおられますし、事業の縮小や再編などをきっかけに独立される方などもあり、ご事情やタイミングなどもさまざまにお有りかと思います。

長らく自営業をしているので、私のところへも独立を考えている方からのご相談や、「この資格で食べていけますか?」というご質問が増えてきました。

それでお話を聞いたりしていると、ちょっとフリーランスに対して誤解というか、デメリットの整理が漠然としている方が多いように感じています。

ですので、このnoteでは私が考えるフリーランス(自営業、個人事業主を含む)のメリットとデメリットを正直にお伝えいたします。

メリット1)時間に融通がきく

私の考えるフリーランスのメリットのひとつが時間に融通がきくこと。一日の時間配分はすべて自分で行えます。会社員でしたら会社の都合で突発的な残業もあるでしょうし、「この日どうしても休みたいけど、繁忙期だから難しい…」などとお休みするに気兼ねしたりすることもあるでしょうが、フリーランスの場合は自分の予定さえ調整できれば平日だろうと土日だろうと好きなように予定を組むことができます。

たとえば、フルタイムで働く親にとって子供の習い事は送迎がネックになって諦めることもありますが、フリーランスはその点自分で予定を組めるので、例えば私の場合だと

16時半 子どもを保育園からピックアップ
17時  子どもを英会話スクールに送る→その後顧問先に書類の授受のあとスマホで仕事のメール返信、電話応答など事務作業
18時  子どもを英会話スクールからピックアップ、帰宅

こんな感じのスケジュールで動いたりできています。

メリット2)仕事相手、顧客を選べる

フリーランスの場合、仕事は自分で選べます。

会社員であれば基本的には同じ会社に所属する社員、取引先などと一緒に仕事をしたりやり取りしたりということになりますから、どんなに相性が悪い人がいても自分の都合で相手を取り替えることは難しい場合が多いでしょう。ですが、フリーランスであれば、合わない相手の仕事は受けない、断るという選択肢も取ることができます。

また、仕事相手は自分で選ぶことができますから、合わないなーと感じたお客様はお断りすることもできます。もちろん、お客様の方からお断りされる場合もあるということは承知しておく必要があります。

仕事の内容によっては、自分が受けるより適任の知人友人同業者が担当したほうがいいなと思うこともあります。心当たりがあるときはご紹介することもありますし、そのようにご紹介をいただくこともありますが、いずれにしても自分基準で仕事の内容や相手を選ぶことができるのはメリットの一つだと言えるでしょう。

メリット3)自分のミスを他人に謝らせる必要がない

私の考えるフリーランス最大のメリットが実はこれです。

私のミスの責任は私が取る。

会社員であれば、いち社員のミスは上司のミスになり、上司のミスはさらに上の上司のミスに……と連綿と一つのミスの責任に連なる存在がありますが、フリーランスはこれがありません。

もちろん、弊社のスタッフにミスがあった場合は私が責任をとることになりますが、それは私の監督不行届によるものですし、「自分のせいで第三者に謝らせる」ことの苦痛がないだけかなりマシです。

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ということで、このへんが私の考えるメリットです。

フリーランスのメリットはわりに皆さんご存知ですから、デメリットの説明の方を丁寧にしたいと思います。

デメリット1)仕事を取ることが出来なければお金にならない

どんなに難関の資格をとろうが、どんなに専門的知識があろうが、仕事がこなければフリーランスに報酬は発生しません。

仕事を取る方法は営業、紹介などたくさん方法がありますが、「待っていたら仕事が来る」と思っていたら絶対に仕事は来ません。 

ここが会社員と違うところで、会社員であれば会社が仕事と身分をあたえてくれ、報酬も支払ってくれますが、フリーランスは自分で動かなければそのいずれもありませんので、ここが無理!という場合は会社員として生きることを積極的に選択されたほうが金銭的な面では楽でしょう。

デメリット2)休んだらもちろん収入は減る 

これ、意外とわかっていない方が多いなと思うのですが、フリーランスには有給という概念はありません。

基本的には働けば働いただけ稼げますが、休んだら休んだぶんだけ収入は減ります。

たとえばフリーランスで働く妊婦は、産休もないし育休もありません。厳密にいえば取ることはできますが、それは自分で受注しえた仕事をセーブした、あるいは捨てた結果なのです。公的な育児休業中の所得補償である育児休業給付金も貰えません。

産休なし、育休なし、生理休暇なし。

欠勤自体はお客様に迷惑をかけなければいつしたっていいわけですが、それが続けば信用がなくなり、信用がなくなれば仕事がなくなります。

産休を取ったとしても、そのあと仕事がきちんとある保証があるのは会社員のみ。フリーランスは、そのリスクを取れるかどうかが分かれ目のような気がします。 

デメリット3)事業体としての運営知識がいる

フリーランスであろうとも、法に沿って必要な手続きや届出をしなければならないというのもデメリットの一つです。 

確定申告に代表される税知識、法人として仕事を受けるのであれば登記をしたり、領収証を出すのであれば印紙法の知識もさわり程度に必要です。

多少知識があれば「ここから先はお金を払って税理士にお願いしよう」とか、「ここまでなら自分で出来るが、ここから先は外注しよう」と決めることも容易ですが、そもそもの知識がないとその依頼すらできないこともあります。

また、最近ではコンプライアンスの問題もあります。お客様との写真やエピソードを何気なくSNSで書いてクレームや炎上につながることもあるため、そのあたりの法知識やクレーム対応力もフリーランスには必要です。

会社はそれらの手続きや知識を法務部、総務部あたりが包括で蓄積、管理運用しているので、働く個人個人がそこまで神経質になる必要はありません。

この点も意外とフリーランス志望の方にみえていない部分かと思います。

デメリット4)信用力が問われやすい

不動産の入居時、購入時、カードローンを新たに組む際に必ず問われる「お勤め先」。

ここが法人かどうか、更にはその法人の資本金や歴史の有無で、信用度がかなり違うことはご存知でしょうか。

たとえば私の場合、事務所に複合コピー機をリースで入れているのですが、私の個人事務所では審査が通らず、別会社の法人名義(私が代表取締役)で契約しています。実態としては個人事務所のほうが売上があるにもかかわらず、です。

フリーランスであっても最初から法人としてスタートする方もおられると思いますが、税金などのメリットを鑑み個人事業で始める方も多いでしょう。その際の仕事場所の契約や営業車の準備、銀行からの融資の予定がある場合は、そのあたりも考慮して準備をする必要がありそうです。

デメリット5)すべての責任は自分にある

これをメリットと取る方もおられるでしょうか、先に書いたとおり、フリーランスの場合はミスをすれば全て自分の責任になります。

謝罪をするのも自分、金銭的に賠償が必要であれば身銭を切り、スケジュールの管理締切など一切の責任を自分の名前において取る必要があります。

この、「自分の名前」において、というところもフリーランスの最大のメリットでありデメリット。

組織に所属する方であればミスは自分のミスを飛び越えて組織のミスとみなされますが、良くも悪くもフリーランスは自分のミスは自分のミスです。そのかわり、成果はすべて自分の成果になりますから、プラスマイナスゼロ(ミスさえしなければプラス)ということもできそうです。

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以上、私が考えるフリーランスのメリット、デメリットを思いついた順に書いてみました。

もちろん、これ以外にもメリットもデメリットもあるでしょう。ですから、独立を考えておられる方はぜひ沢山のフリーランス・自営業の先達の話を聞いてほしいと思います。 

そこにはいろんな目線があり、物語があります。

そこからメリットデメリットを考え合わせて、ご自分のライフキャリアを築いていただければ、納得度の高い選択を取れる可能性が高まるでしょう。

フリーランスでいることはとても自由です。

その自由が何によって支えられているのかを、何を犠牲にしてよって立つものであるのかを、後悔のない選択のために独立を考えていらっしゃる方には多く知ってほしいなと思います。



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