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グランドレベル研究所★コペンハーゲン★

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およそ1年半に渡り書き続けていたデンマーク・コペンハーゲンの訪問記。建築、デザイン、まちづくり、再開発、コミュニティ等の視点で書いた1記事をまとめました。デンマークのまちを1週間… もっと読む
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記事一覧

新刊 『1階革命』 (著:田中元子/晶文社)Amazon予約はじまりました。副題は「私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」。書店は12月20日ごろから並びます。

 この度、晶文社よりグランドレベル田中元子の新しい書籍『1階革命−私設公民館『喫茶ランドリー』とまちづくり」が晶文社より発売されることになりました。Amazonでの予約注文は昨日から、書店での販売は2022年12月20日の予定となります。  表紙は、こんな素敵になりました。表紙絵は、グラフィックアーティストの伊藤桂司さん、ブックデザインはアジールの佐藤直樹さん・菊地昌隆さんにお願いしました。  今回の書籍の位置づけは、田中の前著『マイパブリックとグランドレベル − 今日か

「豊か」「豊か」と呟きまくったけど、まちの「豊かさ」って一体何なのか?

「豊かだ」「豊かだ」「豊かだ」「豊かだ」「豊かだ」... このコペンハーゲンの旅の間、グランドレベルで目に飛び込んでくるあらゆることに、何百回と呟いていてしまっていました。けど、ふと思ったのです。「豊か」って一体何のことなんだろうかと。 たとえば、日本に暮らしていて、同じような気持ちになって「豊かだなぁ」って呟いてしまうときは、どんな風景を目にしたときだろう。電車から見えた綺麗な富士山。夜の横丁で交錯する灯りと賑わい。かつての表参道の青山アパートなんかは、まさに「豊かだなぁ

デンマーク発のランドリーカフェは、多世代の拠りどころ!こんなカフェ、日本にないかも!?

お久し振りです。3回目のアーバンキャンプやパーソナル屋台のワークショップ、原稿や相次ぐ紙媒体の創刊と入稿、グランドレベルの立ち上げなどで、バタバタしておりました。というわけで、引き続きコペンハーゲンレポ続けます。今日はランドリーカフェへGO! この日は、airbnbの滞在先の家から、ほど近くにコインランドリーとカフェが一緒になった「the laundromat cafe」というお店があるとわかり、そこまで歩いてみることに。 コペンハーゲンを歩いていて、歩道によく置いてある

公園を哲学しよう!コペンハーゲンの「Superkilen」に見る、公園の知られざるチカラ.地域の問題を解決し、場のポテンシャルを最大限に引き出す.

グランドレベルという会社をつくる前に、ヤン・ゲールに会いたいと突然言い始めた代表の田中。気づけば1月のコペンハーゲン。毎日、極寒の日々でしたが寒さを吹き飛ばすくらい、目に飛び込むものすべての物事に興奮し続ける充実の一週間でした。そこで見たこと考えたことの一部は、これまでのいくつかのレポートで紹介させていただきました。しかし、ひとつまだお話していなかったある公園の話があったのです。 それが「Superkilen」(スーパーキーレン)という公園(photo=Comrade Ki

デンマークにある世界一美しいルイジアナ美術館は、一日中過ごしたくなるオトナのディズニーランドでした!

デンマークレポートも、ついにこの回が来てしまいました。今回取り上げるのは、ルイジアナ近代美術館。これまでいろんな国でいろんな美術館へ行きましたが、この美術館は、圧倒的!というよりも、まさに美術館を越えた美術館だったのです。 この日も日の出前に起床。毎朝目にするこの風景。屋根の向こうに煙突から煙り。ラジオを付けて、フルーツを食べる。 7時に近くのコーヒー屋 ORIGINAL COFFEEへ。外席のいかした配置に悶絶。。 ようやく日の出。連日、気持ちの良い朝です。さて出発!

住宅街に現れたグルグルすべり台!?「壁」を取ったときのポジティブ妄想力で、小さな小学校の再生が、エリアの問題をも解決!

さて、今回のデンマークレポートは、前編「夜遊びの祭典「ディストーション」...」に続き、住宅街へ突入していった編(後編)です。 池沿いの一本裏の骨董通りをあとにして、ぐいぐい住宅街へ入っていくと、 うぉ〜。。上から、なんだ、このグルングルンすべり台は!! 離れてみると、、集合住宅の合間に現れた公園? でも敷地の端っこに建つ建物が以外と大きい。ガラス張りの1階をのぞき込むと、爆音ミュージックをバックに、子どもたちが全力でぴょんぴょん跳ねまくってる!!! なんだ、、この施設

建てないことが、建てることに匹敵するなんて、本当なの?「Nørreport Station」と食べ尽くしたくなる屋内マーケット「Torvehallerne KBH」の話。

今回の私たちの旅の目的はひとつ。ヤン・ゲールの事務所に突撃することだけだったので、コペンハーゲンについて何も調べずに行ってしまいました。観光本の一冊も買っておけばよかったと気付いたのは、飛行機に乗ってから。 そこで、大活躍したのがAirbnbのホストのジェスパーさんにいただいたこの地図。これとgoogleMAPを合わせて1週間歩き続けたのでした。 さて、今回は、前回の小学校を後にして、Nørreport Stationと、その近くにある「Torvehallerne KBH

カウンターが無い!?コペンハーゲンのコーヒー屋さんが教えてくれた、店と客がフラットにつながるための「ひらく」コツ。

コペンハーゲン3日目。1月の日の出は8時半、日の入りは16時。夜明け前のairbnbの宿泊先の窓からは、こんな光景です。本当にほとんどの人がカーテンをせず、朝でもこうして綺麗な明かりをたくさん見ることができます。 というわけで、この日の午前中はノアブロ地区の方へ行ってみます。どうやら、地元の若者たちに人気の比較的新しいエリアのようで、特にイェーゲシュボルゲーデ通りには、話題の飲食が集まっているとのこと。 日の出前に出発。で、いきなりワァっとため息。。夜明け前の建物に映され

夜遊びの祭典「ディストーション」は、コペンハーゲンのまち一帯に10万人!?パブリックスペースの活用とは、都市*まちを愛でる身体行為を能動的に引き出すことなんだ。

さて、今回のデンマークレポートは、例のカウンターのないコーヒー屋「collevtive coffee」を後にして、少し池側に戻りながら、あえて大通りをはずれ、無目的に住宅街へ突入していった編(前編)です。 中心部からそれほど離れているわけではないのですが、このあたりになるとかなり人種も多様になってきて、かつ住宅地も少し密度が増してきました。 中心部ではほとんど目にしないグラフティが、こんなダイナミックにあったり。歩いていると、こういう場所が、ぽつぽつと集合住宅の間にあるん

建築センターに見たデンマーク市民と建築との距離。日本にもこういう施設つくりませんか?

今回は、2016/02/25の記事「歩道に椅子をブッ刺して!?アクティブな外席の先にある、市民の幸せとは?<コペンハーゲン外席写真集>」の最後に取り上げた写真からスタート。ここから川を渡って、下のようなルートで、デンマーク建築センターまで行ってみようと思います。 改めて、地面に埋め込まれた外席。悶絶するほどに素敵です。無自覚に適当なテーブルと椅子を置くか、このようにきちんと考えて設えるか、その効果は歴然ですね。流行る店、儲かる店は、もちろん後者。そういう意味では、日本のグラ

日本とは違う!?雑貨屋「TIGER」。コペンハーゲンでは、市民の日常をささやかに支える存在でした。

少しずつ読者の方が増えてきて、嬉しい限りです。皆さん、ありがとうございます。この数年に訪ねたドバイやアブダビ、ポートランドも最高だったのですが、今回のコペンハーゲンは本当に素敵だったので、その楽しさが少しでも伝われば嬉しい限りです。 では、今回のレポはちょっとさかのぼって、旅の初日&2日目(2016/1/14-15)。 成田からコペンハーゲンは、成田12時30分発で11時間ほどのフライト。スカンジナビア航空の直行便は、睡眠とPC仕事、映画視聴であっという間でした。機内食で

歩道に椅子をブッ刺して!?アクティブな外席の先にある、市民の幸せとは?<コペンハーゲン外席写真集>

世界の外席で愛を叫ぶ、その理由みなさんは、中の席と外の席、どちらが好きですか? 僕らはテラス席というか、外の席が大好きで、とにかくチャンスがあれば、外の席を楽しんでいます。で、この楽しさって何なんでしょうか? 外の空気が気持ちいいっていうのは、もちろんですが、僕らが好きな外の席の楽しさというのは、内と外のエッジだからこそ、予想もしない人やモノゴトとの出会いや刺激を受け続けることなのかもしれません。 神田の珈琲屋「豆工房」。ここは1メートルほどセットバックしたところに2席外席

壁がない?!デパートの最上階を見れば、その国のパブリック度がわかる。飲食店街の壁は、何のためにあるのか?

mosakiは、デパートもショッピングモールも大好きです。表出しているモノと空間、そのぐぐっと奥の方まで観察していくと、その地域の文化までがもろに見えてくるのが楽しいから。さらに世界中のものをまわりはじめると、その面白さは増していきます。 さて、前回のアンティーク家具の通り後にして、まっすぐ歩いていきましょう。気付けば、どんどん賑やかになってきて、自然とコペンハーゲンの中心部へ。 工事中だって仮囲いが可愛いければ、まちの雰囲気にこんなにも馴染める。海外ではよくみるこのスタ

日本にもこんな通りが欲しい!たった数百メートルで、DIY→アンティーク→家具→雑貨を一気に巡れる楽しい通り。

さて今回は、雑貨屋「TIGER」をあとにして、コペンハーゲンの街の中心部のデパートまで行ってみましょう。だいたい上の地図のようなルートです。 バスが便利だけど、いつも通り、最初の数日はすべて徒歩で。Osterport駅へ歩いていくと、白い屋台ボックスを一人のお兄さんが引いていました。ひと一人で引っ張れる重量ではないよな?と見ていると、やはり補助エンジンが作動中。しかも、車道を歩いています。ここでは、引っ張る人と小さなボックスを含めて“一台の車両”扱いってわけです。これ福岡の