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許すということ

思いを引き出すインタビュアー、鯨井啓子です。

自分の中にあったいろんなわだかまりが、どばーっと噴き出してきた時間になった週末。土曜日は怒り、日曜日は悲しみが表れてきたので、喜怒哀楽って全部別々の感情なんだなあなんていうことを、頭の半分では冷静に分析しながら、感情を感じ切ることにひたすら労力を注いでいました。

私の中にある「許せない思い」の大半は、幼少期に蓄積されました。楽しいことももちろんいっぱいあったし、両親が物質的に足りないという思いをさせないでくれたことには特に感謝しています。ただ、喧嘩の絶えない家庭だったので、こどもの頃の私はすごく委縮してしまい、嫌なことは飲み込み、いつもまわりの顔を見て生きるこどもに成長することになりました。そしてその影響は、私の心身にかなり長いこと出続けました。

それでもかなり濃い大人の反抗期タイムを経て、許せない思いは味わい切った!と思っていたので、まだあったのか!と正直驚きました。そして、「許す」ということは根本的にどういうことなのか?ということがすっきりと整理できたので、ここにシェアします。

◎「感情」はとてもパーソナルな領域
◎こういう人だから「しょうがない」

◎世界平和のための傾聴

「感情」はとてもパーソナルな領域

私は基本的に嫌な気持ちになった時に、ひとりになれる場所に移動します。そして、「嫌だった―!」ということを徹底的に味わうことにしています。なぜなら今までの経験から、「〇〇さんってばひどい!」とかいう形で愚痴を誰かに伝えても、傷ついた気持ちは決して消えないと学んだからです。嫌だということをひたすら自分で味わう。そんな時間を持っている自分を許容してあげる。そうやって、まず自分の中の感情を感じ切ることで理性と切り離し、冷静になったところでじゃあどうしようかという具体的な行動を考えます。

昨日は私の不機嫌な顔を目撃してしまい、気になってついてきてしまった母とだいぶ話をしたのですが、そのなかで気づいたことがありました。それは、相手はどうしたって自分と同じだけのつらさを味わうことができないということ。だから、同じ思いを味わえっ!的な復讐は成立しないということ。ましてや私も大人になりました。今や私ですら、自分のこどもの頃の感性でものを味わうことは不可能です。感情の処理はそれだけ、パーソナルなことだということ。分かち合う相手はいつも自分自身で、丁寧に味わい切ることが大事なのだと思います。

こういう人だから「しょうがない」

感情を味わい切ってみると、私の中にいつも湧いてくるワードがあります。それは、「しょうがない」です。我が家の中には、本当にたくさんのコミュニケーションの不具合がありました。けれど、それはそれぞれの性格や相性を冷静に分析した時に、ある程度しょうがないところがあります。工夫しないでぶつかれば、そりゃそうなるだろうという予測が付く。

自分自身のことも、相手のことも、こういう人だから「しょうがない」。でも、しょうがない人たちが集まって一緒に暮らすのだから、それぞれのしょうがなさを考慮に入れたうえでいい関係性を目指せばいい。そういう意味合いで、嫌なことをしてきたと感じた相手が「〇〇さんはああいう人だし、こういうことになるのはしょうがないね~」と思えた時、それはもうすでに相手を許せているということなんじゃないかと思うのです。そのうえで、その人と付き合うのか、やっぱりいいのか。私たちにはいつも、それを選ぶ選択肢もある。あるはもう、思いがままに。なのです。

世界平和のための傾聴

いろんな方がおっしゃっていることではありますが、そういう意味で感情をしっかり味わうこと。そして、理性で分析することは、どちらかひとつでも成り立たないことで、両方を上手に使ってこそ健やかにいられるのだなと改めて感じました。

私は日々、いろんな方の等身大のお姿を引き出すことを大切に、インタビューをして回っています。こちらが決めつけたり、否定したりせず、ありのままのその方を受け止めるところからやっと、本質的なコミュニケーションははじまると思っているし、お互いにそれができて初めて、豊かで建設的な関係性が育めると思うからです。

だから、極論すると、私はこの仕事を世界平和のためにやっている。と思っています。誰にでも今までに至る出会いがあって、経験があって、やりたいことがあって、その人を形作っている。それをきちんと受け止めて、限界はあるけれど可能な限りことばに置き換えることは、コミュニケーションの齟齬を減らし、お互いにお互いを等身大で受け止めるために必要な、最初の一歩だと思うからです。

◎「感情」はとてもパーソナルな領域
◎こういう人だから「しょうがない」

◎世界平和のための傾聴

喜怒哀楽のどの感情にもいらないものはなくて、それぞれが心地よさ、入り込まれると困る領域など、自分自身の個性と領域を教えてくれる素晴らしいセンサーだと感じています。けれども、それ独立ではなく、理性や知性も併せて使うことで、私たちの中に平和は見いだせるのだと知りました。このシェアが、どなたかの心に平和をもたらしますように。

◎鯨井啓子 info


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